【大学受験2023】医学部受験の出願校選び「やってはいけない」6つのこと

 国公立医学部を目指す受験生にとって、出願校選びは受験の要とも言える。少しでも合格の可能性を高めるために、出願校選びのコツ、そしてやってはいけないNG例を医学部受験専門塾エースアカデミー代表の高梨裕介氏に聞いた。

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エースアカデミー代表で医師の高梨裕介氏
  • エースアカデミー代表で医師の高梨裕介氏
  • 合格可能性を最大限引き出す出願先選びとは
  • 合格可能性を最大化するために、出願先を選ぶには細心の注意が必要
  • エースアカデミー代表で医師の高梨裕介氏
  • エースアカデミーの教室にて

 2023年度の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が終わった。それも束の間、国公立医学部を目指す受験生にとって、実はここからが正念場だ。合否の可能性はどの大学に出願するかで大きく変わる。出願先を選ぶには細心の注意が必要なのだ。

 医学部受験専門塾エースアカデミー代表で自身も医師である高梨裕介氏は「国公立医学部を目指す受験生とその保護者が出願時に陥りがちなミスがいくつかあります」と話す。せっかくの共通テストの成績を無駄にしないためにも、ベストな出願校選びの秘訣を聞いた。

エースアカデミー代表で医師の高梨裕介氏

共通テスト後の出願校選び、気を付けるべきは…

--国公立医学部に出願する際によく耳にするのが「足切り」と「ボーダー」という言葉です。それぞれどういう意味なのでしょうか。

 まず「足切り」とは、正式には「第1次選抜」と呼ばれるもので、共通テストの得点をもとに2次試験受験者を限定する仕組みです。出願者の倍率で区切る大学が大半ですが、点数で区切るところや、倍率と得点の両方の基準を設けているところもあり、大学によって異なります。

 医学部受験では、後期日程のほうが定員が少ないため足切りのラインが厳しく、実際に足切りにあう受験生も少なくありません。たとえば山梨大学医学部では、志願者が募集人員の10倍を超える場合に足切りが実施されますが、昨年度は定員が90人に対して1,621人の出願がありました。2次に進めたのは904人で、700人以上が足切りされています。いうまでもなく、最終的な合否は共通テストと2次試験の合計点で決まります。ところがこうして足切りにあうと、2次試験の受験機会さえ与えられずに終わってしまうことがあるのです。

 続いて「ボーダー」ですが、これは大手予備校が出している合格可能性50%の偏差値を指します。50%の確率なので、これを超えているのに落ちる受験生もいれば、下回っていても合格する受験生もいます。あくまで目安でしかないものの、2次の出願先を決める際には非常に参考となるデータです。

国立医学部の出願校選び、気を付けるべきポイントを伝授

--倍率次第で、足切りのラインが決まる場合、大学側は出願を締め切ってから集計することになります。つまり受験生にとっては、自分が足切りにあうかどうか、予測すらできないまま出願することになります。つらいですね。

 毎年この時期になると、大手予備校が全国から集計した共通テストの自己採点や志望動向を見ながら、ある程度の目安は示してくれます。ただ、受験生もそれを見て動くのでかなり流動的で、ときには裏切られることもあります。大手予備校もそこをわかっているので厳しく予想しますが、募集人員が少ないとどうしても予想がブレやすいですね。

--国公立医学部は全国に50校ありますが、入試は大学ごとに教科の数や1次と2次の配点、さらには共通テストの科目ごとの配点等、大学によって細かい違いがありすぎます。受験生が出願先を選ぶ際には複雑で難しい印象があります。

 おっしゃるとおり、医学部受験における出願校選びは、他学部以上に慎重になる必要があります

 しかし残念ながら、実際には受験生や保護者だけではなく、進路指導を行っている学校の先生さえも誤った出願校選びをしていることも少なくありません。受験生の中には、出願校を誤って「特攻」し、撃沈したケースが毎年後を絶ちません。そうした失敗も、適切な出願校さえ選べれば防ぐことができるのです。だからこそ、緻密にデータを分析して、個々に合う出願校を正しく選ぶことがとても重要です。

