「TOEFL Primary」×「英語圏最先端の本物の体験」深まる追手門学院小学校の人間教育

 西日本でもっとも歴史のある私立小学校として知られる追手門学院小学校。同校の英語教育の改革に熱を注いできた井上恵二校長に、「TOEFL Primary」を活用した先進的な英語教育の取組みについて話を聞いた。

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追手門学院小学校
  • 追手門学院小学校
  • 追手門学院小学校 井上恵二校長
  • 世の中に先駆けて、1997年より情報教育を行ってきた
  • メディアラボ
  • メディアラボ内のフューチャーラボは、3階に220インチ、2階に150インチの大型スクリーンを常設。迫力ある映像を投影したり、教室で作成した資料を大画面で表示・プレゼンテーションしたり、よりアクティブに学ぶことができる
  • メディアラボ内のアクティブスペースは、ライブラリーとつながる開放的なスペース。図鑑やタブレットPCを使用して調べ学習を容易に行ったり、大階段はプレゼンテーションにも利用可能
  • メディアラボ内のイングリッシュルームは、創設当初から行ってきた英語教育をさらに深めるべく、少人数指導が可能なイングリッシュルームを3室設置。中2階のライブラリーから階段を上がった場所にはオープンエリアの学習場所もある
  • メディアラボ内のイングリッシュルームは、創設当初から行ってきた英語教育をさらに深めるべく、少人数指導が可能なイングリッシュルームを3室設置。中2階のライブラリーから階段を上がった場所にはオープンエリアの学習場所もある
 西日本でもっとも歴史のある私立小学校として知られる追手門学院小学校。明治時代より英語授業を行い、「世界有為」を意識した教育理念から、インターナショナルスクール系幼稚園出身の児童が15%在籍するほど「英語に強い」イメージが定着している。

 長年にわたって同校の英語教育に熱を注いできた井上恵二校長に、「TOEFL Primary」を活用した先進的な英語教育の取組みと、英語圏最先端の「本物の体験」を追求する新プロジェクトについて話を聞いた。

「伝統と革新」の理念を受け継ぐ



--まず、御校の教育全般の特徴について教えてください。

 本校の創設は遡ること1888年(明治21年)、今年で133年目を迎えます。創設者である高島鞆之助は陸軍の軍人でありながら、軍人教育ではなく近代的な教育を目指しました。ヨーロッパを外遊した高島は、列強諸国に並ぶ国づくりのためには、近代的な教育を修めることが必須であると痛感していました。その一方で、欧化政策が進む中で日本の礼儀礼節が失われていくことに危機感を感じていたといいます。

追手門学院小学校 井上恵二校長

 そこで高島が大切にしたのは、今「伝統と革新」という合言葉に象徴される、「日本古来の礼儀礼節を大事にしながら、最先端の教育機会を作る」という理念です。開学当初から英語やダンスの授業があるなど、当時の最先端を取り入れた教育が評価され、医者や商家、高級官僚の子弟などが生徒の9割を占めるようになっています。

--「最先端の教育機会を作る」という理念は、現在にも受け継がれているのですね。

 1997年から週1回、情報科目としてパソコンのスキルを学ぶ等、世の中に先駆けて情報教育を行ってきました。子供たちはWordやPowerPointは普通に使いこなしていますし、4年生くらいになるとタッチタイピングもお手のものです。プログラミング教育についても5、6年前から取り入れ始め、2019年からは通常の時間割にも組み込んでいます。

世の中に先駆けて、1997年より情報教育を行ってきた

 次に、創立130周年を記念して建てられたのが「メディアラボ」です。英語やプログラミング、STEAM教育に特化した校舎で、広いフロアと図書館機能を備え、アクティブラーニング型のグループ学習がしやすい環境が整っています。中でも目玉は220インチの大型スクリーン画面を備えたフューチャーラボです。理科では顕微鏡のミクロ映像を大きく映して共有したり、英語教育ではWebを使ってオーストラリアの姉妹校の先生が大画面に登場し、レッスンをしたり、いろいろな活用をしています。

メディアラボ

メディアラボ内のフューチャーラボは、3階に220インチ、2階に150インチの大型スクリーンを常設。迫力ある映像を投影したり、教室で作成した資料を大画面で表示・プレゼンテーションしたり、よりアクティブに学ぶことができる

メディアラボ内のアクティブスペースは、ライブラリーとつながる開放的なスペース。図鑑やタブレットPCを使用して調べ学習を容易に行ったり、大階段はプレゼンテーションにも利用可能

