advertisement

家計悪化でも子供の抑うつ11%に改善、親の8割「時間ない」

 国立成育医療研究センターは、全国の思春期の子供とその保護者を対象としたJAYコホート(全国思春期調査)の結果を公表した。2025年調査では、家庭の41%が経済的に苦しいと回答し、保護者の約8割が時間的な厳しさを感じていることがわかった。一方、子供の中等度以上の抑うつ症状がある割合は改善傾向を示した。

生活・健康 その他
思春期の子供のいる家庭の主観的経済状況
  • 思春期の子供のいる家庭の主観的経済状況
  • 子供の就寝時間
  • 1日1時間以上の運動が週4日以上の割合
  • 子供の中等度以上の抑うつ症状の割合

 国立成育医療研究センターは、全国の思春期の子供とその保護者を対象としたJAYコホート(全国思春期調査)の結果を公表した。2025年調査では、家庭の41%が経済的に苦しいと回答し、保護者の約8割が時間的な厳しさを感じていることがわかった。一方、子供の中等度以上の抑うつ症状がある割合は改善傾向を示した。

 同調査は、層化二段無作為抽出法により全国50自治体から選ばれた小学5年生から高校生の子供とその保護者を対象に、2020年10月から毎年秋に調査票を郵送して実施している。社会情勢が思春期の子供の発達過程に与える影響を、長期的かつ累積的に調査することを目的としている。

 家庭の経済状況について、「大変苦しい」「やや苦しい」をあわせた割合は、2023年と2024年は34%だったが、2025年は41%に増加し、悪化していることがわかった。また、2025年調査で初めて尋ねた保護者の介護や仕事、育児に対する「時間のきびしさ」については、77.6%もの保護者が時間的に厳しいと感じていることも明らかになった。研究センターは、家庭全体がゆとりを失っている状況は、子供の心の状態を考えるうえで見落とせない背景であり、子供に加えて保護者への支援もきわめて重要だとしている。

 子供の生活習慣にも変化が見られた。就寝時間については、2025年は中学3年生以降の子供で午後11時よりも遅く寝る割合が半数以上を占めた。2023年と比較して、起床時間、就寝時間ともに遅くなる傾向が見られた。また、1日に1時間以上の運動を「週4日以上」行ったと回答した割合は、2025年調査で男子54.5%、女子42.9%だった。この割合は2021年から2025年にかけて男女ともに経年的に減少しており、研究センターは生活習慣の変化が健康に与える影響を注視し、要因の把握や改善に向けた取組みの検討が必要だとしている。

 子供本人が自分を評価する「抑うつ傾向」については、受診の目安となる中等度以上の割合が、2023年は13.3%、2024年は14.7%と悪化が続いていたが、2025年には11.0%まで低下し、改善に転じた。男女別に見ると、女子は男子よりも一貫して高い水準にあるものの、2025年には男女ともに改善が見られた。新型コロナウイルス流行以降に続いていた抑うつの悪化傾向に、一定の歯止めがかかったと考えられるが、依然として一定数の子供が中等度以上の抑うつ症状を抱えており、今後も慎重な経過観察が必要だとしている。

 今回の調査では、思春期の子供をもつ家庭の経済状況の悪化や、保護者の時間的な余裕のなさが浮き彫りになった。一方で、子供の抑うつ傾向には改善が見られるなど、生活習慣やメンタルヘルスにおける複合的な状況が明らかになった。

《風巻塔子》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top