首都圏国公立小9校の傾向と対策、「聞く力」が鍵…小学校受験協会・藤田和彦氏<後編>

 コロナ禍で小学校受験はどのように変化しているのだろうか。昨今の未就学児家庭の思いや考えを知るべく、小学校受験に造詣が深い小学校受験協会 代表理事・藤田和彦氏に話を聞いた。後編では、首都圏国立小学校の傾向と対策について解説いただいた。

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首都圏国公立小9校の傾向と対策、「聞く力」が鍵…小学校受験協会・藤田和彦氏<後編>
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  • インタビューに応じてくれた小学校受験協会 代表理事・藤田和彦氏
 2020年春、新型コロナウイルス感染症の見えない脅威から子供たちを守ろうと、各教育現場で休校措置、オンライン授業へのシフトが行われた。その結果、公立・国立・私立それぞれの教育環境の対応の差が顕著に可視化された。わが子に安心安全で、より良い教育環境を提供したいと、国立・私立小学校受験を検討しはじめた家庭も少なくないだろう。

 昨今の小学校受験事情はどのように変化しているのだろうか。本記事は、小学校受験に造詣が深い小学校受験協会 代表理事・藤田和彦氏のインタビュー前編「小学校受験は特別なもの?挑戦することのメリットとは」の続編。後編となる本記事では、都内の国立小学校6校と近隣の埼玉、千葉の国立小学校、2022年4月に新たに開校する都立立川国際中等教育学校附属小学校の9校について、それぞれの学校の特徴や入試の動向、対策について詳しく聞いた。

感染症対策?それとも改革?「変わらない国立小入試」に小さな変化



--小学校受験協会ではとくに国立小学校の受験サポートに注力されていると伺いました。東京都内の国立大学附属小学校の入試動向や最近のトレンドについて教えてください。

 国立小学校の入試問題は毎年大きく変わることはないというのが基本的なスタンスです。ですので、出題方法等の一部がほんの少し変わった程度でも騒がれるほどです。そんな国立小学校受験ですが、2021年度入試は新型コロナウイルス感染症の影響から大きな変更点がありました。その変更点をはじめとして、最近のトレンドをいくつか紹介しますね。

国立小学校全体における動向



 まず2021年度入試における大きな変更点として、グループで取り組む「行動観察」の課題が国立小・私立小問わず、全国的に取りやめになりました。コロナ禍での接触や密を避けるための対策の1つだったのですが、依然としてコロナの影響が残る今年や来年以降、行動観察がなくなっていくのか、あるいは特例的な措置だったのかは現時点では不明です。各校の感染予防対策や指針に注目して昨年の方針を想定しつつも、2年前までの従来の入試内容も踏まえて対策する必要があるという点が、2022年度入試の受験対策のポイントになります。

 また、昨年は筑波大学附属小学校(以下、筑附)の試験が従来の12月中旬から1か月前倒しされ、11月中旬に実施されたという大きな変化がありました。私立小学校が従来通りの11月1日~3日、あるいは前倒しで10月に受験本番が実施されたとしても、国立小学校の受験本番である11月後半から12月までは比較的猶予があり、もし私立小のご縁がなかったとしてもそこから筑附本番に向けての準備ができるんです。その点、昨年はその期間が一気に半月に短くなってしまったため、私立小志望の子たちにとっては大変な年になりました。

 国立小志望の子たちも同様で、たとえば筑附と東京学芸大附属の小学校を併願するケースでは、従来は11月にまず学芸大附属の試験を受けてコンディショニングを整えてから、12月の筑附に臨むという流れで対応してきました。それが、昨年は11月15~17日に筑附の試験が先に行われ、そこから学芸大附属の入試まで1週間しかないという状況になってしまいました。さらに、これまでは「学芸大附属でご縁をいただいたけれど、その後本命の筑附でも合格したので学芸大附属は入学辞退する」というお子さまが一定数いて、繰り上げ合格が毎年ありましたが、昨年は試験日や合格発表日の兼ね合いから筑附と学芸大附属を併願するご家庭が少なく、例年のような繰り上げ合格もほぼないという事態が起きました。


