神奈川県内の最難関公立高校である横浜翠嵐高校(以下、横浜翠嵐)に2025年度の神奈川県公立高校入試で155名の合格者を送り出した臨海セミナー。首都圏を中心に全国545校(2025年4月時点)を展開し、小学生から高校生まで幅広い受験・学習指導を実施している同塾は、神奈川県の公立トップ高校合格実績を伸ばしている。
神奈川県公立高校入試の基本情報と最新動向、2026年度入試に向けた今夏の過ごし方、保護者の心構えについて、話を聞いた。
【話を聞いた人】
ESC難関高校受験科事業部長 飯沼徹氏
小中学部事業部本部教務部神奈川責任者 山田翔太郎氏
ESC難関高校受験科教務部神奈川文系課 上席係長 青木陽介氏
ESC難関高校受験科教務部神奈川文系課 主任 長澤裕文氏

根強い公立人気の神奈川県高校入試
--神奈川県の公立高校入試の特徴について教えてください。
山田氏:神奈川県の公立高校入試は、「内申(調査書)」「学力検査(5教科)」「特色検査」という3つの要素で構成されています。推薦入試はありません。一部の高校が実施している特色検査は、大きく分けて、「自己表現検査」「実技検査」「面接」の3つの形式があります。
自己表現検査(以下、特色検査)は、18校(学力向上進学重点校およびエントリー校 ※横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校は、横浜市教育委員会から進学指導重点校に指定されているため除く)で共通して実施されるペーパーテストです。思考力が問われる教科横断型の内容で、各校の教育方針や重視する能力が色濃く反映されているものといえます。
この3つの要素「内申(調査書)」と「学力検査(5教科)」「特色検査」の配点比率が、高校ごとに異なるというのは特徴的な仕組みです。

たとえば、横浜翠嵐の配点比率は「内申3:学力7:特色3」、湘南高校(以下、湘南)は「内申4:学力6:特色2」など、トップ校は学力検査重視、中堅校は内申重視の傾向があり、大半の高校は「内申4:学力6」または「内申5:学力5」といったバランスで選抜しています。東京都は「内申3:学力7」という比率ですので、神奈川県は比較的内申の重要度が高いといえるでしょう。

また、神奈川県の入試には「第1次選考」と「第2次選考」があります。第1次選考で定員の9割、第2次選考で残りの1割を選抜します。たとえば定員300名の高校では、上位270名が「調査書の評定」「学力検査の得点」「特色検査の得点(実施校のみ)」(例:「内申3:学力検査7:特色検査3」)を用いる第1次選考で選抜、残り30名は「学力検査の得点」「調査書の観点別評価(ABC評価)のうち主体的に学習に取り組む態度を点数化したもの」「特色検査の得点(実施校のみ)」(例:「学力検査8:主体的に学習に取り組む態度2:特色検査2」)を用いる第2次選考で選抜されます。これは全国的に見ても珍しく、さまざまな理由で内申に不安のある生徒にとっても志望校合格への道が開かれます。
--公立高校を第一志望とする生徒が多いのでしょうか。
山田氏: 神奈川県では、公立高校を第一志望とする生徒が多く、進学率は「公立2:私立1」という比率です。全日制の公立高校の募集定員は約4万人、受験者数は約4万5,000人にのぼります。公立受験者のうち約5,000人は、私立高校に進学するという構図になります。
飯沼氏:公立高校全体の実質倍率(実際に受験した人数を合格者で割ったもの。出願したが受験しなかった人数が除かれるため、より実際の入試状況に近い数値となる)は、平均して1.20倍程です。ただし、これはあくまで平均であり、県内でもっとも倍率が高い最難関の横浜翠嵐の2025年度の実質倍率は1.89倍でした。
山田氏:人気校の倍率は依然として高い一方で、2025年度入試の二次募集実施校は38校になり、県内の公立高校のおよそ4分の1で定員割れが生じている状況です。
--私立高校の入試はどのような種類があるのでしょうか。
