東京【高校受験2023】中学生最後の冬「生徒は最高の結果を想定して準備を」…SAPIX中学部

 英語スピーキングテスト、男女別定員制の緩和、全校インターネット出願等、変化の多い2023年度の都立高校入試。難関校の合格実績が際立つSAPIX中学部 教務部部長の吉永英樹氏と、教育情報センター次長の伊藤俊平氏に、人気校や冬の学習アドバイスについて話を聞いた。

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SAPIX(サピックス)中学部 教務部部長・吉永英樹氏と教育情報センター次長・伊藤俊平氏
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  • SAPIX(サピックス)中学部  教育情報センター次長・伊藤俊平氏
  • 「進学指導重点校における選定基準適合状況」と「進学指導特別推進校および進学指導推進校における大学合格者数の状況」
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 英語スピーキングテスト導入、男女別定員制の緩和、全校インターネット出願等、変化の多い2023年度の都立高校入試。都内公立中学校の卒業予定者は、前年度(2022年度)より1,197人多い7万7,687人。計画進学率を94.0%とすると、進学者は7万3,100人(*)となる見込みだ。受験を控える中学3年生や中学1・2年生は、冬休みに向けてどのような準備を進めておくと良いだろうか。
*2022年9月16日東京都教育委員会発表「2023年度(令和5年度)高等学校就学計画」より

 都立難関高校の合格実績が際立つSAPIX(サピックス)中学部の教務部部長・吉永英樹氏と教育情報センター次長・伊藤俊平氏に、2023年度都立高校入試の動向、制度変更における注意点、人気校、注目校、私立併願校選びの傾向、冬の学習アドバイスや保護者の心構えについて話を聞いた。

スピーキングテスト、男女別定員制緩和の影響

--2023年度の都立高校入試は多くの制度変更がありますが、まず11月27日に行われたスピーキングテストESAT-Jについて、あらためて概要と保護者が留意するべきことを教えてください。

伊藤氏:2017年から東京都教育委員会が東京都立高等学校の入学者選抜における英語の「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の4技能のうち、特に「話すこと」の評価の在り方について検討してきました。新学習指導要領の実施による小学校での英語の教科化も伴い、英語教育の裾野が広がったことから、「話す力」を測ろうというのがモチベーションとなり、スピーキングテストが導入されることになりました。

 ESAT-JはEnglish Speaking Achievement Test for Junior High School Students の略で、習熟度確認テストという意味合いで、本来は皆ができるテストであり、学校で習ったことがどれくらい身に付いているかを確認するテストになります。SAPIX中学部では、今年度7月に「都立スピーキングテストプレ」という模擬試験を行いましたが、注目度が高く、申込開始5分で満席となりました。実際のESAT-J同様、20点満点のテストで、思いのほか差がつく結果となりました。やはりアウトプットが難しいようで、当日焦ってしまったり、話すことが思い付かなかったりという生徒がいました。何を話すか考え、思い付いたらすぐに頭の中で英文にするというプロセスの訓練が足りないと感じました。スピーキングは「慣れ」が大切です。次年度以降に受験する生徒は、東京都の公式サイトには練習問題が公開されていますので、簡単だろうと考えずに、しっかりと練習して臨んでほしいと思います。

--男女別定員制の緩和が2022年度の10%から、2023年度は20%となりました。

伊藤氏:戦後の新制高等学校時代から男女別定員制が続いていたわけですが、唯一これまで残っていた都道府県が東京都(普通科)です。これには東京都の私立高等学校数が200校を超えているという東京ならではの事情があります。男子校、女子校という別学の学校がたくさんありますので、たとえば都立高校に女子の合格者が集中してしまった場合、女子校に生徒が集まらず経営が苦しくなるということが考えられます。

そういった現状を踏まえて、公私連絡協議会が、2023年度(令和5年度)は、おおよそ公立6:私立4の案分(*)で、生徒の募集定員数を分担することを決定したことが前提での男女別定員制の緩和20%ということになります。
*2022年9月16日東京都教育委員会発表「2023年度(令和5年度)高等学校就学計画」より