英語は週3時間、3つのスタイルで



--教育理念「社会有為の人材育成」のもと行われている御校の英語教育について教えてください。

 「社会有為の人材育成」という教育理念を掲げていましたが、時代の変遷とともに、より広い「世界有為」という意味でとらえています。これまで週1時間だった英語を6年前から増やし、現在は週3時間、3つのスタイルで授業を行っています。

 3年生以上においては、ネイティブの先生が中心となって展開する「外国語」授業が1時間、「総合」過程の中での英語を使った活動が1時間、午後学習として担任による「読み書き」を意識した英語学習が10分×5日間分となっています。1、2年生も週1回の「外国語」授業、午後学習のほか、週3時間ある生活科の1時間をネイティブの先生が中心となって英語で行っています。たとえばアサガオの種を植えて育てる内容を英語で取り組むといったように、実体験を通じて英語に親しんでいます。

 「外国語」の授業は1クラスを2つに分け、それぞれにネイティブの先生と日本人の先生がつき計4人体制で指導をしています。ネイティブの先生が、教科書を越えたオリジナル教材を作ってくれたり、午後学習の時間に絵本の読み聞かせや西洋文化の話をしてくれるので、子供たちは先生のことが大好きです。ネイティブの先生から習うことで、英語を聞き取る「耳」が養われるのはもちろん、正しい発音が自然と身に付いていると感じます。「書く」「読む」ことについても力を入れていて、語彙力をつけるためのテキストやCDも同時に活用しています。

メディアラボ内のイングリッシュルームは、創設当初から行ってきた英語教育をさらに深めるべく、少人数指導が可能なイングリッシュルームを3室設置。中2階のライブラリーから階段を上がった場所にはオープンエリアの学習場所もある

TOEFL Primaryスコアで習熟度を測る



--TOEFL Primary導入のきっかけと狙いについて教えてください。

 数年前になりますが、これからの英語指導においては4技能の国際標準であるCEFR指標に連動した英語能力をみていくのが一般的になるという話を聞きました。教育理念である「社会有為の人材育成」を「世界有為」としたときに、日本だけでしか通用しない英語能力の指標では、いざ海外へ出たときに自分の英語能力を他と比べられないのではという懸念がありました。そこで世界に通じる指標で英語の力を測ることが不可欠だと考えたことが、TOEFL Primaryの導入に繋がりました。世界を見据えた教育理念と重なる部分があること、小学校時点での英語力に始まって、大人になるまで同じ指標で自分のスコアを測定していけるというのは大きなメリットだと感じています。

--実際にはどのように活用されているのでしょうか。TOEFL Primaryのスコアを用いた「習熟度別授業計画」について教えてください。

 3年生以上を対象に年2回、全員がTOEFL Primaryを受けています。客観的に英語能力を測ることで、まずは個人の英語力向上の励みにしてもらいたいのが第一。また、先ほどクラスを2グループに分けて外国語の授業を進めているとお伝えしましたが、TOEFL Primaryのスコアを参考にして、習熟度別のグループ分けを行っています。言語ですので自分の理解能力に合ったところで学ぶのがもっとも効果的です。子供の満足感も高まりますし、スムーズに授業が進むとネイティブの先生からも好評です。習熟度で分けることは、先生と子供の双方にメリットがありますね。次のTOEFLにもさまざまな取組みの成果が反映されていくのではないかと大変楽しみです。

 大阪大学ではTOEFL Primaryの最上級編であるTOEFL ITPを導入し、習熟度別の英語教育を実践しています。大学でのよりアカデミックな英語、学びや研究等、実践の場で使う英語にTOEFL ITPを活用しているそうですが、それを小学生の段階で取り入れて習熟度別授業に生かしているのは本校が唯一と伺っています。

習熟度別授業のようす。小学校時点での英語力に始まって、大人になるまで同じ指標で自分のスコアを測定していけるというのがTOEFL Primary導入の大きなメリットのひとつ

--「習熟度別授業計画」を取り入れた背景には、どのような理由があるのでしょうか。

 本校での英語教育を実践するにあたって、国内外多くの英語教育の現場を視察してきました。中でも、韓国にある姉妹校の英語授業のレベルの高さには驚きましたね。1つのクラスを能力別に4分割して授業を行っていたのですが、一番上のクラスはネイティブ並みの英語力をもち英語圏の学校の教科書を使っていましたし、一番下のクラスでも日本の上級レベル並みの英語を話していました。韓国では塾といえば英語塾を指すほど英語教育熱が高く、幼稚園時代から英語を叩き込まれている子が集まってきた結果、英語に強い学校になったそうですが、英語に力を入れている学校というのはこれほど違うのかということを実感しました。さらに富裕層は長期休暇があると親子で英語圏に短期留学をしたり、普通の家庭の子でも国内のパジュ英語村に通ったりするほど熱心。それほど国民が英語の必要性を感じているということですよね。

