神奈川【高校受験2022】湘ゼミに聞く、新学習指導要領の影響と難関校対策

 中学校での新学習指導要領の全面的な実施は、神奈川県の高校入試にどのような影響があるのか。湘南ゼミナールの教務支援部特色検査対策責任者の渡邉豪氏、同部進路支援グループ責任者の秋山清輝氏に、その影響や注意点、学習のポイントなどを聞いた。

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神奈川【高校受験2022】湘ゼミに聞く、新学習指導要領の影響と難関校対策
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  • 神奈川県公立高校入試システム(2022年度)
  • 神奈川県公立高校 学力向上進学重点校と学力向上進学重点校エントリー校
  • 神奈川県公立高校入試日程(2022年度)
  • 左から、秋山清輝氏と渡邉豪氏
  • 湘南ゼミナール 教務支援部 特色検査対策責任者の渡邉豪氏
  • 湘南ゼミナール 教務支援部 進路支援グループ責任者の秋山清輝氏
  • 湘南ゼミナール 12月+冬期講習 授業料無料体験
 中学校での新学習指導要領の全面的な実施は、神奈川県の高校入試にどのような影響があるのだろうか。湘南ゼミナールの教務支援部特色検査対策責任者の渡邉豪氏、同部進路支援グループ責任者の秋山清輝氏に、来春(2022年度)の入試や志望校選びの影響や注意点、冬休みから入試までの学習のポイント、保護者の心構え等を聞いた。

神奈川県公立入試の特徴と変化点



--まず神奈川県の公立高校入試の特徴を教えてください。

秋山氏:神奈川では内申書と入試と面接の3項目です。内申書は中2の学年末の成績と中3の12月の成績を使用し、中3の成績は2倍になります。入試は5科目各100点満点。すべての学校が共通の問題で、加えて一部の学校では特色検査という科目横断型のテストがあり、面接は全員実施します。

 最近は学力向上進学重点校と学力向上進学重点校エントリー校が実施する特色検査の問題を学校別に作らなくなりました。選ばれた作問者が問題を作成し、大問2つは必修(共通問題)、残りの大問2つを学校ごとに選びます(共通選択問題)。

 全受験者が共通して受ける問題の難易度は科目ごとにばらつきがあります。社会は一昨年が全神奈川県の合格者平均が80点近くで、今春(2021年度)は難化が予想されましたが、あまり変わりませんでした。以前は難しすぎたことから平均50~60点の妥当なレベルにしたいという動きもあるようですが、問題を難しくしても受験生は対策を講じて試験に臨むので難易度調整はなかなか難しいのだろうなと思います。


--来春(2022年度)の入試で変更点はありますでしょうか。

渡邉氏:横浜国際高校が学力向上進学重点校エントリー校に指定され、特色検査の共通問題、共通選択問題を採用します。昨年までの実技試験のスピーチは、国際バカロレアコースも含めて実施しないことになりました。この変更に関しては情報も少なく、教育委員会の資料では国際バカロレアコースのみ、どんな問題が出されるのかのヒントが掲載されました。自分の考えを150字から200字程度の英文で記述するというものでしたが、これまでの国際バカロレアコースの試験に似たものがあるのでイメージを持つためにやっておくと良いでしょう。


 もう1つの国際科は特に記載がなく、昨年までの他校の共通問題と共通選択問題か、共通選択問題に英語を利用したものを入れるかどうかわかりません。ただし問1は英語なので、そこまで英語を盛り込まない可能性もあります。

 神奈川総合高校は昨年、国際文化コースと舞台芸術コースでグループディスカッションが実施されていましたが、今年からは舞台芸術コースのみになりました。昨年は実施人数も要項に明記されていましたが、今年は記載がありません。新型コロナウイルス感染症の影響もあって人数を決めていない可能性があります。その他の学校も含め、出題傾向の変化は想像しにくいため、過去問を利用して対策を進めると良いでしょう。

内申重視の高校の志望動向に変化の可能性



--公立および私立の志望校選びに変化はありますか。

秋山氏:中学の新学習指導要領で成績の付け方が変わりました。私たちの東京・千葉・埼玉・神奈川の4都県の教室では、生徒の通知表の成績は確かに下がっていました。定期試験で点を取れなかったのか、それとも定期試験とは関係なかったのかを分析すると、定期試験の点数が変わらない最上位層同士でも通知表の成績が少し下がっていました。もちろん受験者平均も下がってくるはずですが、それは受験生には見えない数字ですので、特にトップ校では内申が足りないために内申型の高校を回避する動きがあるかもしれません。