 8割が男女別定員制で残りの2割は男女関係なく成績順に合格者を決定するということになりますが、2022年度入試の10%緩和措置では、ほとんどの学校で影響がなかったと東京都教育委員会が発表しています。

SAPIX(サピックス)中学部 教育情報センター次長・伊藤俊平氏

 夏の取材でもお話したとおり、2022年度入試の日比谷高校の結果を見ますと、男子の合格者が増えていますが、単純に男子の受験者数が多かった分、合格した男子が多かった。本質的に言えば、制度上の有利不利というより、男子有利と考えた女子生徒と保護者が、安全策を取り志望校を変えた結果、女子の受験者数が減り、合格者も減ったということです。

吉永氏:日比谷高校志望から西高校に流れるとか、国立高校から立川高校に流れるといったことは起こりやすいことです。完全に男女別定員制を撤廃したら、徐々に傾向が表れてくるのだと思います。

大学合格実績から見る都立注目校

--「進学指導重点校における選定基準適合状況」と「進学指導特別推進校および進学指導推進校における大学合格者数の状況」の3か年推移をまとめた資料が東京都教育委員会のWebサイトで公開されましたが、進学指導重点校や推進校の人気校の傾向はいかがでしょうか。

伊藤氏:まず前提からお話ししますと、平成13年(2001年)から進学指導重点校が設置され、まず日比谷高校から始まり、現在7校(日比谷、西、戸山、青山、国立、八王子東、立川)まで指定校が増えています。この選定基準は、難関国公立大学(東京大学、京都大学、医学部医学科等)の合格者実績、共通テスト5教科7科目受験者数の割合が6割以上、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)得点率8割以上の占める割合1割以上と定められています。

 実は過去に青山高校が一時保留扱いになったことがあったのですが、学校改革を行い、1、2年であっという間に実績を伸ばしV字回復して再び進学指導重点校に復活しました。こういう厳しい数値目標を重ねるのが進学指導重点校で、その後に続いてくる学校が進学指導特別推進校進学指導推進校です。

 なお、この資料の共通テスト8割の基準を見ると、全体に大幅に減少していますが、これは従来の大学入試センター試験と比べて、今春の共通テストが著しく難化しているからです。同じ基準で比較するのは今後は難しくなるでしょう。

 また、大学進学実績についても男女別定員制の撤廃が今後どのように影響するかわかりません。さらに2025年度入試から共通テストに「情報」が加わりますが、高校での対策もまちまちですし、得意不得意も出てくる科目だと思います。東大が「情報」の試験を課すとなると、今と同じ基準で高校の評価をするのは難しくなってくるのではと思います。

--2022年度に新設され、注目の高かった立川の創造理数科は、2023年度も引き続き注目校になりますでしょうか。

伊藤氏:2022年度が初年度の入試となった立川高校の創造理数科は、受験倍率4.2倍と都立にしては異例の高倍率でした。2023年もやはり人気は高くなると思いますが、近隣に国立高校もありますので、女子が安全策を取って国立高校に流れるかもしれないという予想もあります。

--昭和高校と上野高校の2校が新たに進学指導推進校に指定されました。

伊藤氏:両国高校が2022年度から高校募集を停止し中高一貫校化しましたので、東の地域で元気な都立高校が目立つのは非常に喜ばしいです。上野高校は、1960年代は毎年40名ほど東大合格者がでるほど学力の高い学校で、東の伝統校でした。学生紛争以降、制服が廃止され自由な校風に変わっていきましたが、制服を復活させ、学習指導を立て直し、見事に実績を復活させて進学指導推進校入りとなりました。自習室や図書館の整備にも予算を付け、ひとつひとつ丁寧に改革を実現してきた結果で、改革がうまくいった良い例で素晴らしいと思います。

--日比谷高校の勢いは2023年度入試も続きそうでしょうか。

吉永氏:もはや1強といえる日比谷高校はやはり注目です。ここ数年日比谷高校のレベルがますます上がっているのは間違いないですし、入学する生徒の学力も、学校の取組みも年々レベルが高くなり、大学合格実績もますます伸びて好循環期に入っています。日比谷高校のレベルが上がれば上がるほど、都立高校全体のレベルが上がっていくと言えます。