飯沼氏:私立高校の受験には、大きく「推薦入試」と「一般入試」の2つあります。推薦入試は、適性検査や小論文、面接などペーパーテストを課さない入試が多いため、一般入試について説明します。一般入試は「オープン入試」「併願」「専願」の3つに分かれます。「オープン入試」は、当日の試験の得点のみで合否が決まる形式で、内申点は関係ありません。
対して「併願」と「専願」は内申点を重視するため、学校ごとに定められた内申基準をクリアしていれば、当日の試験でよほどのことがない限り安心して受験できます。「併願」は、複数の学校を受験し、その合否を見てから進学先を決める受験方式で、多くの生徒がこの形式で受験します。公立高校を第一志望とし、私立の合格も確保しておくというケースが多いです。「専願」は、合格した場合は必ずその学校に入学することが前提となります。
--志望校の選び方について、近年はどのような傾向があるでしょうか。
長澤氏:私立高校の設備面の充実や、学費に対する自治体の支援制度の拡充もあり、私立校を第一志望とする生徒も少し増加しています。
横浜翠嵐の一強化、大学進学実績が人気を牽引
--東大合格者を多数輩出する横浜翠嵐高校が注目を集めています。
飯沼氏:志望校選択の際、大学進学実績を重視する傾向があります。近年は、東大合格実績を毎年伸ばしている横浜翠嵐の倍率が、湘南よりも高くなっています。2025年度入試の合格者平均点は、横浜翠嵐のほうが湘南より10点以上高いという結果でした。

進学実績を見る際に留意していただきたいポイントが2つあります。1つ目は、合格実績には「現役合格者数」と「既卒を含めた合格者数」があるということです。高校自体の実力を知りたい場合には、現役合格者数が参考になるでしょう。2025年度の横浜翠嵐の東大合格者数は74名で、全国で8位でしたが、そのうち現役合格者数は67名、既卒は7名でした。都立日比谷高校(以下、日比谷)の東大合格者数は81名で、現役65名、既卒16名ですので、現役合格者数は日比谷よりも横浜翠嵐のほうが多く、日本の公立高校でトップです。
2つ目のポイントは、大学合格実績は、「高校受験時の生徒の実力」を表しているものではないという点です。たとえば、2022年当時、当塾から横浜翠嵐と湘南に合格した生徒の高校入試の平均点には、ほとんど差がありませんでした。しかしながら、3年後の2025年の大学進学実績、たとえば東大の現役合格者数では3倍以上の差が出ています。これは、高校3年間の間に「どれだけ生徒の実力を伸ばしたか」という差です。
また、併願する私立高校の選択にも、横浜翠嵐と他トップ校では傾向に違いが見られます。臨海セミナーのトップ校志願者は、併願で山手学院高校などの上位の私立高校を選ぶ生徒が多く、通常は地域の公立トップ校と併願の私立を1校受験というパターンが多くなりますが、横浜翠嵐を志望する生徒の多くは、併願に加えオープン入試で慶應や早稲田など、難関私立校を複数受験しています。
これは横浜翠嵐と他トップ校の受験者の違いを示す象徴的な動きであり、現在は「翠嵐一強」といっても良いでしょう。
もうひとつ、トップ校の動向で注目しているのが、多摩高校(以下、多摩)の台頭です。近年、多摩の受験者の平均点、倍率が上がってきています。かつては横浜翠嵐・湘南・柏陽、その次に緑ケ丘・川和・厚木、そして多摩という位置付けでしたが、最近では横浜翠嵐、湘南に次ぐ存在として、多摩の名前があがることが増えてきているように感じます。その要因は、同程度の合格者平均点をもつ他校と比べて、多摩は近年の国公立大学の合格実績が伸びていることと川崎市の人口が増えていることだと考えられます。また、所在地の影響もあります。たとえば、柏陽のエリアの上位層の生徒は「もう少し頑張って湘南を目指そう」という選択が可能な立地ですが、多摩の近辺エリアには選択肢が少なく、そのエリアの優秀な生徒が集まりやすい環境といえます。入学後に生徒たちが切磋琢磨し、進学実績が上がっているのではないでしょうか。
第一志望合格の鍵は“夏の過ごし方”
--例年の公立高校入試の出題傾向、難易度や平均点について教えてください。