 また4都県の中でも神奈川の下がり幅が大きくなっています。これは「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点がどれぐらいならば5になるのかの基準が異なることが要因かもしれません。一例では神奈川県内のある学校のとある科目において、今まで中間でも期末でも満点を取れた生徒はほぼ100%、5がついていましたが、それが90%になりました。残りの10%は定期試験以外で評価を付けてもらえずに5が取れませんでした。もちろん逆に内申点が上がる生徒もいますが、定期試験の点数で考えると3のレンジが幅広くなったといえます。高い点を取れている生徒も、あまり取れていない生徒も3になりがちです。

 こうした傾向は、私立の志望校選びにも影響します。神奈川では併願優遇いわゆる内申点で入学が確約する私立校が多く、トップ層の併願校でも今年は内申点の基準を下げていません。これは中学の1学期の成績が出るまで動向が不明で、基準を決める時期に結果を見て決められなかったことが影響しています。

湘南ゼミナール 教務支援部 進路支援グループ責任者 秋山清輝氏

 公立中堅下位校の定員割れの問題はさらに加速するでしょう。神奈川は他都県よりも定員割れはまだ少ない方なのですが、それでも過去最多を更新しています。募集定員の発表では、中堅下位校の定員割れの学校が軒並み定員を1クラスも増やし、さらに定員を増やしてどうするのかは不明な状況。一方、上位校はもう校舎に入らず増やしようがありません。倍率の高い上位校と定員割れの中堅下位校という構図は続くと思います。

横浜翠嵐からの志願変更が焦点



--公立校の人気動向について教えてください。

秋山氏:やはり夏の取材時にお話した今春東大合格者50名を輩出した横浜翠嵐高校の倍率がどうなるかが鍵になってきます。得点力重視の学校なので、内申点の影響や受験生が減る要素もありません。最初の倍率発表でとても高い数字が出ると予想しています。その倍率を見て、志願変更の動きが今年度は多くなるでしょう。

 志願変更をする場合、横浜や県の北部と南部では志願先は変わります。南部では、柏陽高校や横浜緑ヶ丘高校が中心です。北部は学校改革が成功した高校とその過程上の高校それぞれがあります。そこで川和高校と多摩高校の校長先生に先日、お話を聞きました。

 多摩高校は、長年続けた改革が実り、倍率がどんどん上がっています。横浜翠嵐の元副校長だった校長先生が、学力向上進学重点校の指定をミッションとして学校全体を動かしているのです。都立の上位校では基本的に高3になるまで文系・理系に分かれず、分かれた後も共通テスト対策のために文系も理系の一部の科目を必修としており、理系もその逆とはなりますが同様のカリキュラムとなっています。多摩高校は、そのやり方を導入している神奈川の数少ないトップ校です。私立大学に推薦が決まった生徒でも5科目の模試や共通テストを全員受けることを徹底しています。そこまで尖った進路指導をしている学校は、横浜翠嵐高校と多摩高校くらいかもしれません。この3年ほどで国公立の合格実績が伸びて明らかに人気が上昇しましたが、校長先生は地道な改革の成果だとおっしゃっていました。

 同じ地区の比較対象は川和高校ですが、その川和高校の校長は実は多摩高校の前の校長先生。多摩高校の躍進ぶりを「うれしい限りです」とおっしゃっていました。川和高校は、これから改革をもう一段階進めて、数年後は実績が出てくる可能性があります。現状では多摩高校はまだ日東駒専に行く層と国公立に行く層とで分かれているところがあります。国公立の実績は多摩高校と同じくらいですが、川和高校は日東駒専でOKとする生徒が少ないようです。切磋琢磨して皆でできるだけ上に行こうとする環境があります。

高校の新学習指導要領導入でコース変更や再編成が活発に



--私立校の動向を教えてください。

秋山氏:神奈川の私立は動きが活発です。高校でも学習指導要領が変わり科目横断的な学びが導入されたため、多くの学校が来春(2022年度)からのコース変更や再編成を行いました。特に男子校と女子校が活発で、女子校では相模女子、白鵬女子、緑ヶ丘女子。男子校では藤沢翔陵、武相。共学校ではアレセイア湘南、平塚学園、横浜学園、三浦学園に注目しています。