SAPIX(サピックス)中学部 教務部部長・吉永英樹氏

自校作成問題対策の肝は基本とその先

--日比谷高校の自校作成問題はやはりレベルがどんどん上がっているのでしょうか。

吉永氏:開成高校や国立大学附属と併願して受験して、そこを受かっても日比谷高校を選ぶ生徒もいます。難関私立・国立大学附属にも合格できる高いレベルの学習をしてきた生徒が受験しているので、高い学力が身に付いている生徒が合格すると言えます。

--毎年貴塾から都立高校入試の翌日に講評を提供いただいていますが、2023年の出題傾向はいかがでしょうか。

伊藤氏:都立高校には出題ルールのようなものが存在すると思われます。たとえば数学では、図が大変丁寧に描かれています。私立高校はむしろ自分で1から描きなさいという問題が多い。都立高校の出題は学習指導要領から絶対にはみ出さないようにしていますし、もしはみ出した内容があれば説明的な問題で、問題が膨らむ傾向にあります。ですので、傾向というよりも見た目で「都立っぽい」というのは大いにわかります。

 英語では、学習指導要領では中学範囲外の英単語が問題の中にあった場合、注釈をつけてあります。その注釈の量が多くて長いため、ひとつずつチラ見しているとなかなか読み終わらない。あらかじめ難しい単語を覚えている生徒はスムーズに読み解けるわけです。この少しの差がトータルとしては大きな差になってきます。

 国語は、最後に作文を残す生徒がほとんどだと思います。50分間の中で漢字が2題、文章題が3題あり、説明的文章のところに作文が付いてきます。日比谷高校は250字程度、八王子東高校が220から240字程度、ほとんどの学校が200字です。その作文まで何分残っているかというと、おそらく皆5分程度だと思います。そうなると時間の削り方の戦いになってきます。

 基本的にはしっかりと学校の勉強を理解していること、そのうえでどれだけその先まで進められるかというところが進学指導重点校の自己作成問題対策の肝になります。

吉永氏:進学指導重点校は、共通テスト5教科7科目に挑む生徒を育成していかなければなりません。理科・社会は自校作成問題ではなく共通問題を使用するため、問題の難度としては易しめですが、2022年度の青山高校は自校作成問題の英語の文章の中に、理系の題材を取り入れていました。幅広い学力をもった生徒を選抜するために、そういった理系要素を入れていく傾向があると言えます。2023年度入試でも、こうした教科横断型のミックスされた出題の可能性は十分あると思います。過去にも、ある私立高校の英語で光合成の内容を聞いたり、天気の変化について聞いたりといったケースがありましたので、注意していかなければならないですし、幅広い知識が必要と言えます。

伊藤氏:共通テストの影響を大いに受けている印象です。これまでは長い文章問題というのは当たり前だったのですが、それに加えて、文章の中にグラフが登場する等、情報を読み取る力が求められています。

「しっかりと学校の勉強を理解していること、そのうえでどれだけその先まで進められるかというところが進学指導重点校の自己作成問題対策の肝」と語る伊藤氏

--そういった問題が解けるようになるためにどのような準備が必要でしょうか。

吉永氏:都立高校の配点は学力検査7割:内申点3割ですから、学校の成績も大切になってきます。難関校志望の生徒に限らず、下の学年から勉強に前向きな生徒が多くなってきている印象です。いろいろなことに興味をもち、学校の勉強時間の枠にとどまらず前向きに学習していく生徒が増えているように思います。

--貴塾の生徒たちはいつごろから準備を進めているのでしょうか。

伊藤氏:SAPIX中学部に入塾を希望する生徒からは、中学3年生の夏休みに「部活を引退したのですが、今から入塾して間に合いますか」という質問をいただくことがあります。その生徒が今までどのように過ごしてきたかで大いに差があります。やはりまったく勉強していなかったり、成績がボロボロだったりとなると困難な状況にはなります。