 1校の試験日程が1か月変わっただけですが、小学校受験業界には大きな衝撃でした。抽選や願書提出等もすべて1か月前倒しとなったため、各教室や家庭でも対応に追われていました。

 今年の筑附の試験日程は、当初7月下旬に決定する見込みでしたが、決定が遅れ、8月19日正午現在も未発表となっています。学芸大附属やお茶の水小ではすでに説明会(Webでの配信含む)や募集要項配布の日程も公表しています。学芸大附属の試験日程は例年同様11月下旬で決定しており、お茶の水小もおそらく例年通り12月上旬で変わらないだろうといわれているので、今年も筑附の試験日程が大きなポイントになりますね。

--コロナ禍で国立小学校が受けた影響、受験する子供たちが受けた影響は大きかったのですね。各校の変更点やトレンドなどの傾向と対策を教えてください。

お茶の水女子大学附属小学校



傾向


 2019年度入学生向けの説明会で「2年後から入試を変更します」とのアナウンスがあったので、業界ではまさにその年となる2021年度入試に注目が集まっていました。お茶の水小でも感染症予防対策のために試験内容が一部変更になりましたが、それがコロナ禍のイレギュラーな対応なのか、当初アナウンスされていた「変更」なのかが、いまだに明確になっていません。具体的には「行動観察」がなくなり、試験時間が従来の165分から120分に短縮されました。お茶の水小の試験時間は国立小の中でも特に長いため、コロナ禍で感染予防に考慮した結果なのか、2年前にアナウンスした変更点が時間短縮を指すものであったのかは不明なままです。

 「行動観察」がなくなった代わりに、昨年はお手本通りに制作を行う「指示制作」と、自分の好きなおもちゃを作って発表する「自由制作」の2つの制作課題が出題されました。おそらく自由制作のパートで行動の観察が行われていたのではないかと思われます。

 ほとんどの国立小が1時間満たない試験時間なのに対し、お茶の水小の試験時間がもともと2時間半にも及ぶのは、先生と子供が1対1で取り組む「個別課題」に時間を割いているためで、かなり長い待機時間も含んでいます。この待機時間も評価に含まれますが、昨年は最大限の効率化が図られ、例年よりも短時間でスムーズに行われたようです。この点も、45分の時間短縮に貢献していると思われます。

 この他、例年10月上旬に行われていた説明会が中止され、Webページ上での学校概要の掲載に変更となる、2021年度からWeb出願に対応するといった変更点があります。

 保護者については、一次抽選の通過直後に保護者作文(アンケート)の記入と提出があり、試験当日は保護者のみの面接があります。面接では、作文に記入した内容についての質問もなされるので、記入した内容を覚えておくようにしましょう。

対策


 試験時間が長く、1対1の「個別課題」に多くの時間を割いている一方、ペーパー課題はありません。お茶の水小は「自分の意見をしっかり主張できる」ということを非常に重視しています。たとえば「自由制作」でも、自由におもちゃを制作した後に「自分が作ったおもちゃについて説明してくれる人がいたら手をあげてください」と投げかけられます。できあがったもののクオリティーよりも自分の考えや意見を伝えられるかどうかを判断基準としているようです。

 お茶の水には附属の幼稚園があり、園では「自分の考えを伝える」ことをめざして教育が行われているため、園から内部進学する子供たちと対等に渡り合ってコミュニケーションを取れるかどうか、お互いの考えや意見をしっかりと言い合える関係性を作れるかどうかを大事にしているようです。

 また、試験時間が長時間にわたるため、待機時間に約束を守って待っていられるかという姿勢もチェックされます。長い時間待つ=オフの時間があったうえで、自分の個別課題の順番になった時にすぐにオンに切り替えができるかどうかも大事なポイントです。就学前の子供たちにとって「長い時間ただ待つ」というのは結構大変ですので、意識して練習をしておく必要はあるかと思います。ちなみに、試験時間が2時間に及ぶにはお茶の水小のみで、筑附でも50分、他の小学校は30~40分で設定されています。

