中学受験には欠かせないツールといわれるプリンタ。中学受験生を抱えるご家庭では、「プリンタは自宅にもあった方が良いの?」「プリンタを買うならA4? それともA3対応?」など、プリンタ購入に悩まれているのではないだろうか。今回は、自宅でプリンタを活用し、お子さんを合格に導いた4名の保護者にインタビュー。どんなメリットがあったのか話を聞いた。
【話を聞いた人(仮名)】[括弧内はお子さんの進学先]
山田さん[浦和明の星中]
大野さん[女子御三家中]
鈴木さん[ドルトン東京学園中]
佐藤さん[吉祥女子中]
A3プリンタは家庭学習のサポートに大活躍
--山田さん、大野さん、鈴木さんは、ご自宅にブラザー製のA3プリンタをお持ちとのことですが、購入することになった経緯を教えてください。
鈴木さん:息子が3年生の2月から塾に通い始め、復習用に教材をコピーするようになりました。最初は自宅で年賀状印刷のために買ったA4プリンタを使っていたのですが、息子の塾の教材はA4サイズに収まらないものが多くて不便を感じていました。そんなとき、偶然目にした記事に「大量に印刷するならコンビニよりもプリンタを購入した方が1枚当たりのコストは安くなる」と書いてあったので、思い切ってA3対応のプリンタを買うことにしました。
大野さん:うちも鈴木さんとまったく同じ理由です。娘が通っていた塾もプリントが多かったので、自宅にプリンタがあると便利だと聞いていました。特に6年生になって過去問に取り組むようになると、親は大量のコピーをしなくてはいけないと言われ、「どうせ買うなら早い方が良い」と思って、5年生のころに購入を決めました。
山田さん:わが家の場合は、娘が3年生から塾の通信教育を受け始めたので、毎週、私が問題用紙と解答用紙をプリントアウトして、娘が記入した解答用紙をスキャンして送り返す必要がありました。始めた当初は自宅にプリンタがなく、プリントアウトとスキャンのために、その都度コンビニに通っていたのですが、さすがに負担が大きく、プリンタの購入を検討することにしました。
対応サイズについては、その塾の週テストがB4サイズだったことに加えて、将来的には過去問を実寸大に拡大コピーして取り組ませたいという考えから、A3プリンタ一択でした。ただ、実物を見ないままネットで注文したため、自宅に巨大なダンボール箱が届いた際はその大きさにびっくりでした(苦笑)。でも、家の中に置いてみると圧迫感はなく、娘の学習をサポートするには欠かせない存在になりました。
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--佐藤さんはA4プリンタを使い、A3プリンタを購入しなかったとのことですが、その理由をお聞かせ頂けますか。
佐藤さん:わが家は自宅から徒歩1分の場所にコンビニがあることと、娘が通っていた塾はプリントがあまり多くはなく、製本されたテキストを見ながらノートに答えを書き込むスタイルだったことから、何とかA4プリンタで乗り切りました。ただし、過去問については、赤本は見開きがB4サイズなので、問題は見開きではなく片面1ページずつA4サイズでコピーし、表裏をスティックのりで貼り合わせて冊子の状態にして使いました。解答用紙は実寸大に印刷する必要があったので、それはコンビニでまとめて拡大コピーしていました。
--A4プリンタで不便はなかったですか。
佐藤さん:わが家はコンビニとの併用だったのですが、コンビニでは、後ろで待っている人がいると気持ちが焦り、どうしても気を遣ってしまうんですよね。ですからなるべく人が少ない早朝の時間帯に行くようにしていましたが、過去問のコピーに追われる直前期は寒い上に、感染症も蔓延しやすい時期なので、コンビニと言えども外に出るのは不安でした。
--A3プリンタを実際に購入された方は、どのようなところが便利でしたか。
鈴木さん:先ほど言ったコスト面に加えて、私は毎日フルタイムで出社しているので、コピーをするのは深夜というのも珍しくなく、コンビニのコピー機を利用するのは現実的ではありませんでした。A3プリンタを購入してからは、それこそ深夜にパジャマ姿でも、早朝スッピンで寝起きでも(笑)、思い立ったときにすぐに使えるのが快適でしたね。機能として便利だなと思ったのは、倍率が25~400%の1%刻みで設定でき、頻繁に使うものについては登録しておけるところです。
山田さん:私も同じく、よく使う倍率を登録していました。テキストやプリントのサイズによって最適な倍率が異なるので、毎回操作する手間が省けますよね。
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佐藤さん:確かに、コンビニでコピーするときは、毎回倍率を設定するのが面倒でした。コピーして帰宅した後に倍率を間違えていたことに気付き、またコンビニに行って印刷し直すという痛恨のミスは何度もありました。自宅のコピー機で登録しておけると楽ですね。
