神奈川【高校受験2024】湘南ゼミナールに聞く、合格を勝ち取るための夏の学習戦略

 湘南ゼミナール 教材開発部長 國吉正人氏と、横浜翠嵐V・難関高受験事業部長 兼 特色検査責任者 北原剛輔氏に、神奈川県公立高校入試の2023年度を振り返り、最新の神奈川県公立高校入試の動向や2024年度入試に向けた夏休みの学習ポイント、保護者の心構えなどを聞いた。

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湘南ゼミナール 横浜翠嵐V・難関高受験事業部長 兼 特色検査責任者 北原剛輔氏と教材開発部長 國吉正人氏(左から)
  • 湘南ゼミナール 横浜翠嵐V・難関高受験事業部長 兼 特色検査責任者 北原剛輔氏と教材開発部長 國吉正人氏(左から)
  • 湘南ゼミナール 教材開発部長 國吉正人氏
  • 湘南ゼミナール 横浜翠嵐V・難関高受験事業部長 兼 特色検査責任者 北原剛輔氏
  • 神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改善方針について (令和4年4月 神奈川県教育委員会発表資料より抜粋)
  • 「難関大学への進学実績が高い公立高校の根強い人気は続いていく」と分析する國吉氏
  • 「早く正確に計算をする力」と「正しく読む力」の定着が大切と語る北原氏
  • 神奈川県公立高校 特色検査 自己表現検査実施校 2024年度(令和6年度)入学者選考基準
  • 湘南ゼミナール難関高受験コースに通っていた生徒さんが記入していた自己管理シート「デイリースケジュール」の一部

 神奈川県内のトップ校合格対策に定評がある湘南ゼミナール。面倒見の良いサポート体制と、難関校の合格実績が強みとなっている同塾は、2023年度神奈川県公立高校入試にて、県下最難関の横浜翠嵐高校に84名、県内公立トップ校に745名が合格するなど高い合格実績を残した。

 同塾の教材開発部長 國吉正人氏と、横浜翠嵐V・難関高受験事業部長 兼 特色検査責任者 北原剛輔氏に、神奈川県公立高校入試の2023年度を振り返り、最新の神奈川県公立高校入試の動向や2024年度入試に向けた夏休みの学習ポイント、保護者の心構えなどを聞いた。中学3年生だけではなく、難関校・上位校合格を狙う小学生~中学2年生にも参考にしてほしい。

2023年度の神奈川県公立高校入試を振り返る

--2023年度の難関校・上位校の人気傾向を教えてください。

國吉氏:やはり横浜翠嵐高校の人気は非常に高く、2023年度の実質倍率は1.79倍と昨年の2.07倍からやや下がったものの、高倍率となりました。倍率が下がりましたが、湘南ゼミナール生の開示得点(入試本番で取った点数)データを分析したところ、合格ラインが下がったわけではありませんでした。勝負できる学力が身に付いている生徒さんだけが受験したという形で、一発逆転の可能性にかけていた層が受験を回避する流れが出始めるほど、学力の高さやブランドが出来上がりつつあるのではと考えています。同校の東大合格実績も引き続き好調で、2024年度入試も変わらず高い人気を集めることはほぼ間違いないでしょう。

 また、ここ数年人気が高くなっているのが多摩高校。2023年度入試でも実質倍率1.78倍と変わらず高い関心を集めています。同校は2020年に新しい校長先生に変わってから、積極的に学校改革の取組みが行われ、生徒の学習意欲が高まっています。

湘南ゼミナール 教材開発部長 國吉正人氏

北原氏:多摩高校は校長先生が変わって、それまでの「学校生活を楽しもう」とする校風に加えて「勉強も大切だから両方を頑張って大学進学も勝ち取ろう」という雰囲気づくりに改革していったところ、大学進学実績が伸びました。また、特徴的なのがMeraki(メラーキ)という独自の探究学習で、これが学校生活を楽しむ同校の生徒たちにマッチし、非常に熱中して取り組んでいる。そうした背景から、入試の内申配分が高い川和高校を敬遠した生徒が、多摩高校に流れつつあるように感じています。

湘南ゼミナール 横浜翠嵐V・難関高受験事業部長 兼 特色検査責任者 北原剛輔氏

國吉氏:川和高校は、確かに実質倍率は1.16倍と落ち着き始めていますが、内申配分が高い分、普段から学校生活・学習にきちんと取り組んでいる生徒が入学しているので、大学合格実績が高く、生徒間格差も小さいのが特長です。トップ校として出口に力があるところを見せています。

 また、神奈川総合高校も人気が高く、2023年度の実質倍率は普通科 個性化コースが1.92倍、舞台芸術科が1.87倍と高い倍率でした。単位制ですので、自分が取りたい科目を取れる総合高校として興味・関心をもっている子が志望するのが特徴です。特に2年前に新設された舞台芸術科は定員が少ないこともあり、高倍率になっています。