 学校の勉強にしっかりと取り組んできて、成績も良く、たとえば理科・社会含めて5教科の基礎固めができている生徒は、難関校入試に出るような難しい問題を解いたことがないというだけであって、夏からしっかりと学習していけば十分間に合います。そういう意味では中学校の入学当初から受験勉強が始まっているといえます。

吉永氏:最近は英語を低学年から習っているという生徒が増えている傾向にあります。保護者の方が、受験を見据えて早期に対応をしているということだと思います。近年、小学校でも英語が教科化された側面もあり、早めに取り組むことで、学校の授業もしっかりカバーでき、結果として内申点にもつながっていくと思います。

都立難関志望の生徒は1月から他県の私立併願校を受験

--難関校志望の生徒の私立併願校選びの傾向について教えてください。

吉永氏:都立が第一志望の場合、都立難関校を受験する生徒は都立入試日(2023年2月21日)よりも前に、都立と同じ5教科の入試を行う難関の私立高校を受験する生徒が多い傾向です。都内ですと開成高校や国立大学附属、千葉県ですと渋谷教育学園幕張高校(以下、渋幕)、市川高校が併願数としてはSAPIXではもっとも多い状況です。

 受験を経験して実績を積み、自信をつけて最後に日比谷高校を受験する。そういうストロングスタイルで、目標をもって日々頑張っている生徒が日比谷高校の受験者の中には増えてきています。トップ争いに自分も身を置くんだという強い意志で高校受験に臨んでいます。

--だいたい何校くらい受験するのでしょうか

吉永氏:一般的に併願校は2校ほどだと思いますが、都立難関校を目指す生徒は、男子生徒ですと平均7校、女子生徒は5校くらい出願しています。

伊藤氏:その中でも2022年度の入試の私立併願校で人気だったのは千葉県の渋幕と市川高校です。2021年度の入試はコロナの影響で出かけることを控えていた時期なので、ひとり当たりの受験校数が減ったのですが、2022年度入試では分厚く受けていく生徒が多く、市川高校の受験者数が跳ね上がりました。市川高校が1月17日、渋幕が19日に入試ですので、2校は併願できますし、2023年も同様の傾向だと予想しています。

 また、巣鴨高校は昨年に続いて人気が高く、学力を伸ばしてくれる良い学校として確立してきたと言えます。入試日を変更したので国立大学附属とも重ならず、以前は3教科のみだったのが5教科入試も追加になったことも良かったと思います。ただ問題はとても難しく、都立問題とはちょっと違う尖がった問題が出ますので過去問は解いておいた方が良いでしょう。学校説明会で「チェバの定理」「メネラウスの定理」といった高校数学の範囲までは勉強してきてくださいと伝えるくらいレベルは高いです。

都立校は全校インターネット出願に、親子で一緒にチェックを

--ESAT-Jの結果通知が届き、全校でのインターネット出願が初めての年になります。注意点を教えてください。

伊藤氏:まずESAT-Jは1月に結果が出て、所属の中学校と生徒本人へ開示されます。成績は中学校の先生が調査書を作成するときに転記するものですので、生徒本人と保護者の方は意識しなくて大丈夫です。

 インターネット出願に関しては、昨年20校ほどで実施し、今年から全校で利用することになりました。私立ではすでに以前からインターネット出願が導入されていますが、これまでにどんなトラブルがあったのかSAPIXで調査したところ、入力ミスが見つけにくいことが最多でした。

 たとえばスマートフォンで手続きをするとしますと、文字入力で妙な予測変換が出てくることがありますが、小さい画面上では自分だけでミスを見つけにくいので、できれば画面の大きなパソコンで親子2人横に並び、指差し確認をしながら入力するのが理想です。都立高校ではありませんが、私立高校の場合は日程や会場を選ぶことがあるので、間違えないように気を付けなければなりません。

 コロナ禍で一気にオンライン説明会に切り替わったり、デジタルパンフレット化が進んだりしたことから、都立高校もインターネット出願という流れは自然なことだと思います。ただ、中学受験は小学校の成績の提出を求められないことが多いので、ほとんどインターネット出願のみで完結するのですが、高校受験の場合は調査書の提出が必要なので、インターネット出願のみで完結しません。調査書は開封できないよう、中学校側が綴じたものを郵送することになります。