大野さん:A3プリンタは速さも利点だと思います。ホッチキスで留められたプリントのホッチキスを外してバラバラにし、ソート機能を使うと自動送りで両面を読み取ってくれるんです。これで、両面プリントもスキャンも自由自在なので、すごく便利でした。
鈴木さん:自宅のプリンタなのにA3まで細かく用紙のサイズが選べるところもありがたかったですね。
山田さん:引き出し型のトレイは2段あるので、1段目にはA4用紙をセットしておき、2段目は必要に応じてB4とA3を入れ替えて使っていました。学年が上がるにつれてコピーする量も増えてくるので、本当に助かりました。
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A3プリンタがマストバイアイテムと感じた理由
--A3プリンタがマストアイテムだと感じたのは、具体的にどのような場面だったのか。もう少し詳しく教えてください。
鈴木さん:まずは塾の授業の復習ですね。息子の塾ではテキストがB4のプリント形式だったのですが、復習の際、プリントに直接答えを書き込んでしまうと、もう一度復習したいときに、以前書いた答えが見えてしまうので使いづらいんです。だからといって、毎回消しゴムで消すわけにはいかないし、テキストには答えを書き込まずにノートに書くというのも、答え合わせにひと手間余計にかかるし…。
ですから、塾から帰ったらすぐ、何も書き込まれていない状態で何枚かコピーしておき、そのコピーを使って繰り返し復習するようにしていました。また、漢字については、見開きでB4のテキストをA3に拡大し、大きく丁寧に書く練習に活用しました。
山田さん:私は、娘がテキストやテストで間違えた問題の中から、正答率が高い重要な問題についてはすべてコピーしてノートに貼り、効率的に苦手なところを補強できるようにサポートしていました。算数の図形問題など、直接問題に書き込んだ跡が残ると復習しづらいときには、書き込みを消せるアプリで綺麗な状態にした上で印刷していましたね。
佐藤さん:私も山田さんのように、娘がテストで間違えた問題を集めてノートに貼っていたのですが、4教科分このような作業をするとなると、家のプリンタでサクッと素早くコピーができるのは本当に楽ですよね。
娘の塾のテストもB4サイズだったので、わが家の場合はこれもA4プリンタで片面ずつ2回に分けてコピーしていましたが、もしA3プリンタがあれば、あの手間は必要なかったわけですもんね。
大野さん:6年生になると、理科や社会は膨大なインプットの総復習をするため、塾からB4サイズのまとめプリントを何枚も渡されるのですが、私はこれをA4に縮小コピーして1冊のファイルにまとめていました。そして、模試や受験当日にもこのファイルを持たせ、「空き時間に眺めておくと良いよ」と言って送り出していました。本人がどこまで目を通していたかはわかりませんが、お守り代わりにはなったかなと思っています。
鈴木さん:あとはやっぱり、A3プリンタが活躍する場面といえば過去問のコピーですよね。特に6年生の後半はフル稼働だったかも。
山田さん:本当にそう思います。皆さんおっしゃっていたように、解答用紙は実寸大に印刷することで本番に近い環境が作れますし、過去問を解くと弱点も見えてくるので、過去問が掲載されたサイトから類題を探し、ダウンロードしたファイルをプリンタに飛ばして印刷するなど、6年生のころは毎日の家庭学習がA3プリンタ無しでは成り立たなかったと言っても良いくらいです。
大野さん:私も、秋以降の追い込みシーズンには本当に買って良かったと痛感しました。過去問の問題自体はサイトからダウンロードしたものをプリンタから印刷し、書店で購入した過去問集は解答用紙を原寸大にコピーし、解答解説を読んで採点・復習するという使い方で、印刷作業はすべて家のA3プリンタで完結しました。
鈴木さん:その使い方がいちばん効率的で楽ですよね。
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佐藤さん:わが家はA4プリンタだったので、相当な労力がかかりました。先ほども触れたように、解答用紙が原寸大にコピーできないのと、4教科の問題を1ページずつA4プリンタのゆっくりしたスピードで印刷するのはなかなかのストレスでした。
さらに、併願校を考える際には、どの学校がどんな問題を出しているのか、自分の子供との相性も気になるところです。ですから、本格的に併願校を決めて過去問集を購入する前に、幅広くいろんな学校の過去問をインターネットで検索し、それを自宅のプリンタで印刷して親子で内容を確認できるのも便利だろうなと思います。
