障害児支援の放課後デイサービス、事業者の倒産が過去最多

 帝国データバンクは2023年2月11日、「放課後デイサービス(放デイ)事業者の倒産動向」の調査・分析を公表した。運営企業の倒産は2021年が6件、2022年は前年の2倍超の14件と急増し、民間企業が本格的に参入し始めた2012年以降、最多を更新した。

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倒産件数推移
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 帝国データバンクは2023年2月11日、「放課後デイサービス(放デイ)事業者の倒産動向」の調査・分析を公表した。運営企業の倒産は2021年が6件、2022年は前年の2倍超の14件と急増し、民間企業が本格的に参入し始めた2012年以降、最多を更新した。

 放課後デイサービスとは、何らかの障害を抱える6~18歳までの子供が利用可能な福祉施設で、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて個々の状況に応じた発達支援を行うことで子供の最善の利益の保障と健全な育成を図るもの。2012年の児童福祉法改正以後、支援が必要な子供の増加を背景にニーズが拡大し、参入する企業が相次いだ。一方、営利目的に走る施設の増加が問題視され、サービスの質を上げる目的で2018年に報酬改定が行われた。

 その結果、倒産理由が判明した放デイ事業者29社のうち、利用者の低迷が原因となった倒産は34.5%を占め最多だった。収益を重視した結果、適切な職員配置等に起因した施設内の怪我やトラブルが原因で行政処分を受けた「法令違反」によるものも31.0%を占め、事業継続を断念したケースも増えている。 

 2024年に行われる法改正では、子供の障害特性を踏まえた適切な発達支援を促さない放デイ事業所は、公費による支援対象から除外される等、経営環境はさらに変化する。帝国データバンクでは「質の高い支援やサービスが提供できない放デイ事業者の淘汰がさらに進む可能性がある」と分析している。


《千葉 智加》

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