山田氏:神奈川県の公立高校入試問題の特徴として、まず「設問や条件文の分量の多さ」があげられます。特色検査に限らず、5教科すべてで文章量が多く、英語の長文はもちろん、数学や理科でも複雑な条件が示されます。そのため、すべてを均等に読むのではなく「必要な情報を取捨選択する力」が重要です。この力がないと、制限時間内に解き終えるのは難しいでしょう。
例年3月末に発表される合格者得点状況によれば、平均点は国語が60~70点と比較的高く、他の教科は60点を下回ることが多いです。神奈川県では全公立高校で共通の問題が出題されますので、各高校の平均点の差は、生徒の学力だけではなく情報処理力の違いも反映していると考えられます。出題形式には「独特の難しさ」はありますが、内容や問題のレベルは全国的に見て特別に難しいとは言いきれません。しっかりと対策を行い、読解力や論理的思考力を身に付けていれば、十分対応できる内容です。だからこそ、横浜翠嵐などのトップ校は特色検査が合格の決め手となるのです。
--受験生は「勝負の夏」と言われています。夏からの効果的な対策について教えてください。
青木氏:夏期学習のポイントを、予習と復習の観点からお話しします。予習では、早期に未習単元をなくし過去問に取り組める状態を整えるため、学校で未習の単元を先取りしましょう。たとえば英語では、「分詞」や「関係代名詞」などを扱います。これらは通常中学3年生の秋~冬に習う内容ですが、神奈川県公立高校入試では文法・長文両方の対策に不可欠です。
復習では、特に理科・社会の苦手分野の克服を意識してください。この2教科は反復による暗記が得点の鍵です。

山田氏:部活動を7月中旬に引退する生徒も多く、そこから始まる1か月以上の夏休みは、学習時間をしっかり確保できる貴重な期間です。急に増えた自由時間をうまく勉強にシフトしていくためにも、塾の役割は非常に大きいと感じています。
臨海セミナーでは、生徒ひとりひとりの現在の学力や目標に応じて、基礎を固める「小中学部」、トップ校を目指す「ESC難関高校受験科」、そして基礎力強化や学習習慣の定着を重視した「個別指導セレクト」など、豊富な選択肢を用意しています。
--夏期講習では、どのようなカリキュラムが組まれているのでしょうか。
山田氏:臨海セミナーの集団授業では、夏期講習を「前期・中期・後期」の3期構成で実施しています。前期と後期は通常通う教室で行い、中期は志望校や学力別に編成された会場での集中授業となります。同じレベルの志望校を目指す生徒が集まり、互いに刺激を受けながら切磋琢磨できる環境が整っています。個別指導セレクトは予定に合わせての受講が可能です。
夏期講習では、中学3年生の学習内容をすべて履修し終えるカリキュラムを基本とし、先取り学習と模擬試験対策をバランス良く行います。後期の後半は、二期制の中学校で「前期期末テスト」が休み明けに実施されることを考慮し、該当地域では定期テスト対策も行っています。先取り学習・模試対策・定期テスト対策のすべてに対応できる内容です。
長澤氏:私はトップ校を志望する生徒を中心に個別指導を行っていますが、自学自習できる優秀な生徒でも、意外と知識の抜けや偏りが見られるものです。たとえば、特色検査の過去問では合格者平均点に届くような生徒でも、理科や社会の問題を一緒に解くと「こんなところが抜けていたのか」と気付くことが多々あります。小さな知識の抜けが合否に影響します。自分で弱点を客観的に把握するのは難しいため、塾などで第三者の視点からチェックを受け、基礎を固めることが重要です。
また、8月中旬にも5教科+特色検査模試を実施しており、模試後には「解き直し」の提出を必須としています。講師がそれを確認し、生徒ひとりひとりの理解度や誤解を丁寧に点検・指導することで、非効率な学習法や思い込みも早期に修正できます。

--臨海セミナーの強みとして「講師力」を掲げていらっしゃいますが、授業の質を維持・向上させるために、どのような取組みを行っているのでしょうか。
飯沼氏:講師は各教室で毎日のように研修があります。加えて、新人研修、エリアごとの合同研修などで研鑽を積んでいます。 私たちの研修は、座学ではなく、実際の授業を想定した実践型です。表現力や熱意は座学では身に付きません。他の講師を生徒役にして模擬授業を行い、指導の技術だけでなく、表情や声のトーン、生徒のモチベーションを上げる声かけまで、練習を重ねていきます。
