【大学受験2024】速報・医学部受験生必見、医専予備校のプロが伝える最新入試動向

 これから私立大学入試、国公立大学個別試験までの残された時間を最大限に活用するために、どう過ごせば良いのか。駿台系医学部予備校プロメディカスの細谷一史先生に、医学部入試の最新動向と今取り組むべき対策について話を聞いた。

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 今年も、私立大学医学部では入試が始まっている。医学部受験生にとっては、慌ただしいスケジュールの中でも、確実な準備が求められる重要な時期だ。これから私立大学入試、国公立大学個別試験までの残された時間を最大限に活用するために、どう過ごせば良いのか。

 駿台系医学部予備校プロメディカスの細谷一史先生に、医学部入試の最新動向と今取り組むべき対策について話を聞いた。

「医学部合格には9割必須」は過去のもの!?

--国公立大学医学部の最新動向を教えてください。

 国公立大学医学部志願者数は、ほぼ前年度と同程度か、やや少なくなるのではないでしょうか。医学部志願者の共通テスト全体平均点は昨年よりも高く、必然的に合格者の平均点も高くなりそうです。科目別では、全体の傾向同様に国語の平均点が多少上がり、英語のリーディングや数学IA、数学IIBで失点した人が多いようです。

 センター試験の時代には、「9割取れないと医学部には合格できない」「満点を目指そう」などと言われていましたが、共通テストに変わってからは、得点が7割台でも医学部に合格している人もいます。医学部を目指す場合、この点はアップデートしておくべきでしょう。

 また、模試でたとえE判定が出ても、あきらめる必要はありません。医学部合格を狙うためには、共通テストの得点に基づいて、個別試験でどれくらいの点数を取るべきかを計算し、戦略を立てれば良いのです。繰り返しになりますが、もはや「共通テストで9割取っていないと受からない」ということはありませんので、惑わされないようにしてください。

駿台系医学部予備校プロメディカス 細谷一史先生

医学部の入試にもトレンドがある

--私立大学の医学部入試も始まっています。今年の出願傾向はどうなっていますか。

 すでに試験を実施した私立大学医学部において、志願者数が公表された大学に関しては、すべての大学が昨年より志願者数を増やしています。この背景には、近年の医学部人気に加え、来年度からの新課程入試を懸念した受験生が、「なんとしても今年合格したい」と保険をかけて出願校を増やした影響が考えられます。

 中でも、昨年の入試日程が他大学と重なり、今年度はそれが解消された大学は志願者数を伸ばしています。たとえば、愛知医科大は前年度の入試日が聖マリアンナ医科大と重なっていましたが、今年の出願数は前年比152%と大幅に伸びています。同様の傾向は、獨協医科大にも見られます。志願者数が増えたということは、前年度は2点差の中にライバルが5人だったとしても、今年は1点差の中に5人ライバルがいてもおかしくない状況だということです。

 私立大学医学部は、仮に模試で良い判定を取れていても実際の試験は学校ごとに問題が特徴的で手強いこともありますし、上述のように今年は特に、ライバルが増えて超高倍率になることから、かなり厳しい入試になるとは思います。つまり、たとえ今年度は不合格でも実力が足りなかったということではなく、実は合格まで1問差だったというようなことが、例年以上に起きてくると考えられます。

--今年の私立大学医学部入試ではどのような問題が出題されていますか。

 今のところ大きく傾向が変わった大学はなさそうです。もちろん、多少の変更は毎年ありますし難易度は変わるものですが、当日対応できないような問題は出題されていないようです。また、仮に難しい問題が出たとしても、必ずしもその問題を解かなければ合格しないということではありません。 

 あえてユニークな出題をあげるとすると、今年度最初の入試となった愛知医科大で出題された「2024」を使った数学の問題。今年の西暦にちなんだ問題なのですが、実はこういう問題は過去にも他大学で出題されており、私が覚えている範囲では、千葉大でも2018年度入試に「2018」を使った問題が出されています。このように、他大学で過去に出題された、似たような問題が出題されることもありますから、過去問は志望大学だけに特化せず、いろいろな大学の過去問にあたって演習を重ねた方が良いと思います。