--2023年度入試で出題傾向や難易度に変化はありましたか。

國吉氏:出題傾向の変化はないものの、難易度をみると国語が易化して理科が難化しました。国語が思った以上に易しかったことから、国語が得意でほかの受験生に国語で差を付けたいと考えていた生徒は強みを生かしきれなかったかもしれません。理科については平均点を10点弱下げましたが、成績上位層はそこまで失点していないことから、文量の多さが要因だったと考えられます。神奈川県の問題はもともと文章量が多く、集中力が続かなかったり、問題文の条件を読み落としてしまったり、勘違いしやすい問題が散りばめられています。ダミーの選択肢に誘導されて間違えた生徒が中堅校受験者の中で目立ちました。

2024年度の神奈川県公立高校入試に変化

--2024年度の神奈川県公立高校入試の変更点について教えてください。

國吉氏:2024年度入試から、これまで神奈川県の全公立高校で実施されていた面接がなくなります。また、募集定員の10%を決める第二次選考で、調査書の「観点別評価」のうち中学3年次の「主体的に学習に取り組む態度」の評価を活用するようになります。

 面接の廃止は非常に大きな変化ですが、特色検査では面接を行うことができるので、学校ごとの判断になります。ただ、生徒の開示得点をみたときに、トップ校の受験生たちは面接による点数差はほとんど付いていません。本人たちもそれを知っていて、面接の準備に時間を割く生徒は多くありません。ただし、特色検査で面接を行うと公表*した高校を受験する生徒は、準備をして臨む必要があるでしょう。(*本記事のインタビューは、2024年度入試選考基準発表前の2023年6月1日に実施。)

神奈川県公立高等学校入学者選抜制度改善方針について(令和4年4月 神奈川県教育委員会発表資料より抜粋)

 第二次選考における中学3年次の「主体的に学習に取り組む態度」の評価の活用は、評価のAは3点、Bは2点、Cは1点として9科目27点満点に点数化し、その点数を選考に用いる形になります。とはいえ、そもそも90%の定員を決める第一次選考では、すでに内申点として「観点別評価」の「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つすべてが評価対象に入りますので、普段の取組みで高い内申点を狙っていくことが大切です。

神奈川県ならではの9科横断「特色検査」

--神奈川県ならではの「特色検査」の特徴を教えてください。

北原氏:難関校が9科目に関して横断的な問題を課すものですが、基本的には5教科の力を中心に試す4問、60分のテストになっています。大問1~7の7問で構成され、問1の英語長文と、問2の日本語長文は必須問題で、学校ごとに問3~7から2問を選択します。

 特色検査は端的に言えば「生徒の根本の力、本質的な学力を試す良いテスト」です。大学入学共通テストの反映が色濃く出ていて、日常生活のものを題材にしながら問題が作られ、子供たちが文章を読み解きながらアプローチをし、粘り強く思考して解いていくものです。「幅広く生徒たちの能力を広さも深さも問える問題」であり、全国でも他に類を見ない特徴的な問題だと思います。(湘南ゼミナールによる2023年度神奈川県公立高校特色検査の講評はこちら

神奈川県公立高校 特色検査 自己表現検査実施校 2024年度(令和6年度)入学者選考基準

 湘南ゼミナールでは特色検査の傾向をつかんで、高得点を獲得できるように教材を新たに作成し、以前は中学3年の夏からだった特色検査の本格指導を春から前倒して取り組んでいます。また、横浜翠嵐を目指すために特化した対策を行う「横浜翠嵐Vコース」を2022年3月に新設し、2023年4月からは横浜翠嵐Vコースを神奈川県内14会場に拡大して、埼玉の1会場と併せて合計15会場になり、ますます力を入れています。

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2023年度入試で人気が集まった私立校

--2023年度入試で注目を集めた私立高校はありますか。

國吉氏:年々関心が高まっている大学附属校のうち、中央大学附属横浜高校の人気上昇が目立ちます。内申点の基準である打診値も上がっています。また、受験者が多いのが桐蔭学園高校。同校はレベル別に3コースを設定していて、打診値で一番上位コースを併願校としたうえで公立トップ校にチャレンジする動きもあります。規模が大きいので多くの生徒が併願の選択肢に入れています。アレセイア湘南高校や横浜高校も2023年度に受験者が増えました。横浜高校は野球が強いスポーツ校のイメージでしたが、2020年度からの共学化し、グローバル教育に力を入れたり、コースを複数に分けたりして、積極的に情報発信して注目されています。

「難関大学への進学実績が高い公立高校の根強い人気は続いていく」と分析する國吉氏

 内申点の向上によって直前に私立専願に移行するという判断もみられますが、横浜翠嵐をはじめとして、神奈川県には難関大学への進学実績が高い公立高校がたくさんあり、親世代の多くが公立高校出身であることも影響して、子供にも公立を目指してほしいという思いが地域性も含めてあると思います。ご家庭の考えや後押しもあって、公立難関校の根強い人気は続いていくと思います。