A3プリンタは中学受験後も親子で活用できる
--皆さん、受験期にはプリンタを最大限に活用されたようですが、お子さんの進学後にもプリンタの出番はあるのでしょうか。
山田さん:中学受験のために購入したプリンタですが、実は今でも活躍中です。というのも、娘は私が中学受験でプリンタを活用してきたのを見てきたからなのか、今では自分でテキストをコピーしてノートを作っていて、設定も娘の方が詳しいくらいです。中学受験で親は子の伴走者だと言われますが、プリンタの活用という観点でも、私が伴走した日々を経て、中学入学後の自走を促せたかなと感じています。
大野さん:うちの娘も宿題やテスト勉強、部活の資料や、趣味の楽器の楽譜など、今でもさまざまな場面で使っています。私自身もテレワークの際には仕事に使っていますし、うちはひとりっ子ですが充分に元を取れた感じです。もうコンビニのコピー機には戻れません(笑)。
佐藤さん:中学受験後もプリンタの活用シーンはありますよね。娘の学校では連絡事項はすべてデジタルで届くのですが、年間予定表などは大きくプリントアウトして見える場所に貼っておきたいので、A3で印刷できると良いなと思うことも多いです。
鈴木さん:わが家は下の子が5年生なので、引き続き中学受験のためにプリンタを活用しています。つい先日も、立体図形の展開図をコピーし、実際に切り取って復習していました。この夏休みは計画表を作ってほしいと言われ、A3で大きくプリントアウトして、お手伝いをしたらスタンプを押す欄を作るなど、少しでもやる気を引き出せるように工夫しています。山田さんがおっしゃったように、小学生までは親が伴走する場面が多いので、わが家のように両親が共働きで時間のない家庭こそ、こうしてプリンタを活用しながらなるべく効率良く、親子の時間をつくってサポートしていきたいですね。
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--最後に、中学受験の渦中にいらっしゃるご家庭に向けて、メッセージをお願いします。
山田さん:「必ず終わりが来る」とお伝えしたいです。「勉強についていけなくなったらどうしよう」「感染症に罹患したらどうしよう」「全部落ちたらどうしよう」など不安は募りますが、どんなに長くても出口のないトンネルはないと思って頑張ってほしいです。
佐藤さん:私も、多忙な夏期講習が終わったこの時期、「まだ5か月もあるのか」と気が遠くなったのを今でも覚えています。特に6年生の後半は親の方も気持ちに余裕がない中、子供の成績は上がったり下がったりで、胸がギュッと締めつけられることの連続でした。でも、案外娘自身はタフで、最後まで努力する姿を見せてくれ、直前期から受験本番にかけて大きな成長を感じました。保護者の皆さん、心が折れそうなときがあっても、最後までお子さんを信じて伴走し切ってあげてください。
鈴木さん:渦中にいるときは必死でしたが、今思い返すと、親子二人三脚で頑張ったことは本当に良い経験でした。親はどうしても結果にばかり目が行くのですが、子供は頑張っている過程を認めてもらうことで自信を付けていくのではないでしょうか。塾の先生がおっしゃっていた「最後まで伸び続ける」という言葉通り、息子は試験の最終日にいちばん力を発揮できたと思います。そして、息子の成長をいちばん感じたのも、その試験の当日でした。どうかお子さんを成長過程の1人の人間として見守り、応援してあげてください。
大野さん:皆さんおっしゃるように、私も中学受験は親が子供に伴走できる最後の機会だったなと思います。子供は中学に入ると、驚くほど早く自分の世界ができ、親から離れていきます。寂しい気持ちもありますが、その姿にはわが子の成長を感じます。渦中にいらっしゃる保護者の皆さんは毎日お忙しいと思いますが、親子で濃密だった受験期の記憶は合格発表の日を境に薄れていくので、今から少しでも日々の経験や気持ちをメモに残しておくと、いずれ貴重な思い出になると思います。
--プリンタは、中学受験という大きな壁に挑む親子を支え、応援する大切な家族の一員なのだと感じました。今日は貴重なお話をありがとうございました。
中学受験でのA3プリンタの使用方法について、多くの具体的な事例を教えていただいた。プリンタの話でありながら、中学受験に立ち向かうわが子に伴走する保護者の愛とサポートの話でもあり、皆さまがどれだけの工夫と努力を重ねてきたか、その過程に感銘を受けた。
中学受験の渦中にいる保護者の方々には、効率アップにつながるツールを積極的に活用し、受験期のストレスを軽減していただきたいと思う。
ブラザー A3インクジェットプリンター・複合機 MFC-J7300CDW