世界に通用する知性と探究心を育むことを目指す立命館宇治中学校・高等学校。関西初の国際バカロレア(IB)認定校としても知られ、多彩な国際教育プログラムを通じて、生徒ひとりひとりの可能性を広げている。中でも、将来のグローバルリーダー育成に重点を置き、1年間の海外留学が組み込まれたIMコースは、教科を英語“で”学ぶイマージョン教育を通じて、実践的な英語力と問題解決能力、たくましい自立心が育まれると高い評価を得ている。
今回は、IMコースの卒業生で、ミネルバ大学経営学部に在籍する廣江七海さんにインタビュー。ミネルバ大学はハーバード大学をはじめとするアイビーリーグの学長、学部長経験者らが参画し、2014年9月に開学。2022年から3年連続で、国連関係機関により「世界でもっとも革新的な大学」として選出されている。海外トップ大進学者が語る、立命館宇治高校の真価とは。
お話を聞いた人
廣江七海さん ミネルバ大学経営学部2年生(立命館宇治高等学校出身)
1年間の海外留学とイマージョン授業で英語力が飛躍的に成長
--立命館宇治高校に入学したきっかけを教えてください。

小学校1年生の時から6年間、立命館宇治中高が運営する小学生向けの英語学習プログラム「Rits Kids(リッツキッズ)」に通ったことがきっかけです。毎週日曜日に、ネイティブの先生と一緒にサイエンスや算数、アート、音楽、コンピューターなどを英語で学ぶため、英語を使うのが当たり前の環境に身を置くことができました。その結果、小学校6年生で英検2級に合格することができました。もっと英語力を伸ばしたいという気持ちが高まり、「Your Link to the World 学んだぶんだけ、世界が近くなる」というスローガンを掲げる立命館宇治中学校を受験することにしました。
--立命館宇治高校には、1年間の海外留学が組み込まれ、英語“で”学ぶイマージョン教育を通じて実践的な語学力と問題解決能力を養うIM(Immersion Course)コースのほか、日本の高校卒業資格と国際バカロレア(IBDP)の両方の取得を目指す IB(International Baccalaureate Course)コース、文系理系の枠にとらわれず興味やキャリアに合わせて柔軟な科目選択が可能なIG(Integrated Global Course)コースがあります。廣江さんはなぜIMコースを選んだのですか。

中学3年間でさらに英語力が伸びている手応えはあったので、せっかくならもっと伸ばしたいと思い、IBコースかIMコースかで悩みました。ただ、IBコースは国際バカロレア機構が定めたカリキュラムの下で、英語で探究的な学びを深めながらディプロマ(修了証明書)の取得を目指すもので、中学卒業時の私にはそれに見合う英語力にはまだ到達していないと感じていました。その点でIMコースは、まずはアカデミックな学びの基盤となる確かな英語力を高めることを目指しており、1年間の海外留学が必修である点も魅力でした。特に留学には幼いころから憧れがあり、中学3年生で行けるはずだった1週間のオーストラリア研修がコロナ禍で中止になった悔しさもあって、ぜひIMコースで挑戦したいと思いました。
--1年間の留学が必修とは貴重な機会ですね。IMコースについて詳しく教えてください。
立命館宇治中学校は、高校に上がるタイミングで3つのコースに分かれますが、私が選んだIMコースには2つの大きな特徴があります。
1つ目は、1年間の留学が必修であることです。当時は、1人でホームステイをしながら、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアのいずれかの現地の高校に通います。カナダは高1の夏から、ニュージーランドとオーストラリアは高1の冬からの留学です。同学年から1つの高校に1人だけという頼れる仲間のいない環境なので、英語力はもちろん、自分から飛び込んでいく主体性やコミュニケーション力、自立心が鍛えられます。留学中の単位は包括認定されるので、3年間で高校を卒業することができます。
2つ目は、英語“で”教科を学ぶ少人数制の英語イマージョン授業です。イマージョンとは「浸る」という意味で、まさに授業は英語漬けです。留学から帰国後も現地とほとんど変わらない学習環境がキープできるので、習得した英語力を維持し、さらに伸ばしていくことが可能です。

