過去最高の受験率を記録した2024年度の中学入試。有識者の中では今後も中学受験熱は横ばいのまま継続するだろうという声も多い。小学校低学年、中学年のお子さまをおもちのご家庭の中には、周囲の気運に後押しされ、国公立・私立中学校への受験に関心をもち始めた保護者もいるのではないだろうか。
とはいえ中学受験と聞くと、夜遅くまでの塾での授業、大量の課題、塾への送迎、他の習い事との両立の難しさなどの数々のハードルが想起される。これらのハードルがネックとなり、子供の進学先の選択肢からやむなく排除したという声も数多く聞く。
昨年春、中学入学した筆者の息子は、中学受験を経て念願の志望校に入学し、部活と勉強を両立しながら充実した学校生活を送っている。夫婦共働きのわが家だが、想像していたよりもはるかにストレスなく中学受験を乗り越えることができた。
そのために欠かせなかったのが、ベネッセコーポレーションの通信教材「考える力・プラス 中学受験講座」。わが家の中学受験体験のエピソード等を通して、志望校合格に止まらない「考える力・プラス」シリーズの魅力を紹介したい。

私立・国立・公立、中学受験対策を自宅で…「考える力・プラス」とは
「考える力・プラス 中学受験講座」は、中学受験に必要なスキルが身に付くテキストと、プロ講師による映像授業、実力診断テストが毎月届き、中学受験に向けたカリキュラムを自宅で取り組める通信教材。わが家が受講していた私立・国立中学校志望者向けの「考える力・プラス 中学受験講座」のほか、公立中高一貫校志望者向けの「考える力・プラス講座」がある。
わが家では、小学1年生から「進研ゼミ小学講座チャレンジタッチ」を始め、3年生からオプション講座の「かがく組」を受講。もっと発展的な学習に取り組もうと、小学4年生の4月から「考える力・プラス 中学受験講座」を始めたところ、「学校の勉強よりもおもしろい!」とみるみるうちに夢中になった。
言わずもがな通信教材の老舗であるベネッセコーポレーションが提供する「考える力・プラス」シリーズには、子供が楽しく取り組める工夫がいたるところに散りばめられている。最初は「このプレゼントが欲しいから、努力賞ポイントを貯めるためにやろう」という外発的な動機付けがメインだったが、次第に親が声をかけなくても自主的に勉強することが習慣になった。子供の知的好奇心を掻き立て、「おもしろい、もっと知りたい」と感じられる教材だからだろう。さらに難度の高い問題も適度に出題され、それを解けたときには「やればできる」という自信が得られる。こうして成功体験を積み重ねたことで、着実に、自分で考え、学びを自走させる力を身に付けることができたと感じている。