やってはいけない「6つの選び方」

--「出願時に陥りがちなミス」ゆえに、合格を逃す例を数多く見てきた高梨先生。具体的に、NGな行動を教えていただけますか。

 出願校選びにおいて、注意すべきことは次にあげる6つです。

出願校選びでやってはいけない6つの選び方について語る高梨氏

1.「倍率が低い=受かりやすい」という安直な判断をしてしまう

 共通テストが終わると、大手予備校が大学ごとに最新の出願倍率を公開します。このデータ自体は正しい数字なのですが、ここで「倍率が低い=受かりやすい」と考えると失敗します

 実態として、倍率が4~5倍であったとしても偏差値50台であれば実はそこまで難しくはない一方で、倍率が2倍でも偏差値70台だとかなりハイレベルで厳しい競争になります。つまり、倍率は合格の可能性にはあまり関係なく、むしろボーダーや偏差値の方がはるかに重要です。倍率だけを見て選ぶというのは絶対にやってはいけません。

2. 過去問との「相性」で選んでしまう

 毎年驚くのは、学校の先生から「過去問との相性を見て決めなさい」というアドバイスを受けている生徒が非常に多いことです。これは明らかに間違ったアドバイスです。

 たとえば、筑波大と浜松医科大で悩むとします。2校の過去問を解けば、ほぼ全員が「筑波大の方が相性が良い」と答えます。理由は簡単で、筑波大のような総合大学の医学部の問題は他学部との共通問題のため、オーソドックスで解きやすいからです。一方、浜松医科大のような医科単科大学は、医学部独自で問題が作成されるため、総合大学に比べて得点しにくい難問が出題されます。

 ここでいうところの「相性」から、安易に筑波大に出願し、不合格になるケースは多いのです。筑波大は国公立医学部の中でもボーダーが高く、一口に「解きやすい」といっても受験者のレベル自体が相当高いため、周囲も高得点を取っていることが予想されます。その中で相当の高得点を取って勝ち残らない限り、合格は難しいのです。

 一方、浜松医科大は問題自体は難しいのですが、筑波大よりボーダーが低く、受験者のレベルは筑波大よりは下がるので、過去問であまり手応えが良くなくても合格できる可能性は高くなります。問題の解きやすさや「相性」は合格のしやすさとは関係なく、出願校選びの指標にしてはいけないものです。

3.「合格最低点」をクリアしているかどうかで判断してしまう

 「過去問で合格最低点をクリアできればその大学は合格確実」と思いたいところですが、これも大きな誤りです。これも先の「過去問との相性」と同様、学校や他塾の先生ですら意外とわかっていない盲点です。

 合格最低点で選んではいけない理由は次の2つ。

 まず1つ目の理由は、合格最低点は毎年変わるため、今年も同じレベルになる保証がないということ。そしてもう1つの理由は、受験生の多くが取り組んでいる過去問では採点基準がわからず、正しい採点が不可能ということ。

 たとえば、偏差値が高いわりに合格最低点が低い大学というのは、採点基準が厳しい場合が多いです。ただ、採点基準が公開されていないがために、自己採点も甘くなりがちで「自分は合格最低点をクリアできた」と勘違いしてしまうのです。

共通テスト2023の最新分析からみる、国立医学部受験の出願校選び

4. 共テの結果が芳しくなく「2次の比率が高い大学」を選んでしまう

 共通テストで思うような点数が取れなかったとき、2次で挽回して逆転合格を狙おうとするのはよくある失敗です。気を付けたいのは、2次の比率が高いのは、実は偏差値が高い大学ばかりということ。

 仮に自分の持ち偏差値が60台前半の場合、共通テストでうまく得点できなかったために、2次比率の高い偏差値60台後半の大学に出願するとします。この場合、共通テストでも負けているうえに、2次の偏差値でも遅れをとっているので、ダブルパンチを喰らうようなもの。