 代表的なところでは相模女子。これまで医療系や栄養系に進学希望者が多く、それに加えて農業や環境、メディアといった科目横断的な学びを目指しています。また白鵬女子は、9種類の多様なコース設定をしています。女子校では選択肢が多いことを強みとして人気が出ている数少ない学校で、とても活気があります。男子校では藤沢翔陵が文理融合探究コース、アレセイア湘南も探求コースを設けました。

渡邉氏:探究学習が注目されていますが、神奈川の公立トップ校でも、総合的な学習の時間を使って論文を書く初歩や研究的な時間を設けています。学校によっては取り組みに名称をつける場合があり、たとえば多摩高校では「Meraki」として探究学習を前面に出しています。

左から、秋山清輝氏と渡邉豪氏

秋山氏:コースとして大々的に看板に出す私立校も増えていますが、横浜国際高校の国際バカロレアコースは科目横断型で美術を大事にしていますが、大人気の倍率という訳ではありません。探求や科目横断の価値というのはまだ子供たちの考えとギャップがあるのかもしれません。

 またこれまでの専門学科、たとえば工業科の方からは、学んだことを実際に生かす「アクティブラーニング」は遥か昔からやっていたという意見が出ています。それなのにこれまで、専門学科は単に公立の普通科に入れない生徒が行く学校だとされてきたと、ある公立の専門学科の校長先生にご指摘いただいたことがあります。おっしゃる通りだと思いました。

 私立でも専門学科がある学校もいくつかあって、今後どうなるかは注目です。たとえば、三浦学園には工業技術科がありましたが、それを「ものづくりコース」と「デザインコース」の2つに変えます。デザインが入って付加価値が高い分野の学びも加わるので、とても楽しみです。

--志望校選びのタイミングや注意点を教えてください。

秋山氏:私立は12月までに受験校を決めなくてはならないので、これから学校見学を考えた場合、定期試験が終わってすぐに行く必要があります。そこから12月の成績が上がった場合、変わらない場合、下がった場合の3タイプをしっかりと考えておかないと、スケジュール的に慌ただしく、保護者様が仕事を休む必要性が出てくる場合もあります。

 公立校は基本的に1月ぐらいには決めた方が、受験生は精神的に落ち着いて勉強に取り組めるでしょう。制度上は2月まで志願先の変更が可能ですが、ずっと行きたかった学校を手放して2週間後に違う学校の試験を受けるのは、やはり違和感を持つ場合もあります。諦めなければいけないという落ち込みから回復するのに、およそ1か月はかかるように思います。2月15日の入試を考えれば、1か月前には安全に行くのか、そのまま変えずに行くのかを決めるのが良いでしょう。


 最近は公立の志望校を一定ラインより下げるなら、私立校で良いという生徒が非常に増えています。そのときの注意は、この公立だと進学実績が出なそうだから、手厚く補習してくれそうな私立を選ぶ、という場合。私立校はコースごとの合格者数をあまり発表しませんので、入学してみたら特進コースだけが実績を出していることが分かった、というケースも良くあります。

 私たちは首都圏の公立と私立の進学実績を卒業生の人数で割って、卒業生のうち何パーセントが国公立や早慶、GMARCH、日東駒専に進むのかを調べました。すると、私立よりもむしろ同レベルの公立の中堅校の実績のほうが良いケースがたくさんある。私立の修学旅行で海外に行くお金を予備校に回すなど、もうひとつ上の大学に行ける工夫ができる可能性もあります。お子さんの進みたい大学に行かせてあげたいという保護者様はとても多いので、数年先までを見通し、志望する高校の進学実績をしっかり調べて検討した方が良いでしょう。

 一方で、神奈川は入学時の偏差値が大差ないのに、大学進学実績が全然違う場合があります。また都立と神奈川の公立で同じレベルの高校を比べたときにも、都立の方が圧倒的に国公立の合格が多い場合もあります。その違いは、子どもたちの学力そのものではなく、その学校の持つ文化や環境の有無です。このレベルに行くのが当たり前だという「OKライン」が高く、高3で文系でも理系の勉強をすることにも違和感を持たないというような、環境によるところが大きいのです。

