慶應義塾大学は2025年4月10日、国内外の社会課題解決や新産業創出を目的としたイノベーション拠点「Yagami Innovation Laboratory(YIL)」を神奈川県横浜市の矢上キャンパスに開設した。開放的な空間と、ロボットの自動操縦、アプリ開発の試作に挑戦できるような常設実験室などを設け、学生の将来を後押しする教育プログラムや、起業支援と産学連携に向けた情報発信に力を入れていく。
YILは、日本学術振興会「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」および文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択されたことで実現した施設。慶應義塾大学矢上キャンパス内の産学官連携棟に増築を行い、誕生した。2024年5月、慶應義塾大学医学部に開設されたインキュベーションセンター(CRIK信濃町)に並ぶ施設になるという。
一面ガラス張りの開放的で、壁のないひとつながりの空間にはさまざまな使い方や場所があり、多くの人が使ってみたくなり、居場所にしたくなるような仕掛けがあるという。たとえば、1階は「集う」をテーマに、学生や教職員が自然と集い、何か試したくなるような仕掛けを構築。学内外のゲストを招いてカジュアルにコミュニティ形成ができるよう、大型モニターを設置したイベントスペースや、居心地よく休憩や談話ができるオープンスペースがある。
2階は「試す」をテーマに、各エリアのテーマに沿った研究機器を常設設置し、ロボット操作やアプリ開発など、学生が日常的に研究装置に触れ、気軽にさまざまな挑戦を「試す」機会を提供する。
今後、YILは、人が集い、議論し、学び、挑戦する場所を提供。学生の将来を後押しする教育プログラムや、起業支援と産学連携に向けた情報発信に力を入れていく。また、これらの活動を持続させるため、共同研究や協賛企業の獲得等を通じた自立的な運営を目指すとしている。
なお、慶應義塾大学矢上キャンパスは、理工学部の3・4年生と大学院生が学ぶ。数々の施設がマトリックスに並ぶ構内は理系の雰囲気にあふれており、最新の理工学教育・研究を担う多様な設備を擁し、研究室ごとにようすが異なるのも特徴。国外研究者や留学生も多く集う、国際色豊かなキャンパスとなっている。