女性の理想像「仕事と子育ての両立」初の最多…出生動向基本調査

 国立社会保障・人口問題研究所は2022年9月9日、「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の 結果概要を公表した。「女性のライフコース」の理想像は、男女ともに「仕事と子育ての両立」が初めて最多となった。

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調査別にみた、未婚者の生涯の結婚意思
  • 調査別にみた、未婚者の生涯の結婚意思
  • 年齢別にみた、未婚者の生涯の結婚意思
  • 年齢別にみた、未婚者の異性との交際の状況(恋人または婚約者がいる割合)
  • 年齢別にみた、異性との交際経験(恋人として交際)をもつ未婚者の割合
  • 調査別にみた、女性の理想・予想のライフコース、男性がパートナーに望むライフコース
  • 調査別にみた、未婚者の平均希望子供数
  • 結婚年次別にみた、恋愛結婚・見合い結婚の構成割合
  • 調査別にみた、夫婦の完結出生子供数(結婚持続期間15~19年)

 国立社会保障・人口問題研究所は2022年9月9日、「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の結果概要を公表した。「女性のライフコース」の理想像は、男女ともに「仕事と子育ての両立」が初めて最多となった。

 出生動向基本調査は、日本の結婚と夫婦出生力の動向やそれらの背景について定期的に調査し、関連諸施策や人口動向の把握に役立てる目的で実施されており、独身者調査と夫婦調査から構成されている。「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」は2021年6月に実施。当初、2020年6月に実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年延期して実施された。

 調査対象は、「2021年(令和3年)国民生活基礎調査」で設定された調査区から無作為に選ばれた全国1,000調査区に居住する年齢18歳以上55歳未満の独身者と、妻の年齢が55歳未満の夫婦(回答者は妻)。独身者調査の有効票数7,826票、夫婦調査の有効票数6,834票。

 独身者調査では、「いずれ結婚するつもり」と考える18~34歳の未婚者は、男女、年齢、生活スタイルの違いを問わず減少。男性は81.4%(前回85.7%)、女性は84.3%(前回89.3%)となっている。恋人と交際中の割合は男性21.1%で横ばい、女性27.8%で前回から微減。一方、未婚者の3人に1人は「特に異性との交際を望んでいない」と回答。また、6割の男女が恋人(異性)との交際経験あり(男性60.0%、女性64.8%)と回答している。

 女性が理想とするライフコースでは、結婚し子供を持つが、仕事も続ける「両立コース」が前回調査の32.3%から34.0%に増加し、今回初めて最多となった。結婚相手に求める条件として重視するものは、男女とも「人柄」で、ついで「家事・育児の能力や姿勢」「仕事への理解と協力」。女性では7割が相手の「家事・育児の能力や姿勢」を重視している。男性に比べ、女性のほうが相手の学歴、職業、経済力を重視・考慮する傾向があり、第10回(1992年)調査以来、その傾向は変わっていない。

 未婚者に子供は何人くらい欲しいかを聞くと、結婚意思のある18~34歳の未婚男女の平均希望子供数は、1982年以降おおむね低下傾向が続き、今回調査では男性で1.82人となり、女性では初めて2人を下回り1.79人となった。

 夫婦調査では、職場や友人を介した結婚が減り、SNSやマッチングアプリといったインターネットサービスを利用して知り合った夫婦が最近の結婚の13.6%を占めた。また、夫婦の最終的な出生子供数を「完結出生子供数(完結出生児数)」については、出生過程がほぼ完結した結婚持続期間15~19年の夫婦の出生子供数の分布をみると、2005年(第13回)調査以降、「子供1人の夫婦」の割合がゆるやかに増加しており、今回調査では19.7%と約2割を占めた。無子(出生子供数0人)の夫婦も7.7%(前回6.2%)に増加した。こうした無子、子供1人の夫婦の増加に伴い、子供2人の夫婦の割合は低下し、今回調査では50.8%(前回54.1%)となった。

 また、理想の数の子供を持たない理由が、回答した理想子供数と予定子供数の組み合わせによって異なるかを調べた。理想子供数が3人以上で予定子供数が2人以上の夫婦(この多くは理想3人・予定2人の組み合わせ)では、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」の選択率が59.3%でもっとも多く、経済的理由が3人以上子供を持つことの壁となっている。一方、理想的には1人以上の子供を持ちたいが、予定は0人(子供は持たない)と回答した夫婦の場合、「ほしいけれどもできないから」の選択率が61.5%にのぼった。


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《田中志実》

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