 高校を選ぶときにOKラインを安易に下げると、入った先で似た環境の生徒たちと一緒になり、先輩たちが行った大学のレベルでOKという雰囲気に流されがちです。もちろんレベルの高い大学に行ったから幸せになるというわけではありません。そこは多様な価値観があって良いと思います。しかし、進学実績を重視するというのであれば高校のOKラインどこにすべきかの検討は十分大事ことだと考えます。

入試本番を見据えた実践的な勉強



--受験生への学習アドバイスをお願いします。

渡邉氏:受験は1日5教科で体力的にも厳しいです。冬休みで時間があり、塾の冬季講習に行かない場合は、過去問を利用して当日と同じスケジュールでやってみることをお勧めします。本番と同じ時間配分を使っての勉強は、とても価値があると思います。この冬休みか1月の土日に何回かしかやる機会がありませんので、ぜひ取り組んでいただきたい。

 これは特色検査も同様で、今はだいぶ時間との勝負が色濃くなっています。ただ問題を解いて復習の繰り返しで解ける問題を増やすだけでは、なかなか良い得点につながりません。もちろん冬休み前の学習の進捗度合いにもよりますが、冬休みには科目問わず、実践的な勉強が始められるようになると良いですね。

--現中2生にもアドバイスをお願いします。

秋山氏:学校説明会も開催されるようになっていますが、一部は中3生のみに限定されており、実際の見学が難しい学校もあります。ただ学校情報はネットや進学情報誌でも取得できます。本当に気をつけてほしいのは、ネット情報での取捨選択は極めて難しいということ。まずは事実を把握しましょう。

 市販はしていませんが、弊社では生徒向けの学校案内も用意しています。卒業生のコメント等も参考にしながら、学校のカリキュラムを見たり、進学実績を卒業生で割って他の学校と比較したりする等、事実ベースで情報を見て活用してほしいです。そうでなければ、感想に振りまわされる選び方になってしまいます。弊社では「私立高校情報オンラインナビ」という私立高校専用の動画集をWebサイトに用意していますので、こちらもぜひ参考にしてください。

湘南ゼミナール 教務支援部 特色検査対策責任者 渡邉豪氏

渡邉氏:私たちは特色検査対策で定評をいただいていますが、特色検査対策は実は中1、中2生から進めることが大切です。特色検査で求められるのは、主体的に学ぶ姿勢を身に付けて、いろいろな物事に興味をもち、自分事化して学ぶ力です。それは、その先の大学受験や社会に出て生きてくる力だと思います。神奈川の公立高校が今年の国公立大学の実績で飛躍したのは、特色検査と無関係ではないのかもしれません。高校の3年間で主体性や思考力を養うことができる機会が多い環境にいるかどうかで、大学受験時の力に差が付いていくことになるので、しっかりと先を見据えて準備を進めると良いと思います。

--保護者としては心配する気持ちから、いろいろと我が子の学習や生活態度等に口を出してしまうこともあると思います。最後に子供たちを支える保護者に向けてアドバイスをお願いします。

渡邉氏:まずは体調管理を最優先に。また勉強するのはお子さまなので援助するスタンスで、しっかりと見守っていくことが一番です。具体的に何かお困りのことがあれば塾に伝えてもらえれば話はできます。家族で抱えるとうまくいきません。子供にとってもストレスなく進められることは大切です。

秋山氏:本当に電話で悩みを教えていただくだけでも構いません。抱え込まずにお話いただければ「うちだけじゃないんですね」と気付いてくださったり、気持ちが軽くなる保護者様もいますので、家族以外の人の力も借りながら乗り越えてほしいです。

--ありがとうございました。

 学習指導要領の改訂で中学の成績や高校のコース再編などの情報が飛び交う今、ご家庭では、さまざまな戸惑いが生じる場合があるだろう。そんなときには、湘南ゼミナールのような塾の存在は心強い。来春の受験生が心置きなく入試で力を発揮できることを願いたい。

湘南ゼミナール 12月+冬期講習 授業料無料体験


対象:湘南ゼミナールが初めての小学4年生~中学3年生
日程:12月授業期間 2021月11月30日(火)~12月25日(土)
   冬期講習期間 2021年12月27日(月)~2022年1月7日(金)
湘南ゼミナールが初めての人は
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湘南ゼミナールについて
《佐久間武》

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