吉永氏:保護者の方も出願期間をしっかりと把握しておくことが大切です。「出願期限を過ぎてしまいました」というケースもあります。生徒たちには自分で管理をするように伝えつつも、やはり保護者の方が最後までスケジュールを厳重に管理してあげてください。

冬の学習アドバイス

--秋から冬にかけてのアドバイスと、教科ごとの学習ポイントをお願いいたします。

吉永氏:秋から冬にかけて、過去問を解いて合格点に届いた、届かなかったと、一喜一憂するという勉強をしてしまう生徒がいますが、これでは学力が伸びにくいです。過去問は解いたのち、そこから何を学ぶかが大切です。点数の取り方や速く解くことばかりにとらわれた小手先の勉強にならないよう注意が必要です。

国語

伊藤氏:説明的文章、文学的文章、古文(古文の解説や詩)といった文章題の3大構成になっています。私立よりもボリュームがあることが都立問題の特徴です。特に説明文に200字程度の作文が付いてきますので、50分以内でまとめることを意識する必要があります。書かせる問題は難しく見えるのですが、一方で意外と受験生が雑に扱って間違ってしまうのが選択問題です。国語は問題数が多いわけではないので、選択問題ひとつで4点失点してしまいますので注意してください。

英語

吉永氏:講師に文章の添削指導を受けることが大切です。自分が書いた文章が的を射ているのか、加点される内容が書かれているのかは自分で判断せずに、講師に客観的に指摘してもらう必要があります。自分を肯定したくなる時期なので、自己採点が甘くなってしまうことがあります。そうならないよう心掛けてください。また、長文読解問題の対策には、速読の練習が大切です。また先ほどの話にも出ましたが、注釈があるような難しい単語を知っていて損はありません。語彙のレベルアップも大切です。

数学

吉永氏:数学は答えが出せていれば、それでOK、という気持ちになりがちな教科ですが、解法を書くケースもありますので、その答えが出た過程は正しい思考だったのか、解法を見直すことも重要です。ミスには2種類あり、1つは書き間違いなどのヒューマンエラー。もう1つは解き方が悪くてミスをしていることです。解き方が悪い、計算の仕方が効率的でなくミスをしているケースは、実力が足りていないと考えるべきです。「単なるミスだから本当はできたはず」と自分だけで納得をしないよう、客観的な指摘に耳を傾ける姿勢を大切にしてほしいです。

社会・理科

伊藤氏:とにかく知識を身に付けるために教科書の内容をしっかりやっておくことです。理科・社会は自校作成問題ではなく共通問題が使用されますが、新学習指導要領になり難化傾向にあります。資料を読み取り短い文章を書かせる記述問題も出しています。典型問題も繰り返し勉強することで高い効果が得られます。たとえば歴史的な事実が、いろいろな問題を多く解くことで立体的に見えてきます。

--現中学1・2年生に向けてアドバイスをお願いします。

吉永氏:中学1・2年のうちに得意教科を作ることがとても大切です。まず苦手教科をなくそうというアプローチをしがちですが、難関校を目指す生徒は、得意教科は圧倒的にできるタイプが多く、受験前に苦手教科の力が後から付いてくる傾向があります。好きなものはとことんやる、得意な教科は難しい問題にも自ら挑む、といった勉強に対して前向きに食らいついていく姿勢を、早いうちに身に付けておくと「難しいこともやりたい」という意識をもてるようになると思います。

 保護者の方は目に見える間違い、たとえば漢字が書けていない、単語が書けていない、というのを指摘してしまいがちです。あなたはここが駄目、単語は覚えなければ駄目というように詰め込んで、変に勉強嫌いにならないようにしたいですね。

伊藤氏:学校選びもいろいろな要素があり、立地、教育理念・方針やICT教育の充実度などさまざまなポイントがあります。保護者の方に志望動機を聞くと「本人の意思」がダントツ1位ですが、本人の意思を尊重することと放置は別物です。偏差値偏重の考え方ではなく、まずは早いうちからいろいろな学校に一緒に行ってあげたり、Webサイトを見たりして、最終的に本人の納得のいく志望校を決めていただきたいと思います。