 当塾に入塾してくる浪人生に、前回の受験でどこに出願したか尋ねると「共通テストで失敗したから、2次配点の高い東北大に出願したが不合格だった」等と答える子が多数います。受験生本人としてはわずかな希望に賭けているのかもしれませんが、2次での逆転合格というのは、自分の持ち偏差値より低い大学でない限り成立しません

5.どうにかして「足切りにあわない」大学を選ぼうとする

 これも前述の「2次の比率が高い大学を選ぶ」ことと似ている状況です。共通テストで失敗すると足切りにあう可能性が高まるので、どうにかしてそれを避けようとします。

 「倍率で選ぶ」ことでもお話ししたように、足切りの多くは志願者が非常に多い場合に実施されますが、決して「倍率が低い=受かりやすい」ではありません。この点については保護者の間で誤解が多く、毎年のように「足切りにあわない大学を教えてください」という相談を受けます。たいていそういう大学ほど偏差値が高く、足切りにあわないことを理由に出願しても、単なる記念受験で終わってしまうことがほとんどです。少しでも合格可能性のある大学に出願するべきだと思います。

6.「得意科目」にこだわりすぎて「全体の配点」を無視する

 入試は1科目だけでは決まりません。これも当たり前のことなのですが、「全体の配点」を無視して「得意科目」に固執しすぎるケースが少なくありません

 たとえば英語が得意で英検準1級をもっているとします。準1級以上があると、共通テストで満点に換算してくれる大学もあり、「せっかく得意な英語が活かせて満点になるのだから、その大学に出願したい」と思う気持ちもよくわかります。たとえば語学資格を優遇してくれる大学の中に広島大学がありますが、広島大学は1次:2次=1:2の配点比率。具体的には、共通テスト(1次)が5教科7科目で900点、2次が3教科で1,800点(2,700点満点)です。このことから計算すると、共通テストの英語を満点換算しても、全体のうちたったの7.4%にしかなりません。1次の英語で満点を取ったくらいでは大きなアドバンテージにはならないのです。

 むしろ共通テストでは満点が取れなかったとしても、共通テスト全科目の合計点とこれまでの模試の結果を総合に分析し、それに見合った受験校を洗い出したうえで、その中から得意な英語力が活かせる大学はどこかを検討した方が明らかに賢明です。得意科目に固執しすぎると、かえって合格のチャンスが遠のきます。重要なのはあくまでも総合力なのです。

「総合力」を正確に見る必要性

--2次出願でやってはいけない6つのことは、いずれも良かれと思ってやってしまいそうなことばかりですね。どうすれば自分にベストな出願先を選べるのでしょうか。

 そのための秘訣は2つあります。1つは「全国の国立医学部に視野を広げる」こと。もう1つは「傾斜配点等を含めて緻密に計算する」ことです。

 まず「全国の国立医学部に視野を広げる」こと。たとえば首都圏在住であれば、東京医科歯科大、千葉大、筑波大、横浜市立大あたりで出願を考える人が多いのですが、それだけに毎年どこも人気が高くて入りにくい状況です。

 そこで少し視野を広げて、群馬大、浜松医大、信州大、福島県立医大あたりまで候補を増やすと、合格する可能性がグッと高まります。もっと広く全国で見れば、共通テストの結果があまり振るわなかった場合でも、合格可能性のある国立医学部が見つかることはよくあります。

 そこで大事になってくるのが、2つめの「傾斜配点等を含めて緻密に計算する」ことです。繰り返しになりますが、1次:2次の配点、共通テストと2次試験それぞれの科目ごとの配点は、大学によってまったく違います