【入試情報】お茶の水女子大学附属小学校

筑波大学附属小学校



傾向


 2021年度は入試日程が1か月前倒しになり、Web出願に変更になりました。さらにコロナ禍の対応だと思われますが、一次抽選の当選人数(試験本番を受けられる人数)が従来の半数に絞られ、結果的に一次抽選の倍率がそれまでの2倍になりました。抽選を通った後の倍率は半分になったと考えることもできるのですが、一次抽選でかなり絞られてしまったため本来であれば試験を受けられた子たちが受験さえできなかったのが昨年の筑附の動向です。

 試験内容でいえば、「行動観察」で行っていた紙コップ積みが一昨年からなくなり、一昨年まで始まってすぐに行われていた口頭試問が試験の中盤に変更になる等、細かな変更がありました。

対策


 筑附は私立小の受験に向けてハードな対策をしている子たちの併願校として真っ先に名前が上がる国立小なので、総じて受験者のレベルも高めです。そういった意味で、問題に対応していくためには家庭内で知育的な要素を含む学習を習慣化して何度も取り組んでおくと良いかと思います。

 問題の傾向は、基本的に例年変わっておらず、ペーパー問題が2問出題されます。1つ目は「お話の内容理解」で、長文を聞いて10の問いに答えるものです。長文は2分以上あり、さまざまな要素が出てくるので大人でも記憶するのが難しいレベル。お話を最後までしっかり聞き、内容を記憶して答えを出すという相当な集中力が求められる問題のため、練習は必須です。対策としては、普段の読み聞かせを通して、季節、色、人物等、いろいろな要素を聞き分けていく練習をしてほしいですね。

 また、もう1つの図形問題も特徴的かつ難問で、これを5・6歳の子供たちが解けるの?と思うような難易度の高い、さまざまなタイプの問題が出されます。こちらも練習しないと対応が難しいので、市販の過去問の入手をお勧めします。

 運動課題では、例年「クマ歩き」という四つ足でクマのように早く走るという課題が出ています。初見だとなかなか難しい動作なので、遊び感覚で家庭内で取り組んで動きに慣れておいた方が良いですね。また、子供たちの試験時間中に保護者が作文を書いて提出するという課題もあります。

【入試情報】筑波大学附属小学校

東京学芸大学附属大泉小学校



傾向


 出願者数が下げ止まった印象です。2019年度を底に、2021年度も出願者数が増えており、今後も出願者数が増えていく可能性のある学校です。

 一方で、近年は出願できる学区の範囲を非常に厳格化しています。そのため、ご自身のお住まいが該当するのかをまず確認してください。「合格したら学区内に引っ越しします」という条件での受験も可能ですが、ご家族でよく検討したうえでの出願が必要です。

 2021年度の試験では、生活巧緻性(マヨネーズをティッシュで拭く、お箸でつまむ等)をみる「巧緻性課題」が採用されませんでした。これは、課題に使うものを受け渡したり、不特定多数の人が触るシチュエーションを避けるというコロナ禍ならではの動向と思われます。

 昨年はそういった動向が多くみられ、「トレンドとして変わったから今年もこうなる」とは言い切ることができません。やはりコロナ禍における対応を継続しているところが大半を占めていて、社会情勢次第ではありますが昨年と同じような傾向になるのではないか、と予想しています。

対策


 試験内容は、生活習慣の中から身に付ける課題が多く出ているのが特徴です。箸を使った移し取りや、ペーパーの課題の中でも実生活に即した課題が多く出されるので、日常生活の中で、雑巾を絞ったり、洋服をたたんだり、お茶碗を配膳したりといったお手伝いの経験をしておくことが受験に生きてきます。

【入試情報】東京学芸大学附属大泉小学校

東京学芸大学附属小金井小学校



傾向


 大泉小と小金井小は例年2日間で試験を行っているのですが、大泉小は昨年も2日間にわたって試験を実施した一方、小金井小は参加者を男女に分けてそれぞれ1日で実施しました。そのため、試験自体が非常にコンパクトになっており、短時間で終了したようです。 なお、2022年度入学者のための試験は11月24・25日の2日間で実施されることが発表されています。

 昨年度は試験時間短縮のため若干形式が変わりましたが、過去の流れで言うとサーキット型の運動課題が出るのが特徴です。あらかじめ指示された通りに、いくつかの運動課題や、先生とのお話、つまり口頭試問を続けて行うものです。課題の順番だけでなく「終わったら男の子は体育座り、女の子は椅子に座って待っていてください」というような細かな指示も、冒頭にたくさん説明されます。長い指示をひとつひとつしっかり聞いて覚えていられるか、行動に移せるかを大事な判断基準にしています。