 他にもフィリピン・セブにある英語学校の視察や、台湾、タイといったアジア圏の英語教育も調査してきましたが、話す英語のレベルも教師の資質も高く、日本は相当遅れをとっていると痛感しました。文科省が必須教科として英語を取り入れたのも日本は最後でしたし、どうすれば追いついていけるのかということは課題として常に感じています。他国や他校の情報を取り入れながらカリキュラムを研究し、本校の英語教育に足りていないこと、やっていくべきことを絞り込んでいった結果、TOEFL Primaryのスコアを用いた習熟度別授業計画を含め、現在の英語教育に至っています。

TOEFL Primaryは、将来を見据えたプレテスト



--小学校で目指す習熟レベルについて教えてください。

 CEFRのB1~B2(学校や生活などの身近な話題から、抽象・専門的な内容でも問題なく理解ができるようになるレベル)を目指しています。ただ、こればかりは家庭環境や入学時点の英語経験でも異なってきます。本校の15%はインターナショナルスクール系の幼稚園出身で、中には6年生で英検準1級(CEFRのB2相当)を取得する子もいるなど、かなり進んでいます。一方で、小学校に入って初めて英語に触れる子もいるので到達目標にも個人差はあります。

 インターナショナルスクール系の幼稚園から来る子も多いと聞いて、一般的な日本の幼稚園から来た子はちゃんと英語についていけるのかと心配される声も多いです。確かにスタート地点での差はありますが、きちんと勉強している子は4年生くらいでその差が縮んでいきますね。習熟度別クラスの中で自分に合った英語が勉強できるようになったこともあり、インターナショナルスクール出身でなくても伸びている子はたくさんいます。やはり幼児期に触れる幼児会話としての英語と、小学校から学ぶ学問としての英語には違いがあるようです。

 TOEFL Primaryに始まり、TOEFL Junior、TOEFL iBTというように大学生、社会人まで英語の学びは続いていきます。私たちがTOEFL Primaryを通じて測る英語能力というのはあくまでそのスタート段階、プレテストに過ぎません。6年生がゴールなのではなく、長い将来を見据えたうえでの通過地点として現段階をとらえてほしいと思っています。

--TOEFL Primaryを受けた子供たちの反応はいかがでしょうか。

 自分の英語力がはっきりと数字で見えるというのは嬉しいようで、次の学びにつながる良い刺激になっています。学校のヒアリングテストやペーパーテストでの獲得点を競うのではなく、英語を母語としない国の人たちの中で自分はどのくらい英語が話せるのか、というもっと大きい基準の中で、広い視野が身に付いているという感覚があります。

子供たちは「自分の英語力がはっきりと数字で見えるというのは嬉しい」という。次の学びにつながる良い刺激になっている

--保護者の反応について教えてください。御校は「英語に強い学校」として選ばれているご家庭も多いのでしょうか。

 保護者の方も、英語の必要性を感じていて子供には良い環境で英語を学んでほしいと考えている方は多いです。ですが、私どもは英語だけに特化した学校ではないということも伝えておきたいですね。あくまで総合的な子供の成長に力を入れていく中の、欠かせない柱の1つして英語教育があるという認識です。

 関西にも英語をツールとしたイマージョン教育を取り入れている学校は多くありますが、それだけではない、日本人らしさを大切にしたいという「心の教育」も大切にして教員たちは教育活動をしています。校門に入るときは一礼をして、感謝の気持ちを心で唱えよという教え、部屋に入るときは帽子をとって「失礼します」と言って入室するといった、礼儀礼節を大切にする教育こそが、本校が大切にしている部分です。英語を使って国際舞台で活躍してほしいという思いと同じくらい、日本人としての良さを大切にしてほしいという思いがあります。そういった思いをもつご家庭に選ばれているのだと思います。

 また、本校には中高へと続く併設校が2校ありますが、内部進学生として進むのは学年全体の10~15%程度で、ほとんどが中学受験をします。「進学」という出口においても中学入試という関門があるので、主要4教科についてもレベルの高い授業を展開しています。算数は独自のテキストを使い、5年生から教科担任制を敷いてより専門的な深い理解を得られるようにするなど、英語のみならずバランス良く子供たちを伸ばしていけるような取組みをしています。

