パンデミックや災害時のみだけではない、ICTのメリットを生かした授業をいかにつくるかという課題や今後も生じるであろう「さまざまな社会的変化」を乗り越えていくためにあるべき教育の姿について、業界のキーマンはどのように考えるのか。これからの教育を率いていかれるであろう方々に、2022年の年頭所感をお寄せいただきました(掲載は、お名前五十音順)。
サイタコーディネーション代表 江藤真規氏
あけましておめでとうございます。COVID-19に度重なる自然災害、世界中の人々が未経験の課題に直面する中、昨年は、人々の働き方や暮らしにニューノーマルが表れ始めた1年だったと振り返ります。人の有する底力の大きさを再確認するとともに、「つながり」の価値が浮き彫りになりました。子育て世代においては社会の変容に加え、教育の大規模改革もあり、混乱の1年だったと感じます。数値化されない力への着目に入試改革、オンラインの進展による学びの多様化、これらの変化は、保護者の子育て観に変化をもたらし、また、家庭教育への期待も高めました。「みんながやっているから」という考え方から、「我が子にあった学び」へ。子どもを尊重した社会に移行しつつあるのは、とても良い流れだと感じつつ、過渡期を生きる保護者には、見通しの立たない未来への不安も多くあります。
このような時代に求められるは「つながり」だと考えます。「教える―教えられる」という一方向の関係性は、正解なき世界では機能しません。子育ての不安を軽減し、家庭教育力を高めるためには、人と人との「つながり」が必要です。そして、この「つながり」は、親の学びを通して実現できると考えます。弊社では、子どもの育ちを応援する多様な方々のつながりの場、学びの場を展開すべく、本年も子育てコーチングスクール運営に尽力してまいりたいと思います。
公式Web:サイタコーチングスクール
育児・教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏
年始の抱負などそういったものを特に抱いたことはありません。年が変わっても、私にとっては明日が今日になっただけなのですが、せっかくなので少しだけ説教じみたことを言わせていただこうと思います。もちろん教育は社会にとって非常に大事なことですが、教育は社会を変える万能薬ではありません。教育を語る前に、まずは大人がしっかりしなくてはと思います。
さて、私事ではありますが、昨年12月にオンラインサロンなるものを開設してみました。「ついにおおたも信者ビジネスを始めたか」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうではありません。「オンラインで、安心して子育てや教育について語り合える場をつくりたい」そう思いました。システム上の最低金額設定の月額参加費を頂きますが、会費収益の全額を無料塾と「子どもシェルター」に寄付します。ぜひ、「思うところ」だけでもご覧になってください。
公式Web:オンラインサロン「正解がない時代の育児・教育・受験・進学について気軽に語り合える井戸端」
教育家・見守る子育て研究所 所長 小川大介氏
明けましておめでとうございます。2022年の幕開けは人と人との交流が戻ってきた喜びを感じます。手探りの未来ではあるけれど希望を胸に、人の力を信じて新たな社会を築いていく一年となることを願っています。
私の2021年は、「見守る子育て」を世に広める「発信」の一年でした。オンラインサロンを開始し、例年以上にメディア取材をいただき、Youtubeチャンネル「小川大介の見守る子育て研究所」を育ててきました。ありのままを認めるということ、「遊び」の価値、自分自身を大切にする考え方が、少しずつ、でも着実に世の理解を得ていることを実感しています。そして2022年、私は「見守る子育て」の理念をより広く深く届ける5つのチャレンジを行います。
1)全国講演により「見守る子育て」を各地に届けます。
2)「子どもの才能診断」サービスをリリースします。
3)「親も子も幸せになれる中学受験」を提案し、受験家庭をサポートします。
4)「見守る」メソッドにより社会人のメンタルヘルスをサポートします。
5)子育てしやすい社会の実現に向けて、男性意識の変革を進める一助となります。
私の根幹にある思いは、「子どもを信じる」そして「親も信じる」ということ。子どもたちそれぞれの才能と可能性を引き出し、親御さんの笑顔が広がるように取り組んでいきます。今年も応援のほどなにとぞよろしくお願いいたします。
公式Web:YouTubeチャンネル「小川大介の見守る子育て研究所」
文部科学省 大臣官房文部科学戦略官・総合教育政策局教育DX推進室長 桐生崇氏
あけましておめでとうございます。本年は、GIGAスクール構想による1人1台環境と高速ネットワークが本格的に普段の学びで活用され、データや知見をフルに活用して学びそのものを豊かにする教育DXがさらに進む年になります。
教育DXは3段階に分かれますが、現在の取組みの多くはアナログをデジタルにしていく第1段階であり、まずはこの部分をしっかり取り組むことが重要です。そのうえで、並行してあるべき未来を描き、第2段階、第3段階も取組みを進められるところは進め、試行や議論を行っていく必要があります。
文科省においては教育DXの実現に向けてルールとツールの整備を加速化しています。具体的には、教育データの相互利活用を行うためにまず必要なデータの内容と規格を揃える「教育データ標準」の公表を進めてまいります。また、公教育のCBTプラットフォームシステム「MEXCBT:メクビット」は、昨年12月から希望する全国の小中高等で活用できるようになっており、令和4年度はさらに大学等でも活用できるようになります。また、地方自治体における学力調査等においてもMEXCBTを活用していただけるようにしていきます。国レベルでDXに取り組まれる学校設置者や学校のみなさま、関係のみなさまの動きを文部科学省は強力に支援いたします。また、これらの取組みは、学校内外を通じた教育や、様々な分野のDXを行うデジタル庁等の関係省庁とも緊密に連携しながら進めていきます。
教育DXのコアは、知見・ノウハウを共有し、教育に関わる人々(子供に限りません)の成長自体を引き上げていくことです。その実現に向け、本年も教育に携わる多方面の皆さまのご意見を伺いながら取り組んでまいりますのでよろしくお願いいたします。