対策


 やはりサーキット型の運動課題が鍵になります。長い指示を生活の中で出してみて、ゲーム感覚で取り組んでみると良いですね。たとえば、「ご飯を食べ終わったらお皿、お茶碗、お椀の順に重ねて流しに片付けてね。そのあとお風呂の準備をするためにパジャマを持ってきて椅子の上に置いて、お風呂から上がったら着替えて脱いだ服は畳んでね」というようなことを日常生活の中でやってみることで、話を聞いて指示に従って動く練習ができます。

【入試情報】東京学芸大学附属小金井小学校

東京学芸大学附属世田谷小学校



傾向


 コロナ禍での対応ではなく、マイナーチェンジとして出題問題が変更されています。世田谷小は試験内容が10年間変わっておらず、業界では「今後も変わらないだろう」と言われていた中で、2年前から「運筆課題」が「模写」に変更となりました。その細かな変化すらトピックスとしてあげられるほど、入試が変わらないのが世田谷小の特徴ですね。

 ペーパー課題ではお話の内容理解の中で、マナー常識問題が出される傾向にあります。「今のお話の中で、バスの中で良くないことをしたのは誰ですか」といったような問題です。世田谷小に限らず、国立小では遠方から公共交通機関を使って通学をする子供たちがいます。公共の場でルールを守れないと他のお客さんや地域の住民の方に迷惑をかけてしまうことになりますよね。また子供たちの安全を守る意味でも公共交通機関や道路でのマナー、ルールは覚えておく必要がありますし、受験を抜きにしても子供たちが自分で考えられる力を身に付けておくことが大切です。そのようなメッセージも伝わってくる出題です。

 また三角パズルといって、直角二等辺三角形の2色のパズルを使ってお手本通りの形を作る問題が例年出題されています。また筑附と同様、保護者が作文を書いて提出するという課題があります。

対策


 世田谷小では、行動観察の時間内に口頭試問が行われるという特徴があります。昨年であれば「ブロックをできるだけ高く積んでください」という行動観察課題が出されて子供たちが取り組んでいる中、自分の受験番号が呼ばれたらブロックのコーナーから離れて先生と移動して口頭試問を行う、という課題が出されました。ブロックタワー作りに熱中すればするほど、順番が呼ばれた時に「もうちょっとやりたい」と気持ちが切り替えられなかったり、先生とのお話が終わらないうちに早く戻りたくてウズウズして、終わりの挨拶もせずに走り出したり、靴を脱ぐところで脱いだ靴を揃えられなかったり。自分がやりたいことが目の前にある状況下でもしっかり約束を守れるか、という切り替え力が大事になってくる課題です。

 これも日常で対策することができます。たとえば「自由に遊んで良いけど何時になったらご飯を食べようね」というように、時間やお約束の合図を決めてそのタイミングがきたら途中でもやめにして次に移る練習をするなどです。物事に熱中できるということは集中力があって素晴らしいことですので、その力を抑えるのではなく、熱中している状況下でも次のお約束があったら守ることを意識付けしてあげることが大切です。

【入試情報】東京学芸大学附属世田谷小学校

東京学芸大学附属竹早小学校



傾向


 昨年度は筑附と同様、一次抽選が厳しくなり、当選者数がかなり絞られました。一次抽選の通過率は10数%程度で、通ったら奇跡というレベルだったようです。試験では、子供たちを自由に遊ばせる「自由遊び」という課題が例年行われていたのですが、入り乱れるのは良くないとの判断から、2021年度は「指示行動」に変わったようです。

 竹早小は、都内国立小6校の中で唯一、親子課題が出ます。まず保護者が面接をしている間に子供が口頭試問を行います。それ自体は難しい訳でなく、その後に子供にのみゲームのルールが説明され、子供がそのルールを理解したうえで、後でお父さんお母さんと一緒にそのゲームで遊ぶという課題です。子供の理解力と説明力が問われます。