立命館宇治高校には、世界各国から集まった英語を母国語とする国際教員が数多く在籍し、留学生も年間200人近くやってきます。在校生の約2割は帰国生で、校内では日常的に英語が飛び交い、学校全体が英語に没入できるまさにイマージョンの環境です。日本の高校に通いながら、このような「英語は使えて当たり前」という世界に身を置けたことはかけがえのない経験でした。国籍もバックグラウンドも異なる人たちに囲まれ、多角的な視点が自然と養われていきましたし、自分の考えをいかに掘り下げ、それを英語でどう伝えるかという高い壁に日々向きあえたことは、自分の成長に大きくつながったと思います。
--印象に残っている先生との関わりや、授業があれば教えてください。
特に印象に残っているのは、高3のイマージョンクラスで受けた歴史の授業です。紀元前から第二次世界大戦まで、自分が歴史上の人物になりきって議論を戦わせるというユニークな内容でした。たとえば「女性の社会進出」というトピックであれば、権利拡大を訴える運動家と反対派の人物とに分かれ、自分が担当する人物の立場や思想を正しく理解したうえで意見を述べなければいけません。相手が答えに窮する質問をあらかじめ用意したり、想定される反論への切り返しを準備したりする中で、プレゼンテーションスキルや論理的思考力、相手の意見を受け止めたうえで自分の主張を展開するコミュニケーション力がかなり鍛えられたと思います。
IMコースは少人数制ということもあって、先生方との距離がとても近かったです。教員室もオープンで気軽に交流できる雰囲気があり、どんなに小さな質問や困りごとも決して蔑ろにせず、私が納得できるまで寄り添ってサポートしてくださる温かい方ばかりでした。今、あらためて振り返ると、立命館宇治の生徒は多彩な個性をもっていますが、先生方も負けないくらい個性豊かでしたね。だからこそ、自分にフィットする先生を見つけられるというのも、心強い環境だったと思います。
留学と異文化体験が広げた、海外トップ大への視野
--海外の大学を目指したきっかけを教えてください。
海外進学を目指した理由は3つあります。
1つ目は、高校で高めた英語力を維持するため、英語を使い続ける環境に身を置きたかったからです。日本の一般的な大学では完全に英語だけの環境に浸るのは難しいと考えました。
2つ目は、自分の将来の選択肢を広げたかったからです。日本の多くの大学生は、早ければ大学2年生からインターンの準備が始まり、3年生から就活をしていると思いますが、私は海外に挑戦したい気持ちがありました。だからこそ、海外で働くことも視野に入れ、もっと広い世界を見てみたい。海外の大学ならその可能性が高まるのではないかと思いました。
3つ目は、立命館宇治中高で異文化に触れる面白さを知ったからです。1年間の留学はもちろん、校内外のさまざまな活動に参加し、日本以外にルーツをもつ人々の暮らしや価値観、文化的・歴史的背景などに触れる中で、自分の固定観念が取り払われていく経験が幾度となくありました。大学でも世界中から集まる仲間と出会いながら、このような経験を通じて常に自分を新しくアップデートしていきたいと思ったのです。
--志望大学はどうやって決めたのですか。
カナダに留学中、偶然ミネルバ大学に関する記事を読んで興味が湧いたので、オンライン説明会に参加しました。ミネルバ大学は2014年9月にできた新しい大学ですが、学生は4年間かけて世界7か国の主要都市を移り住み、現地の企業や行政などと協働したプロジェクト学習やインターンにも携わります。こうした他の大学にはない独自のカリキュラムに魅力を感じて、本格的に目指すようになりました。
--一般的な日本の高校生の進路とは異なる選択ですが、ご家族の反対はありませんでしたか。
両親は大賛成で応援してくれましたが、祖父母は日本の大学へ進むのが当然だと思っていたようで、最初に伝えたときはとても驚いていました。でも最終的には私の熱意を認めてくれました。
エッセイ添削から課外活動まで…学校の手厚い支援で海外トップ大に合格
--出願準備は、どのように進めましたか。

国にもよりますが、アメリカの大学の場合は、英語力以外にも広範囲な準備が求められます。ミネルバ大学では、一般的にアメリカの大学で要求されるSAT(アメリカ版大学入学共通テスト)のスコアやエッセイの提出は不要でしたが、学生生活で成し遂げた最大6つの活動実績と、数学、論理力、創造性、即興スピーチなど、人物像・思考力・表現力の3要素を測る独自のオンラインテスト「ミネルバ・チャレンジ」が課されました。