 ここでもう少し詳しく説明すると、たとえば英語のリスニングの割合を下げたり、新潟大のように共通テストで国語を200点満点から100点満点に圧縮したり、徳島大や秋田大等、2次に理科がない大学では理科の点数が伸長されたりと、一口に「共通テストの結果」といっても本来の点数(素点)通りではなく、大学ごとに配点に傾斜がついています。2次も同様で、各教科の配点は大学ごとに異なります。さらには1次:2次の割合も大学によってまったく違い、偏差値が高くなるほど2次の割合が高い傾向にあります。

 つまり、先ほど申し上げた「総合力」をなるべく正確に測ろうとすると、非常に複雑な計算をしなければいけなくなるのです。

ベストな出願校選びは、「全国の大学から選ぶことと傾斜配点等を含めて緻密に計算することがポイント」(高梨氏)

「推奨校」の洗い出しで発揮されるエースアカデミーの強み

--渦中の受験生が、そんな複雑な計算をする時間はありません。活用できるサービスやツールはありますか。

 大手予備校のWebサイトには、判定できるツールを用意しているところもあります。もちろんそれもとても便利なのですが、自分が受けたい大学を1校ずつ入力しなければならず、国公立医学部50校すべてにおける自分の立ち位置を一覧することはできないものもあります。一方当塾では、生徒の共通テストの自己採点と、これまで受験した模試の結果から全国50校の合格可能性を算出し、推奨校を選定しています。

 全国から選ぶので、生徒自身も保護者の方も意外な選択肢に驚かれることがありますが、昨年もそれで弘前大学に3名合格しました。2次の試験内容が他と比べて特殊な弘前大に出願するのは普通であればためらうところだと思いますが、個々の今までの模試の結果や傾斜配点も含めた出題傾向と掛け合わせた分析のすえ、合格に届くだろうと判断し、出願を提案しました。本人はもちろん、保護者の方も、思いもよらなかった大学での合格にとても喜ばれていました。

--弘前大以外に出していたら合格の可能性は低かったわけですね。首都圏に住んでいると、地方国公立はなかなか思い付かない選択肢です。

 そうだと思います。それを全国規模で計算して推奨校を洗い出すのが当塾のいちばんの強みです。2023年1月21日に行う無料Webセミナーでは、2023年度の共通テストの最新データを用いて、出願校の選び方についてより詳しくお話しする予定です。

 具体的に「共通テスト得点率X%、かつ記述模試の偏差値X」等の学力パターンを6つほど用意し、どのような判定が出るかを紹介します。これから出願予定の方にはかなり参考になる情報だと思います。

 さらに、毎年好評の「国公立医学部の無料判定」キャンペーンも受け付けています。共通テストの自己採点と模試の成績をフォームに入力していただくことで、その情報を分析し、無料で判定をご返信します。当塾生向けの詳細な情報までお出しすることはできませんが、出願先選びのお役に立てるのではないかと思っています。Webセミナーにお申し込みいただくことで、無料判定キャンペーンもご案内いたします。

「2023共通テストの分析、国立医学部の受験校選び」
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--国公立医学部は全国に50校もありますから、十分熟慮して選ぶ余地はありますね。今日は貴重なお話をありがとうございました。


 「1年でも早く医者になれ」。現役の医師からよく聞く言葉だ。生涯年収はもちろん、日進月歩の医療現場では1年でも早く、長く医師のキャリアを積むことにデメリットは何もない。

 国公立であれば学費は格段に安い。医学部に行けるならどこでも良いと考える受験生も多いだろう。高梨氏のアドバイスを参考に、この春から医師へのスタートラインに立てるよう、自分にベストな大学を選び、合格を勝ち取ってほしい。

 なお、現在エースアカデミーでは、無料プレゼントキャンペーンを実施中。2023年度の共通テストボーダー・足切りに関する最新のPDF資料が入手できるだけでなく、合計7時間以上のセミナー動画を閲覧できる。詳細および申込み方法については以下を確認してほしい。

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《加藤紀子》

加藤紀子

京都市出まれ。東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、経済産業省『未来の教室』など、教育分野を中心に様々なメディアで取材・執筆。初の自著『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17万部のベストセラーに。現在はリセマムで編集長を務める。

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