--国際交流にも力を入れていると伺っています。

 古くは1971年から海外との交流がスタートし50年を越えました。当時は船で海を渡り、ドルを使っていた返還前の沖縄に上陸したという記録も残っています。その後、ハワイの姉妹校との交流が34年間、オーストラリアの姉妹校とも32年間と現地校と交流が30年以上続いているのは珍しいでしょうね。

オーストラリアの姉妹校との交流も活発。時差が無いので授業にスクリーン越しに登場してもらう等、
海外との交流は日常化している

 オーストラリアとは時差がないので、スクリーン越しに登場してもらってWeb授業を受けるなど、コロナ禍で海外との交流は途切れるどころかより日常化しています。今年から始めたのが「Webファミリー交流」という取組みです。私どもの学校から4家庭、オーストラリアの学校から4家庭、それぞれマッチングした4組で自由に交流してもらうというもの。約2か月間オンラインで交流した内容を、パソコンを使い、10枚ほどの資料にまとめて子供が英語スピーチで体験を発表する機会があったのですが、文化の違いだったり、お互いの家族の紹介だったり、とても興味深い内容でした。

本物の体験こそが子供の未来を育てる



--国際教育センターの設置構想について教えてください。

 国際交流自体は50年以上前から行っていましたが、仲の良い姉妹校と相互訪問をして文化交流をすることが本当の意味での国際経験に繋がるのかと疑問をもたざるを得ない時代になってきたとも感じています。もっと世界の先端技術に触れ、日本にまったくない環境の中で世界を学んでいこうという理念を実現するために「国際交流センター」を立ち上げました。キーワードは「世界」「グローバル」「宇宙」「人間」です。この4つに関わることを子供たちに経験させていこうという構想です。

 現在進めているのは、シリコンバレーの「S」、国連本部の「U」、NASAの「N」をとって名付けられた「SUNプロジェクト」。具体的には、スタンフォード大学のドミトリーに滞在してSTEAM教育を受けるほか、シアトルの旅客機製造工場やシリコンバレーでGoogleやMetaなどのトップ企業を訪問したり、国連本部に出向いて多人種の方々が将来のための議論をしているところを見たり、ケネディ宇宙センターではロケット発射台を生で見学するなどの経験をします。英語を身に付けることが目的ではなく、本物に触れる、英語圏の最先端の教育を受けに行くことが狙いです。

 宇宙飛行士を乗せたロケットは打ち上げ後に宇宙空間にあるISSにドッキングしますが、そのロケットを打ち上げた発射台を実際に見たら、やはり人生が変わる経験になるのではないかと思うのです。世界に影響を与える人になりたいという思考をもてるような体験をさせたい。それにはやはり実際に体感、体験しないと、そこを目指せる人にはならないのではないかという思いがあるのです。

 星出彰彦宇宙飛行士は、4歳のとき母親とスミソニアン博物館を訪れたことがきっかけで宇宙飛行士を目指したそうですが、4歳のときの刺激が大人に繋がるのはすごいことですよね。そういう経験を我が校でできたら良いなという思いをもちながら、プロジェクトの実現に向けて動き出しています。

大阪城が見守る追手門学院小学校

--壮大なプロジェクトですね。構想を聞いているだけでもワクワクします。このワクワクが学びの芽となっていくのでしょうね。最後に、これからの英語教育の展望を教えてください。

 「英語」という教科を学ぶのではなく、第二言語を学ぶような感覚で英語を身に付けていければ思っています。日本人は単一民族として育ち、なかなか世界に出ていけないという性質がありますが、英語が必修になった今からでも第二言語が英語であるという意識をもって良いのではと思います。まだまだテストのため、進学のためにという感覚が強いようにも思いますが、追手門学院小学校から巣立っていく子供たちには、第二言語は英語という意識をもって世界に臨んでほしいと思っています。

--ありがとうございました。

 「人間教育や学習面等にもしっかり力を入れつつ、英語に関しても他校以上にきちんと取り組んでいます」そう胸を張る校長。TOEFL Primaryを活用した英語教育がSUNプロジェクトへと繋がり、世界に羽ばたいていく翼となる。恵まれた環境から、さらなる高みを目指す追手門学院小学校の子供たちの輝ける未来を応援したい。

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《吉野清美》

吉野清美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、子育てとの両立を目指しフリーに。リセマムほかペット雑誌、不動産会報誌など幅広いジャンルで執筆中。受験や育児を通じて得る経験を記事に還元している。

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