【高校受験2023】千葉県公立高校入試<国語>講評…ほぼ例年通りだが、記述量は増加

 京葉学院の協力を得て、2023年度(令和5年度)千葉県公立高等学校入学者選抜、学力検査の「国語」の講評を速報する。この他の教科(全5教科)についても同様に掲載する。

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【高校受験2023】千葉県公立高校<講評・国語>
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 2023年2月21日(火)、2023年度(令和5年度)千葉県公立高等学校入学者選抜(国語、数学、英語)が実施された。2月22日(水)に理科と社会の2教科が実施となる。千葉県教育委員会が2023年2月17日(金)に発表した一般入学者選抜等の確定志願状況によると、全日制が募集人員3万960人に対し3万4,946人が志願し、志願倍率は1.13倍。

 リセマムでは、京葉学院の協力を得て、学力検査の「国語」の講評を速報する。この他の教科(全5教科)についても同様に掲載する。

<国語>講評
(京葉学院 提供)

 前年度と比較すると大問の出題構成について変更はありませんでした。大問一:『聞き取り検査』(8点)、大問二:『漢字の読み取り』(8点)、大問三:『漢字の書き取り』(10点)は、出題構成・配点に変更はありませんでした。大問四:『説明的文章の読解』(22点)では、大問としての配点に変更はありませんでしたが、設問ごとでは、記述問題が12点⇒4点、抜き出し問題が2点⇒8点と、記述問題と抜き出し問題の配点に変化がありました。選択問題は昨年並みでした。大問五:『文学的文章の読解』(22点⇒23点)では、記述問題が10点⇒11点、抜き出し問題が9点⇒4点となりました。選択問題は昨年並みでした。大問六:『古文』(18点⇒17点)は、昨年同様漢文の返り点を記入する問題が出題され、記述問題が4点⇒7点となり、抜き出し問題の出題はありませんでした。歴史仮名遣いは、間違えやすい問題が出題されました。大問七:『条件作文』は例年通りで、資料を読み取り、自分の意見・具体例を200字以内で書く問題でした。本年の特徴は、説明的な文章・文学的文章・古文において、別資料が提示され、複数資料の分析を通じて深い読解力を求めるものでした。

1.聞き取り検査

 問題構成や配点(8点)は、昨年と同様でした。三田さんが川辺さんに、文化祭のクラスの催し物(ミュージック・カフェ)について、その宣伝文句を相談している場面の放送を聞き、それに関連する問いが4問出題されました。話し手の表現に着目し、その視点を捉え、他者にわかりやすく伝わる表現を考えます。三田さんの考え方と川辺さんの考え方の違いを聞き取らなければなりません。注意深く聞き取らなければ、選択肢に惑わされる可能性がありました。

2.漢字の読み取り

 (1)招く (2)慎む (3)曖昧 (4)辛辣 の4問でした。(4)の読みに苦慮する可能性があります。問題数・配点は例年通りでした。

3.漢字の書き取り

 (1)浅(い) (2)拝(む) (3)批評 (4)創刊 (5)序列 の五問でした。(5)の四字熟語(年功序列)は社会科の公民でも学習する言葉で、正答率は高いと考えられます。(4)では迷いが生じることが予想されます。問題数・配点は例年通りでした。

4.説明的文章の読解

 鹿毛雅治『モチベーションの心理学』より出題されました。『意識が行動の原因だと信じているが、それは本当だろうか。』の段落で始まり、意識と行動、非意識的な働きを考え、人は意識、非意識両方のプロセスを、時と場所に応じて使い分けている、という内容を読み取り比較をするものでした。(5)では、同じ文章から他の箇所が別資料として提示され、複数資料の分析を通じて深い読解を求められました。解答形式ごとの配点は、記述問題が昨年12点⇒4点と減少しましたが、抜き出し問題において昨年2点⇒8点と増えました。さらに、昨年は、5文字~10文字程度の記述・抜き出し問題でしたが、本年は20文字前後を探して書く問題でした。

5.文学的文章の読解

 『コンクールで他の出場者との圧倒的な力の差を感じた陽菜は、フルートが吹けなくなってしまった。しばらく姉の亜季が住む奥瀬見で過ごすことにしたが、そこでオルガン制作職人である芦原さんと、その娘の朋子に出会い、パイプオルガン制作を手伝うようになった。』ことからストーリーが始まります。陽菜と芦原親子の交流が始まり、心情の葛藤・変化が生まれてくる内容でした。逸木裕『風を彩る怪物』からの出題でした。配点は昨年22点⇒23点とほぼ昨年同様でした。記述問題では昨年10点⇒11点、抜き出しは昨年9点⇒4点と少なくなりました。記述・抜き出し問題の字数は、昨年は25文字が最長でしたが、本年は40文字が最長でした。『説明的文章の読解』同様、書く分量が増えました。(5)では、文章を読んだ生徒の話し合いの場面の別資料を分析し、深く読み込むことを求められました。 

6.古文

 『宇治拾遺物語』からの出題でした。配点・出題内容には昨年と大きな変化はなく、記述の文字数においても大きな変化はありませんでした。近年、漢文の返り点に関する問題が定着してきましたが、『説明的文章の読解』『文学的文章の読解』同様、本文以外の別資料から本文を分析する設問が特徴的でした。

7.条件作文

 昨年は、二人の生徒の会話から『大人とはどういう人か』がタイトルでしたが、本年は、【前段】で資料「日本と諸外国との間の相互理解や信頼関係が深まり、国際関係の安定につながる」と回答した人の年齢別の割合」を『読み取ったこと』と、『自分の考え』を書き、【後段】には、前段を踏まえ、『諸外国との文化交流を行う機会があったら、具体的にどのような交流を行いたいか』と『その理由』を書く問題でした。前段で2項目・後段で2項目の内容を書かなければなりませんでした。外国との文化交流がイメージできた人には容易な出題でした。



 このレポートは2023年2月21日(火)に速報として京葉学院により作成されたもの。

協力:京葉学院





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