 竹早小は「はじめに子供ありき」というスタンスで教育を行っていて、子供たちはチャイムがなくても自分たちで考えながら時間を過ごしていますし、学期末の通信簿は先生が評価を付けずに子供たちが自己評価で評価を付けています。基本的に×を付けずに子供の意思や考えを尊重するという学校のスタンスから察するに、「ゲームで遊ぼう」という親子課題でも注目しているのはやはり子供の意志で、「僕はこうしたい。僕はこう考えた」という子供の意志を受け止めて尊重しながら、親子でゲームを一緒に楽しんでいるようすを見てるのではないかなと思います。

対策


 やはり鍵になるのは親子課題への対策でしょう。おはじきやカードを使った、初めて触れるルールのゲームであることが多いので、まず1つ目に、そういった初めてのルールを理解して実際に遊ぶことができるかどうかが問われます。さらに2つ目として、そのルールをお父さんやお母さんに説明する力が問われます。そのため、普段から親子で一緒にゲームで遊ぶ時間を作ることがとても大事ですし、お家で遊ぶときにも子供がルールを説明できるような質問をしてあげると良いと思います。

 逆に、普段の親子関係が常に親からの指示に従って子供が動いているような場合では、試験本番の緊張した環境の中で子供は萎縮してしまいます。自由に遊べと言われても子供がお母さんの顔色を伺ったり、お母さんの指示がないと動けなかったりと、どうしてもぎこちなくなってしまいます。実際に竹早小に合格されたご家庭を見ると、子供がとても柔軟性のある子が多く、お母さんも子供のペースに合わせながらお話を聞いたり引き出したりするのが上手な印象があります。

【入試情報】東京学芸大学附属竹早小学校

都立立川国際中等教育学校附属小学校



傾向


 2022年度の大きなトピックとして、2022年4月に都立立川国際中等教育学校附属小学校が開校します。この小学校は国立ではなく都立(公立)の小中高一貫教育校で、今年1期生募集のための試験が行われるという流れです。エリアや、公開されている教育内容ともに小金井小・大泉小と似ている印象です。Webに掲載している参考問題を見る限り、さほど難しいことを要求せず、ペーパー試験の内容も2校に近いと感じています。エリア的には特に小金井小と被るので、併願の可能性も高いだろうとみています。

対策


 今年が初の試験となるため過去問はありませんが、参考問題が出されています。そこから判断するに、難問はなく、大泉小や小金井小くらいの難易度の印象です。ペーパー問題以外の、お話が聞けるか、お約束が守れるかを重視するのではないかと予想しています。

【入試情報】都立立川国際中等教育学校附属小学校

埼玉大学教育学部附属小学校



対策


 小金井小と同じく、いくつかの運動を組み合わせたサーキット型の運動課題を行っており、ストップウォッチで計測しながら実施しているようです。運動がどれくらいのタイムでできるかという部分も1つの評価指標だと思いますが、実際のところは運動しているいわゆるオンの部分よりも、スタート地点に移動する際の歩き方や、終わった後の戻り方、待っている時の座り方、というオフの部分の時間がより長くなります。総じての評価としては、そこで約束を守れるかという点が鍵になるのではないかと思います。減点されることがないよう気を付けたいですね。

 試験は2日間にわたって実施されますが、1日目が終わった時点で2日目に進めるかどうかの合否判定が行われます。2日目の試験では、親子で共に面接を受ける親子面接を実施しています。基本的に難しい質問は聞かれないものの、「学校が目指している教育課題と同じようなことを家庭内で何か取り組んでいますか」など教育内容に絡んだ質問があるなど、親にも子にも満遍なく質問が振られるようです。

【入試情報】埼玉大学教育学部附属小学校

千葉大学教育学部附属小学校



傾向


 基本的な傾向はほとんど変わっていないので、過去問に取り組むことで傾向を把握することができます。特に対策が必要ないと思われるかもしれませんが、常識問題は問題の範疇に際限がないので、さまざまな知識や判断力を要するという意味では注意したいポイントです。

