国が優先的に取り組むべきは「高校・大学の無償化」こども1万人調査

 日本財団は2023年5月1日、全国の10~18歳の男女を対象に実施した「こども1万人意識調査」の結果を公表した。国や社会が子供たちのために優先的に取り組むべきことは、「高校・大学までの教育を無料で受けられること」(40.3%)がもっとも多い結果となった。

生活・健康 小学生
「こども基本法」の認知状況
  • 「こども基本法」の認知状況
  • 「こどもの権利条約」の認知状況
  • 国や社会が子供たちのために優先的に取り組むべきこと
  • こども1万人調査

 日本財団は2023年5月1日、全国の10~18歳の男女を対象に実施した「こども1万人意識調査」の結果を公表した。国や社会が子供たちのために優先的に取り組むべきことは、「高校・大学までの教育を無料で受けられること」(40.3%)がもっとも多い結果となった。

 調査は、全都道府県 男女10~18歳を対象にインターネットを利用して、2023年3月6日~12日に実施。調査サンプル数は1万件。年齢に該当する子供の親のモニターに対してアンケートを配布し、「子供本人による回答」で回収した。全国的傾向を把握する目的で「令和2年(2020年)国勢調査」に基づく人口構成比に合わせてウェイトバック集計を行った。

 「こども基本法」の認知状況については、「詳しく知っている・知っている」(8.8%)、「聞いたことはない」(61.5%)となり、当事者である子供たちへのさらなる普及啓発が必要であることが明らかになった。「こどもの権利条約」の認知状況についても、「詳しく知っている・知っている」(9.8%)、「聞いたことはない」(59.3%)という結果になった。

 まわりの子供で、こどもの権利が守られていないものは、「子供は自分に関することについて自由に意見を言うことができ、大人はそれを尊重する」(11.9%)、「子供はどんな理由でも差別されない」(11.3%)、「子供は教育を受ける権利がある」(10.8%)が上位となった。

 こどもの権利を守るためにあるとよい仕組みについては、「子供にこどもの権利について、もっと学校で教える」(29.5%)、「子供が困ったことや大人に伝えたいことを、伝えるサポートをしてくれる人がいる」(27.7%)、「困ったときに電話、SNS、メール等で相談できるところがある」(26.5%)がトップ3となり、子供が権利を学ぶことのできる場の創出や、子供の声を聞く仕組みづくりの必要性がうかがえる結果となった。

 国や社会が子供たちのために優先的に取り組むべきこと(選択肢)として、「高校・大学までの教育を無料で受けられること」(40.3%)がもっとも高く、ついで、「いじめのない社会を作ること」(36.7%)、「本当に困っている子供の声にしっかり耳を傾けること」(30.6%)と続いた。自由回答でも、「教育にかかる費用が大きすぎるとよく親に言われる。無償化か、もっと授業料や入学金をへらしてほしい。(高校3年生)」等の声が寄せられた。

 こども家庭庁は、こども基本法(2023年4月施行)に基づき、こども施策を総合的に推進するための「こども大綱」案を、2023年秋をめどに決定する予定。そこで、「こども大綱」で取り組んでほしいと思うことや、「こども政策担当」にお願いしたいことについて(自由意見)聞くと、「学費・教育費補助・無償化/専門学校・短大・大学の無償化」「子供の意見を尊重/子供目線で考えてほしい/子供が意見を述べる場を作る/アンケートで意見を集める」「いじめ対策」等があがった。

 日本財団は2019年10月から2020年5月まで、有識者による「こどもの権利を保障する法律(仮称:こども基本法)および制度に関する研究会」を開催。その後、2020年 9月にこどもの権利に関する包括的な法律の採択や、こどもの権利を監視するための独立した機構であるこどもコミッショナーの設置等を盛り込んだ「こども基本法」制定を目指す提言書を発表する等、こどもの権利を守るための活動を展開している。

《田中志実》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top