習い事や友達とのゆとりある交流をあきらめず、中学受験に挑戦
息子が通っていた小学校では、中学受験をする子は年に1~2人と超少数派。受験に向けて塾に通う子は息子の周りにおらず、放課後は友達と遊び、スイミングと体育教室にそれぞれ週に1回ずつ通っていた。中学受験の大手塾に息子が自力で通うには片道1時間かかるため、通塾するには何かをあきらめなければならない。一方、自宅で取り組める通信教材であれば、時間的にも金銭的にも負担が少ない。小学1年生から始めたチャレンジタッチからの自然な流れで、息子は「考える力・プラス 中学受験講座」を受講することに決めた。
通信教材は、子供のやる気が続かなかったり、わからない問題でつまずいてしまったりしがちだが、「考える力・プラス 中学受験講座」は、日ごとの学習内容が決められていて、学習計画が立てやすく、無理なく取り組める。スイミングで疲れて取り組めなかった日は、別の日に振り替えて取り組むなど、習い事と両立しやすかった。
中学受験の勉強は、小学校の教科書の学習範囲を超えており、すべて子供ひとりで取り組むことは難しい。家庭での学習中に出てきたわからない問題については、当初は夫や私が教えていたが、2人とも中学受験の経験がなく、特に算数に関してはだんだん教えられなくなってきた。中学受験で毎年実績のある隣町の個別指導塾に相談したところ、「今受講されている通信教材はコスパが良いし、とても良い学習習慣が作れているので、うちの個別指導では国語と算数だけ補いましょう」とアドバイスいただき、小学5年生の夏から個別指導塾に週2コマのみ通うことにした。通塾を最小限にとどめたことで、習い事や遊びなど、日常を犠牲にすることなく無理のないペースで続けることができた。
目的別に教材を使い分け、身に付いた学習習慣
中学受験関連の情報に接していると、「もっと勉強させた方が良いのでは?」と不安になることが度々あった。そんな時は、かつて参加した親子マラソンでの苦い経験を思い起こすようにした。実は息子が小学3年生の時、親子でマラソン大会に出場し、息子のペースを考えずに1秒でも早くゴールしようと、叱咤激励しながら筆者のペースでグイグイ引っ張って走った。レースの後半は泣きながら走り、最後までゴールしたものの、それ以降、息子はマラソンが大嫌いになってしまった。その経験から、それ以降、ひとりよがりに暴走してはいないかと親である自分自身をセーブし、息子のペースや意見を尊重することをモットーに接するようになった。勉強も同じように、息子のペースを考えずに無理をさせて、勉強が嫌いになってしまうことだけは避けたかった。
わが家では、「考える力・プラス 中学受験講座」の「実戦テキスト」「ワーク」「計算と一行問題」を平日2時間、休日5時間ほど取り組んだ。テキストは図やイラストが豊富で見やすく、先生と受験生のキャラクターが登場し、その掛け合いを読んでいくうちに知識がスッと入り、ポイントを掴むことができた。紙のテキストを解説する4教科の「映像授業」もあり、特に息子にとっては算数のつまずきやすい問題への理解が深まっていたように思う。
「やりきりカレンダー」の学習計画では、日曜日がフリーになっていたので、間違えた問題の復習にあて、「早く終えられたら遊べる!」とメリハリをもって休日を過ごすようにした。その月の仕上げには、「赤ペン先生の問題」に取り組み、学習の定着度合いを確認。いよいよ6年生に入ってからは、学期ごとに学習した単元の理解度が確認できる「実戦力診断テスト」や実戦的な入試形式で出題される「実力診断テスト」、合格可能性が判定できる「合格可能性判定テスト」を受け、志望校合格の可能性や課題を可視化して、確認した。集団塾ではついランキングが気になったり、周囲と比較したりして、テストの結果に一喜一憂しがちだが、家庭でじっくり取り組める「考える力・プラス 中学受験講座」では、間違えた問題にじっくり向き合い、1つ1つ課題を克服することができた。テストの結果には、どの単元で習ったかを示すカリキュラム表が付いてくるので、「今回間違ってしまった旅人算は、5年生の9月号で習った個所だからテキストで復習しよう」といったように、効率的に苦手分野の学習を進めることができた。