対策


 常識問題の例では、たとえば「夏の季節のものに丸をつけてください」という問いは比較的わかりやすいですが、すだれや打ち水等、現代の子供たちには馴染みの薄いものや目にしたことのないものが含まれている場合があります。小金井小の例ですが、2年ほど前「この中で生き物に丸をつけてください」という問題が出され、選択肢には、いわゆる生物の他にパソコンや植物も並んでいたこともありました。「パソコンは動くけど生き物ではないな」「植物は動かないけれど生き物なのかな」と、まさに現代ならではの知識と判断力を問う出題です。同様のテーマが出題される可能性もあるので、チェックしておくと良いでしょう。

 細かい対策をするのは年長の夏ごろからでも良いかもしれませんが、日常的にお話の読み聞かせや図鑑を見ながらさまざまな知識、約束事、季節行事、マナーについて親子で話をする機会を年中さんから意識して設けるとより良いですね。

【入試情報】千葉大学教育学部附属小学校

傾向はあれど、柔軟で多様な学びの環境



--就学前の子供たちにとってなかなかハードな問題ですね。「ペーパー問題」は読解ではなく、お話を聞いて答える形式なのですね。

 はい、そこは小学校受験全般におけるとても大事なポイントです。筑附に限らず、小学校受験のすべての指示・設問は音声で行われます。各校、小学校から数字・文字を習うという前提のもと試験を実施しなくてはなりません。ですので、読む力より聞き取り力がすべての場面で必要となります。お話を聞いて、理解して、覚えて、指示通りに行動に移す。しかも音声は1回しか聞くことができません。国語の文章問題のようにわからなければもう一度読み直すということができないんです。聞き直しができないという点は集中力も必要としますし、難易度が高くハードに感じられますよね。

 受験を考えている方は、市販されている過去問を手に取ってみるとよりイメージが掴めると思います。過去問は3~4社から出ていますが、いずれも学校が出した公式のものではなく、受験した子供たちへの聞き取りから最大公約数で作成されています。あくまで問題のイメージを掴む、問題に慣れるために活用してほしいと思います。

--なるほど。また、やはり各校の評価のポイントに違いがある印象です。

 そうですね、出題のタイプの違いはあります。ただ各校いろいろな課題を出していますが、合否を決める最終的な判断は実際の担任になる先生方が担っているとも聞きます。基本的に学年の先生は6年間もち上がりなので、6年間一緒に勉強していきたいと思える子供たちを選んでいる傾向にあるようです。

 特に国立小は、学校生活においても担任の先生に非常に多くの裁量が与えられていると聞きます。同じ学校でも隣のクラスは違う学校なんじゃないかと思うくらい多様性があるケースもあるようです。学校ごとの傾向はもちろんありますので対策は取れますが、その多様性も丸ごと受け入れて、柔軟に受験校を選ぶと良いと思います。

--親子面接しかり、家族で向き合う必要がありますね。

 そうですね。その中でも受験手続きは、保護者の大切なタスクです。募集要項の配布、願書の配布日程が決まっていたり、動画説明会の配信期間を逃すと見られなくなったり、願書も所定の形式をしっかり守れないと受理されなかったり、ルールや期間が明確に決まっています。細かいルールがたくさんあって、保護者の方は念入りに確認することが求められますので、気持ちと時間に余裕を持って進めたいところです。


日常で学びを楽しむ習慣を



--9月ころから願書配布や入試情報公開がされると思いますが、最後に国公立小学校受験を目指すみなさんにメッセージをお願いします。

 小学校入学前に「学び」に触れる機会をもつことは非常に大切な経験です。それは合否の結果を超えて、子供の重要な財産になります。だからこそ、さまざまな学びを小学校受験というきっかけを通してたくさん楽しんでもらいたいと思います。

 この年齢は、将来にも続く学び方を身に付ける時期でもあると思います。ノルマではなく自発的に取り組みたくなる楽しいものとして、学びや勉強の捉え方を親子で考えつつ、進めていただきたいと願っています。

--貴重なお話をありがとうございました。

 小学校受験が本番に向けて動き出すこの季節。合格を目指した対策にとどまらず、受験を1つのきっかけにすることで、親子が共に大きく成長するヒントを聞くことができた。

※小学校受験においては、学校ごと「検定」「発育調査」「調査」等の名称が使われている。各校の教育方針を反映した名称であることは重々承知ながらも、本記事ではあくまでも読みやすさの観点から「入試」「試験」に統一した。
《畑山望》

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