学習塾と保護者「塾選びの基準」「連絡手段」の認識に乖離

 保護者と学習塾は、「コミュニケーションのデジタル化」を進めたいという共通認識がある一方で、「学習塾選びの基準」や「連絡手段」の認識に乖離あることが、POPERが2022年5月25日に公表した調査結果から明らかになった。

教育・受験 小学生
学習塾を知ったきっかけ
  • 学習塾を知ったきっかけ
  • 集客目的で力を入れている施策
  • 学習塾を選んだ基準・保護者が重視していると思う学習塾選びの基準
  • 子供が通っている学習塾の連絡手段
  • デジタル化を進めてほしい項目・デジタル化を進める必要がある項目
  • 退塾を検討した理由・想定される退塾理由
  • 期待する授業外のサポート・現在行っている授業外のサポート
  • 1か月/年間でかけられる学習塾代
 保護者と学習塾は、「コミュニケーションのデジタル化」を進めたいという共通認識がある一方で、「学習塾選びの基準」や「連絡手段」の認識に乖離あることが、POPERが2022年5月25日に公表した調査結果から明らかになった。

 「保護者と学習塾の意識調査」は、学習塾に通う小・中校生の子供をもつ保護者300人と、全国の学習塾70教室を対象に、スクール専用業務管理&コミュニケーションアプリ「Comiru(コミル)」が実施した。調査期間は、保護者向けが2022年4月12日~4月15日、学習塾向けが2022年4月19日~5月12日。

 「保護者と学習塾の意識調査」を実施した背景には、2022年入試は過去最多の受験数を記録し、今後も受験が盛り上がることが予測されていることがある。

 保護者はどのような学習塾を求めているのか、またその希望に学習塾は答えられているのかについて、保護者と学習塾の意識の差を可視化する目的で「学習塾を知ったきっかけ」「学習塾選びの基準」「学習塾と保護者の連絡手段」「デジタル化するべき項目」「退塾を検討した理由/想定される退塾理由」「学習塾に期待する授業外のサポート」「1か月/年間でかけられる学習塾代」の7つの項目で調査を行った。

 保護者の「学習塾を知ったきっかけ」について、1位は「知人・友人の口コミ」、2位は「教室を見かけた」、3位は「ネットの口コミ」だった。一方「ブログ」は17位、「メルマガ」は18位で学習塾から発信する情報は効果が薄いことが浮き彫りになった。

 「学習塾が集客目的で力を入れている施策」では、「ブログの更新・掲載」は4位で注力しているが、「ネットへの口コミ掲載」は6位とあまり重視していないことがわかった。保護者の意識と合致していないことが明らかになった。

 「学習塾選びの基準」について、保護者の回答1位は「自宅・学校から近い」、2位は「子供に合うカリキュラムがある」、3位は「講師や教室長とのコミュニケーションが取りやすい」だった。一方、学習塾による「保護者が重視していると思う学習塾選びの基準」の回答は1位が「自宅・学校から近い」、2位が同率で、「講師や教室長とのコミュニケーションが取りやすい」と「講師と子供との相性」だった。

 「学習塾と保護者の連絡手段」について、「メール」「LINE」を希望する保護者が多く約5割が回答していた。一方、実際は約7割が「電話」で連絡を取っており保護者の要望に答えられていない学習塾が多いことがわかった。

 「デジタル化するべき項目」については、保護者の1位が「保護者からの相談連絡」、2位が「学習の進捗管理」、3位が「学習塾からのお知らせや連絡通知」だった。学習塾側の1位は「学習塾からのお知らせや連絡通知」、2位は「出欠の管理・連絡」、3位は「保護者からの相談連絡」だった。日々の連絡に加えて、授業・学習の進捗管理もデジタル化することで、保護者の満足度を高められる可能性が高いことがわかった。

 「退塾を検討した理由/想定される退塾理由」は、どちらも1位が「成績不振」、2位が「保護者と講師のコミュニケーション」となり、同じ結果になった。学習塾は保護者と円滑なコミュニケーションをとれる体制を整えることが重要になるといえる。

 「学習塾に期待する授業外のサポート」については、保護者の1位が「子供の成績管理」だった。一方、学習塾側が現在行っているサポートの1位は「受験前の保護者の相談対応」、2位が「進路相談、最新の入試情報」でややズレが生じていた。

 「1か月/年間でかけられる学習塾代」については、月額の平均は約2万3,000円、授業料や講習・合宿等を含めた年間トータル学習塾代は約28万円だった。

 調査では、学習塾と保護者の認識として共通している点、相違点が明らかになった。保護者が入塾に際し、経営者と比べて口コミを重視している点や、講師の授業方法を重視している点から考えると、授業の質を向上していく部分に生徒獲得のヒントがあると言えそうだ。

 また、保護者とのコミュニケーション内容についても、理想はメールやLINEである一方で、現実としては電話が多いという結果となった。退塾理由の共通認識としてもコミュニケーションが双方からあげられ、デジタル化をしたい部分として上位であることを考えると、デジタル化したほうが良いことはわかっていながらも塾経営の運用を変えることが難しいという実態が読み解けた。

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《鈴木あさり》

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