本番では、札幌日本大学中学校と立命館慶祥中学校の2校を受験し、両校に合格。親子マラソンでは苦しくて泣きながらゴールしたわが家が、中学受験は笑顔で完走できた。進学先の中学校では、自主自律が尊重されており、自分で立てた学習計画に沿って家庭学習を進めるため、「考える力・プラス 中学受験講座」で身に付けた自律的な学習習慣が引き続き役立っている。好成績を維持しながら部活や趣味にも励み、充実した中学校生活を送れているのも、本講座を受講したおかげだと感謝している。
適性検査で問われる「思考力・判断力・表現力」の定着をしっかりサポート
先にも紹介したとおり、進研ゼミ小学生講座には、わが家が受講した私立・国立中学校志望者向けの「考える力・プラス 中学受験講座」のほか、公立中高一貫校志望者向けの「考える力・プラス講座」も用意されている。
公立中高一貫校の入学者選抜に際しては、学校教育法施行規則において「学力検査を行わないものとする」と定められていることから、教科ごとの試験は行われない。一方で、思考力や判断力、表現力など小学校で身に付けた総合的な力を測る教科横断型の問題や、入学後の6年間の学習への意欲や適応力を測る作文や面接などが、いずれの地域においても適性検査の主たる内容となっている。
そのため、公立中高一貫校志望者向けの「考える力・プラス講座」は、思考力や表現力を鍛える教材を中心に構成されている。思考力を鍛える「実戦力テキスト」、理解を深める「映像授業」、実戦力を高める「ワーク」、毎月の学習到達度が確認できる「添削課題」が主な内容だ。作文対策においても個別添削のフィードバックが得られ、適性検査に向けて万全に備えられる充実のパッケージになっている。
ベネッセコーポレーション協力のもと、「考える力・プラス講座」を受講して公立中高一貫校に合格したご家庭に、教材の活用法や受験期間中のお子さまのようすについて伺った。
週5回の習い事を続けながら、千代田区立九段中等教育学校に合格
千代田区立九段中等教育学校に合格した鈴木春奈さん(仮名)は、週4回のテニスと週1回のスイミングを続けながら、スキマ時間で「考える力・プラス講座」に取り組んだ。春奈さんは「習い事をしていると、逆に家で集中することができた」と話す。周囲は中学受験のために塾へ行く子が多かったが、春奈さんは順位が出ることに不安を感じたため、中学受験塾に通うことなく、自宅での受験対策を選んだという。
「考える力・プラス講座」のテキストは、問題を「思考のステップ」で3段階に分解して解説してくれる。ステップごとの思考法は、他の問題を解く際にも「思考の型」として応用できる。特に教材の中で出題される理科と算数の問題は、ひらめきが鍵になるものが多く、解いていて楽しかったと話す春奈さん。「楽しいから記憶に残りやすく、どんどんわかるようになって、さらに楽しくなった」とのこと。問題に向き合う時の好循環ができあがっていったようだ。
一方、作文はあまり得意ではなかった春奈さんだが、「考える力・プラス講座」で学んだ「作文の構成から考えて書く」という方法がとてもわかりやすく、「赤ペン先生」のアドバイスも具体的だったので、作文の基礎ができたとのこと。受験本番でも思い通りに作文を書くことができ、達成感があったという。春奈さんの母親は、「受験勉強で力を積み重ねていく経験が、本人の自信につながった。疲れているときは焦らず『○問やったら終わり。ここまでやろう』と決めて一緒に頑張った」と親子で伴走した日々を回想した。

「赤ペン先生」の添削で苦手分野を把握し、大阪府立富田林中学校に合格
大阪府立富田林中学校に合格した川本朗くん(仮名)は、小学4年生までサッカーをしていたが、コロナ禍で続けられなくなり、代わりに勉強に励んだという。父親と話し合い、小学5年生の初めに公立中高一貫校を受験することに決めた。朗くんは自分で学習が進めたいと思い、塾ではなく「考える力・プラス講座」を選んだ。市販の参考書や問題集も活用したが、学習の主軸にしたのは「赤ペン先生の問題」の添削、特に適性検査の課題だった。
小学5年生のころは平日2時間、小学6年生になってからは平日に加え、休日に約6時間勉強していたという朗くん。「自分では『正解だ』、『正しいはずだ』と思っていたことも、実は不正解だったことがあり、(市販の問題集では)自分でなかなか気づけなかった」と振り返る。解説を見て正解か判断できなかったり、甘く採点してしまったりするときは、父親が一緒に確認していたという。一方、「赤ペン先生の問題」を活用することで、自分の苦手分野を客観的に把握することができた。

課題の克服には映像授業を活用。映像授業は、教科別にプロ講師が行い、テキストと連動しているため、効果的にプロの思考プロセスを身に付けられたという。「『考える力・プラス講座』は読み取る力を鍛えられ、記述問題が豊富なため、文章を熟読して解く問題が多い公立中高一貫校の適性検査に太刀打ちできた」と父親は成功の要因を分析した。
中学受験の多様性、自宅学習で余白のある受験を
多様性が認められるようになった今、中学受験も家庭ごとにさまざまなスタイルがあって良いだろう。今回紹介した「考える力・プラス 中学受験講座」「考える力・プラス講座」をはじめとする教材を活用し、学校生活や習い事、余暇を満喫することをあきらめることなく、自宅学習を軸に志望校合格を目指すスタイルは中学受験における新常識になるように思う。これから塾選びを始める低学年・中学年のご家庭にとっても、入試本番が現実味を帯びてきた高学年のご家庭にとっても、本記事が「わが家の中学受験スタイル」を見直す一助になれば幸いである。
私立・国立中学校を目指すお子さま向け
公立中高一貫校を目指すお子さま向け

※公立中高一貫校の入学者選抜においては「受検」と表記することが一般的であるが、本記事では「受験」に統一している。