 また、英語では、東北医科薬科大でコロナ関連の話題が扱われるなど時事問題に絡めたテーマだったり、杏林大でも医学に関する長文が出題されたりしました。ちなみに、杏林大の問題は長文の内容が非常に難解だったのですが、設問自体はそこまで難しくはないものでした。医学部入試にはよくありがちですが、冷静になってあきらめなかった人が高得点につながっているのではないでしょうか。

 これまでに試験が終わった私立大学医学部を振り返ると、やはり読解力を求める問題が多く出題されています。理系の受験生には国語が苦手な人もいますが、国語の勉強をおろそかにすると、数学や英語でも点数が取れないことがあります。小論文の勉強などを通じて国語力を高めておいてください。

 なお、ここでひとつ、特に保護者の方にしっかりと留意しておいていただきたいのは、センター試験対策が「国公立大学や私立大学の個別試験対策にもなる」と言われていたセンター試験時代とは様相が異なり、今の共通テストと個別試験はそれぞれ傾向がまったく違うということです。今は個別の対策が必要で、センター試験の勉強がオールラウンドに有効だった昭和・平成の時代に比べ、今の受験生の方が対策に時間がかかるのは間違いないと思います。

2次試験・個別試験での逆転は可能

--共通テスト直後から私立大学の1次試験が続々と始まり、1次合格すれば2次試験と、医学部受験生は非常に多忙です。こうした過酷なスケジュールを乗り切って合格を勝ち取っていく受験生にはどういった共通点がありますか。

 月並みな表現ですが、「折れない心」、「あきらめない心」をもっている人が合格しているのは間違いありません。たとえ共通テストがうまくいかなくても、2次試験・個別試験で逆転できることは多々あり、しかも難関大に多い傾向です。特に定員の少ない医学部の入試では、いくら成績が良くても、複数大学を受験して「合格率100%」になる人はほとんどいません。また、学校ごとに出題傾向が異なるうえ、たった1問の正誤で合否が変わるので、決して偏差値に準じで結果が決まるわけでもありません。ですから、1月の入試でつまずいても、まだあきらめないでください。

 入試問題にも時代のトレンドがあります。たとえばコロナ禍では、生物でPCR法に関連した出題が多く出されました。ですから、1月の入試が不合格でも、気持ちを切り替えて自分が解けなかった問題をしっかりと復習すれば、2月に類似の問題が出た際に得点できて、合格していくことは十分可能です。「あきらめない」とは単なる精神論ではなく、失敗も糧にして最後まで実力をつけ続けるということです。

 最近は、受験生本人よりも、保護者の心が折れてしまうこともあります。特に、小学・中学受験などで、お子さんが常に良い判定を受け、不合格の経験がないご家庭では、合格することが当たり前になっています。その感覚で医学部を受験し、人生で初めての不合格を突き付けられると、「まさかうちの子が…」と、現実を受け止められません。結果的に、受験生にとって一番心が休まるはずの家庭の雰囲気が暗くなり、負の連鎖が起きてしまうこともあります。

 複数校合格しても進学できるのは1校だけ。1校合格すれば良いのです。試験は後期もあり、3月まで続く長期戦です。長いからこそ、親子ともに折れない、あきらめないメンタルが大事になってきます。

先取りカリキュラムが医学部合格の要

--大学全入時代の中、医学部だけは未だ多浪する受験生も多い難関入試。医学部合格者を多数輩出されてきたプロフェッショナルから見て、最短距離で合格するためには何が重要だと思いますか。

 重要なのはカリキュラムです。私立大学医学部の試験日は共通テスト終了直後からスタートするため、他学部の受験生と同じカリキュラムで勉強して間に合うわけがありません。医学部受験生には、医学部入試のスケジュールに適応した別カリキュラムが必要なのです。

 そこでプロメディカスでは、夏も通常授業を続けています。その分、ライバルより先に進めますから、早い時期から個別試験対策に取り組めるのです。もちろん、夏は時間もありますので、通常授業を行いつつ、苦手分野を強化する授業や個別指導をプラスすることで、学習量にはしっかりと負荷をかけています。