山田氏:全科目において、細かく作り込まれた講師用マニュアルやチェックリストが整備されています。たとえば数学では、単元ごとに指導ポイントや確認事項が明示され、具体的なフィードバックが可能です。日々の授業も巡回・観察されており、授業そのものが講師を成長させる“研修の場”にもなっています。
また、生徒には月1回程度アンケートを実施し、講師の評価を数値化しています。これが講師間の健全な競争意識を促し、切磋琢磨の原動力となっています。教室によっては毎回の授業でミニアンケートを実施しているところもあります。
授業冒頭には毎回小テストを行い、前回内容の理解度を確認します。点数が低い生徒には個別対応を、クラス全体の平均が低ければ、指導を見直し復習授業を行うなど、常に授業の質と理解度の向上を図り、集団塾でありながら丁寧に個別対応もしています。
高校受験を通じて、生徒の人生設計をサポートしたい
--第一志望校に合格する生徒には、どのような共通点がありますか。
山田氏:まずは、オンとオフの切り替えができることです。勉強時間をしっかり確保しつつ、休むべきときにはきちんと休む。メリハリのある生活が、学習の質を高めます。次に、先生のアドバイスを素直に受け入れられることです。アドバイスを実践し成果が出れば、「次もやってみよう」という信頼と行動のサイクルが生まれます。このサイクルを重ねることで、生徒は確実に成長していきます。
--保護者はどのようなサポートや声かけをするのが望ましいでしょうか。
山田氏:保護者は焦りと不安から「勉強しなさい」「それで大丈夫なの?」などと言いたくなるものですが、こうした言葉は、お子さんのモチベーションを逆に下げてしまうケースがあります。理解者として寄り添う姿勢が効果的です。
飯沼氏:思春期は「言われたからやる」のではなく、「自分で考え、自分で動く力」を育てる時期です。親の言うことを聞かないのは、むしろ成長の証だと考えてください。親の言葉には反発しても、先生の話には耳を傾けるというのはよくあることです。だからこそ、何かあればご相談いただきたいと思います。
--最後に、2026年度以降に受験を控える生徒・保護者へメッセージをお願いします。
飯沼氏:受験生になってから塾通いを始めても遅すぎることはありませんが、学習習慣を身に付けるためにも、早くからの通塾をお勧めします。基礎が不十分だと、その先の学習でつまずくおそれがあります。思い立ったが吉日。ぜひ、合格に向けての一歩を踏み出してみてください。
山田氏:夏の学習の成功の鍵は、自分の立ち位置や学力を正確に把握することです。成長を感じられる悔いのない夏を過ごすためにも、まずは体験授業で今の自分を知ることから始めてほしいです。
青木氏:高校受験は、単に高校を選ぶことでなく、その先の大学進学や就職など、人生設計の重要な一歩になります。さまざまな学習ツールが充実している今、勉強はひとりでも可能です。それでも私たちが対面授業を重視するのは、「学習環境」と「熱量の伝わり方」が重要だと考えているからです。体験授業では「自分の弱点が発見でき、克服できた」「先生の授業で理解が深まったし、楽しく受けられた」という声を多くいただきます。志望校合格を目指す気持ちを共有し合える環境を、ぜひ体験していただければと思います。
臨海セミナーでは生徒ひとりひとりに寄りそい、きめ細やかな進路指導を行っています。志望校選びに不安を感じる方は、いつでも学習相談を各教室で行いますので、お気軽にご相談ください。
神奈川県特有の高校入試制度と最新動向を伺いながら、内申点の重要性、そして強固な基礎の上に学力を積み上げていくことの大切さを再認識した。夏は、基礎固め、将来設計、モチベーションアップの絶好の機会。本記事が、受験生と保護者の方々の前向きな一歩となることを願っている。
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