夏は弱点の把握と克服が勝利への近道

--夏の過ごし方と学習戦略を教えてください。

成績表の見方のポイント

國吉氏:3学期制の生徒は7月に成績表をもらうため、成績が明確に出ています。各科目の5段階評価は観点別評価の合計点で決まるので、観点別評価をチェックして、何を頑張るべきかを明確にしておくこと。観点別評価はポイント制になっているので、あと何ポイント取れば2学期の成績が上がるのかをみて、上がりやすい項目から夏の学習を進めていくのが効率的です。2学期制の場合は2年生の3月の成績表が直近のものになりますが、夏休み前の面談でのアドバイスを生かして、最新の状況を把握すると良いと思います。

北原氏:学校にもよりますが、年度当初に成績の付け方について説明する用紙を配付している中学校が多いと思います。もし配布されているならそれを把握し、今どういう状況かを親子で共有したうえで、学校の先生や塾に相談すると良いでしょう。

夏の学習アドバイス

國吉氏:弱点の把握と克服が得点の上昇・合格への最短距離になります。普段の学校生活で弱点克服に時間を使うのは難しいので、夏がチャンスです。特に英語や数学など積み重ねが大切な教科は、戻り学習も良いと思います。9月以降に新しく学習する内容に対して、吸収力がぐんと上がる可能性があります。理科と社会は、3年生になると中1と中2の内容を忘れがちなので、復習をしておくと良いでしょう。模試の結果を丁寧に振り返りながら、本番に向けて学習を進めていきましょう。

学校見学のポイント

國吉氏:まだ部活をしている生徒は忙しいと思います。たくさん開催される合同説明会や学校見学に闇雲に行くよりも、何を知りたいのかを明確にしたうえで、情報にアクセスすることが大事です。親子で学校見学に行っても良いですし、保護者だけがまず下見に行っても良いと思います。Webサイトを一緒に確認したり、親子で話し合って分担したりするのも一案だと思います。湘南ゼミナールでは通塾生に私立高校のパンフレットをWeb上でご覧いただけるサービスを展開しています。

スケジュールの立て方

國吉氏:学校生活のリズムを崩さず、朝学習の習慣を付けると良いですね。脳のウォーミングアップとして比較的平易な問題を解く。机に向かう習慣を付けて、その日のエンジンをかける作業をルーティン化できると、その後、1日中頭が働いている状態になります。朝の時間を有効的に使えるようになると自分の自信にもなりますし、主体性を自覚していく機会にもなると思います。

北原氏:横浜翠嵐に合格された生徒さんは大学受験並みに勉強しています。夏休みも朝9時から夜10時まで塾が開いているので、毎日塾に来て、その中で授業や自習をしたり、学校の宿題を早めに終わらせたりと工夫しています。

湘南ゼミナール難関高受験コースに通っていた生徒さんが記入していた自己管理シート「デイリースケジュール」の一部

中1生は計算・読解力など基本的な力の定着を

--難関高校を目指す小学校高学年~中1生へのアドバイスをお願いします。

北原氏:「基本的な力をどこまで定着させるか」がポイントです。たとえば、算数・数学でしたら「早く正確に計算をする力」。同じ問題を前回よりも早く正しく計算できるようになることが重要で、機械的な作業にまで落とし込めるかどうかで差が付きます。もう1つは「正しく読む力」。入試問題は、1文字1文字を正しく早く読み切って把握することが大事なので、小学生のころの音読が非常に大切です。加えて、いろいろなことに興味・関心をもつことも大切です。親はお子さんの好みを理解して、その興味が広がる方へ少し誘導してあげると良いでしょう。お子さんが自ら意欲的に取り組んだ体験は、後から学力を下支えしていくと思います。

「早く正確に計算をする力」と「正しく読む力」の定着が大切と語る北原氏

 また、日々の小テストなどで「できる状態」を積み重ねていくと自信につながり、次にチャレンジしたいという気持ちの土台もできます。たとえば、横浜翠嵐高校の合格者は小学生のころから湘南ゼミナールに通っている生徒さんも多く、小学生のころから月例テストで満点・高得点を取っている生徒さんはデータ上、9割近い割合で公立トップ校に合格しています。また、中1で特色検査模試にチャレンジしてみるのも重要です。

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--最後に保護者にアドバイスをお願いします。

國吉氏:不安にさいなまれることもあると思いますが、お子さんにぶつけず、塾や学校の先生に頼って抱え込まないようにすると良いと思います。お子さんが頑張っているところ、良い部分を伝えてあげると、より頑張れるのではと思います。

北原氏:親子は別人格ですので、自分の経験をお子さんにトレースしないことが重要です。「こうするべき」という「べき論」をやめる。正しい情報を得るためにも学習塾のような第三者を活用して、お子さんに何が必要なのかを三位一体で進めていくことが大事なのではと思います。

--ありがとうございました。


 湘南ゼミナールは、夏の学習戦略を強化する夏期講習や各種模試の申込みを受付中だ。面倒見の良いサポート体制を備え、意欲を高める講師陣が全力で指導してくれる塾の環境は、受験生にとってはもちろん保護者にとっても心強いだろう。第一志望校合格を勝ち取るために、さまざまな思いを胸に抱えながら過ごす受験生たち。勝負の夏に力を蓄え、自信をもって2024年度入試に向かってほしい。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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