 また、多くの大学の実習やゼミが少人数で行われることからもわかるように、学びの最適解は少人数です。そのため、プロメディカスでは各クラスの定員を8名として、ゼミ形式の授業を行っています。集団の良さは、競う相手がいて「負けたくない」という気持ちが芽生えて成長できる点と、集団の中で自分の苦手分野が見えてくる点です。そのうえで、苦手分野をカバーしたい人のために、オプションとして1対1の個別指導を準備しています。少人数クラスと個別指導、この両輪での効果は大きく、着実に進学実績に反映されています。

 そもそも、これだけ社会が変化しているのに、教育だけは昭和のままで、当時と変わらない学習スタイルを与え続けることは、子供たちの未来への冒涜だと個人的には思っています。教育こそ、変わらねばならないのです。

--今後の医学部入試について、最新の動向を踏まえ、展望をお聞かせください。

 低学年対象の模試動向を見てみても、医学部志望者は増えています。一方で、今後は人口減になることもあり、医学部の定員が減る可能性があります。そのため、多くの志望者数に対して受け入れる分母が減り、医学部合格がさらに難化する可能性は否定できません。

保護者は否定せず、押し付けず、正確な情報収集を

--子供が医学部を目指す場合、保護者としてはどのようなサポートができるでしょうか。

 保護者の皆さんに気をつけていただきたいことを3つお伝えします。

 1つ目は、否定しないこと。実際に生徒から聞いた、「定期考査や模擬試験の結果が出た後に親から言われた言葉」には、「あなたに医学部なんて無理」「こんな成績では…」「受験はやめて働け」などがあります。子供の成績が悪いと感情的になってしまうのはわかりますが、こうした言葉を一番近い存在である親に言われて、「よし。次はがんばろう」と思える子はほとんどいません。成績が悪いことは、親が言わなくても本人が一番わかっています。保護者の皆さんは、あまり否定的なことを言わずに夢を応援してあげてください。

 2つ目は、押しつけないこと。押しつける傾向があるのは、保護者ご自身が医師のご家庭に多いと感じます。時代は変わっていますので、「自分の時代はこうだった」という押しつけは、やめた方が良いでしょう。昭和と令和では入試の内容も、医学部で求められる資質も変わってきています。押しつけて良いのは、「私の子だからできる」という思いだけにとどめてください。

 3つ目は、正確な情報収集をすること。情報化社会の今は、SNSやYouTubeなどで情報が氾濫していますが、エビデンスのない個人的な見解に過ぎないものを多く目にします。何が最適かは、お子さん各々に合わせた戦略がありますので、情報に翻弄されることなく、プロに任せていただければと思います。

 最後に補足しますと、合格するご家庭の共通点として、普段からコミュニケーションが取れている点があげられます。たわいもない話題でも良いので、日常的に会話ができていると、子供は「親が見てくれている」と安心してがんばることができるようです。

--現在、医学部入試の渦中にいる受験生に向けて、また、来春以降医学部を目指している受験生に向けて、それぞれメッセージをお願いします。

 医師になるという夢をあきらめないでください。成績は、ほんの少しやり方・考え方を変えるだけで伸びるものです。もし今、行き詰まっているなら、たまたまこれまで正しいやり方・考え方に出会えなかっただけ。大事なのは過去や現在ではなく、これから変わっていく未来です。夢があり、可能性がある皆さんです。どうか、未来を生きてください。

--ありがとうございました。

 医学部人気は今年も変わらず、最後まで厳しい戦いになりそうだ。長期戦ではあるが、とにかく最後まであきらめないことが肝要とのこと。共通テストで力を発揮できなかった受験生も、2次試験・個別試験で「逆転のチャンスはまだまだある」という細谷先生の言葉が励みになる。今年の入試も3月までチャンスは続く。受験生は体調に気をつけて、最後まで戦い抜いてほしい。合格を勝ち取れることを祈っている。

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《なまず美紀》

なまず美紀

兵庫県芦屋市出身。関西経済連合会・国際部に5年間勤務。その後、東京、ワシントンD.C.、北京、ニューヨークを転居しながら、インタビュア&ライターとして活動。経営者を中心に600名以上をインタビューし、企業サイトや各種メディアでメッセージを伝えてきた。キャッチコピーは「人は言葉に恋♡をする」。

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