--最後に保護者と受験生に受験に向けた心構え、ラストスパートに向けて頑張れるようアドバイスをお願いします。

吉永氏:進学指導重点校は7校しかありませんが、都立高校は186校あります。トップの高校を狙う生徒は、その上位数%を目指して勉強している、努力しているという生徒ですから、その頑張りを保護者の方には尊重してあげてほしいです。

 少し怠けてしまった1割を指摘してしまう気持ちもわかりますが、頑張った9割を褒めて、サポートしてあげてほしいです。15歳はもう自己管理、自己学習を促していく時期ですが、集団の中で戦うためには保護者の方のサポートも必要です。受験が終わったときにお互い感謝できるようなことをイメージすると、受験前の親子関係が良くなり、合格に近づいていくのではないでしょうか。

「生徒は最高の結果を想定して勉強しなさい。保護者は最悪のことも想定してこっそりと準備だけはしておいてください」という関係性をお願いしていると語る吉永氏

伊藤氏:5m後ろの電柱の陰から見守るぐらいの距離感」と言いますかね。ちょっと近すぎると難しい年ごろです。心配で過干渉になりがちだと思いますがグッとこらえて見守ってあげてください。

吉永氏:私はいつも「生徒は最高の結果を想定して勉強しなさい。保護者は最悪のことも想定してこっそりと準備だけはしておいてください」という関係性をお願いしています。生徒は前向きに勉強し、周りの大人が後ろからサポートすることで、時間も心も良いバランスを保ち、受験の日を迎えてほしいです。

--ありがとうございました。

 SAPIX中学部は、2023年1月9日(月・祝)に実施する中学2年生対象の公開模試「都立進学指導重点校入試プレ」では、中学校英語スピーキングテストESAT-J対策として、通常の5教科(英数国理社)に加えて「スピーキングテスト」を実施する。東京都教育委員会が過去に実施したプレテストを研究して作題した模擬試験で、実際のESAT-Jと同様にタブレット端末・ヘッドセットを使用して実施するため、本番に近い環境で予行練習をすることができる。さらに、2023年7月17日(月・祝)には、中学3年生を対象に「都立スピーキングテストプレ」を実施予定だ。こうした模試を受ける等、自分で考えて英語を話す練習・経験を積んで慣れておくことで、テスト本番にも余裕をもって臨むことができるだろう。

 中学校入学前、入学後いずれからの入塾でも、難関校を目指す生徒が受験日に力を発揮できるよう、きめ細かい分析と指導で伴走するSAPIX中学部。その他、今後の講習等の情報は以下のとおり。

都立進学指導重点校入試プレ ―5教科+英語スピーキングテスト―


開催日:2023年1月9日(月・祝)
対象:中学2年生
都立進学指導重点校入試プレ お申し込みはこちら

冬期講習 ―新学年に向けてステップアップ―


開催日:2022年12月26日(月)~2023年1月6日(金)
対象:高校受験を考えている中学1・2年生
冬期講習 詳細はこちら

小5・6冬期特別ゼミ ―小学生から始める SAPIXの高校受験対策―


開催日:2022年12月26日(月)~2023年1月6日(金)
※期間中、小学5年生は2日間・小学6年生は3日間
小5・6冬期特別ゼミ お申し込みはこちら

新学年 入室説明会


開催日:2023年1月14日(土)、1月28日(土)、2月11日(土・祝)
対象:高校受験を考えている新小学6年生、新中学1~3年生
※1月28日は新中学1~3年生のみの実施
新学年 入室説明会 お申し込みはこちら

新学年 入室テスト


対象:高校受験を考えている新小学6年生、新中学1~3年生
開催日:2023年1月22日(日)、2月4日(土)、2月11日(土・祝)、2月18日(土)
※2月4日は新中学1年生のみの実施
新学年 入室テスト お申し込みはこちら
《編集部》

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