このため、活動実績に書けるような課外活動に取り組む必要があると思い、留学から帰国後は、興味のある活動に積極的にチャレンジしました。学校内では生徒会活動や、小学校のころに通っていた「Rits Kids」でティーチングアシスタントを担っていたほか、学校主催の「Global Challenge Program」で1週間ドバイへ赴き、現地の大学のサマーキャンプで法律やサスティナビリティ、ファッションなどを学びました。
さらに学校外の活動では、高3の9月に「Green Blue Education Forum」というコンクールに参加しました。これは、持続可能な社会づくりに必要な視点、アイデアを発表するプレゼンテーションの大会で、私は滋賀県在住者の立場から琵琶湖の保全をテーマにした環境活動について発表し、賞をいただくことができました。この実績が評価され、後に「宇治市ジュニア文化賞」を受賞することもできました。
--留学からの帰国は高2の2学期。学校内にもさまざまな機会があり、精力的に取り組まれたのですね。大学受験があると高3で課外活動に没頭するのは難しいと思いますが、大学附属校であることの恩恵はありましたか。
はい。立命館宇治には、一定の条件を満たせば立命館大学への進学資格を有しながら海外大学に挑戦できる制度があります。私は国際関係学部への進学資格をいただけたので、安心して海外大学にチャレンジすることができました。
--海外大学への出願対策として、学校からはどのようなサポートを受けましたか。
海外大学進学を支援してもらえる奨学金にいくつか応募していたのですが、それにはTOEFLまたはIELTSで規定のスコアを取得することが必須要件に含まれていました。私の場合はライティングスコアが伸び悩んでいたので、学校のネイティブの先生方に添削をお願いしました。大学への出願時に必要な長文エッセイの対策も並行してチェックしていただきました。私が興味のある学部について、その分野に強い大学を教えていただくこともできました。
また、課外活動についても、先生方が一緒に調べてくださり、関係機関に声をかけてくださったこともありました。生徒がやりたいことを否定せず、「それ、すごいやん!」と応援する雰囲気が学校全体にあり、私が不安で自信をなくしているときも背中を押してもらえたことで何度も救われました。
このような出願指導は専門塾に頼る受験生が多い中、私は学校の先生方に支えてもらうことができたのでとても幸運だったと思います。
--塾に通わずに学校からのサポートのみで合格されたのですね。出願対策以外で、授業や学校生活の中で海外大学の選考準備に直結したと感じるものはありますか。
留学から帰国した後もイマージョン授業で英語に浸り続けたことです。この環境がなければ私の英語力は今のように上がらなかったと思います。TOEFL(ITP)のスコアは、留学の前後だけでは13点の伸びだったのですが、帰国後のイマージョン授業で60点以上も上がりました。留学中は感覚的に現地の英語に慣れ、帰国後は先生方から正しい英語に矯正してもらいながらアカデミックなレベルまで英語の精度を高めていけたことが、海外大学の合格に直結する大きな力になったと実感しています。
「自分の軸」が見つかる…世界に通じる力が身に付く立命館宇治の環境
--立命館宇治での6年間を振り返って、成長できたと感じる部分を教えてください。
((廣江さんの高校時代のお写真をいただけますと幸いです))
英語力の成長はもちろんですが、いちばんの成長だと感じているのは、自分なりの「軸」を確立できたことです。留学生や帰国生など国籍もバックグラウンドも多様な友人たちと過ごす中で、最初は考え方の違いに驚くこともありましたが、次第にそれが当たり前の日常になっていきました。皆が同じでなければいけないという同調圧力がまったくなく、お互いを尊重しあう雰囲気だったからこそ、「自分とは何者か」を考えるきっかけになりました。
ミネルバ大学は学生の8割以上を世界約100か国からの留学生が占める国際色豊かな環境で、それぞれがやりたいことに熱中しているところが立命館宇治の雰囲気とすごく似ていると感じます。私はつくづくこういう自由で多様性を受け入れあうコミュニティが好きなんだなと思います。もし私が立命館宇治以外の学校に行っていたら今の自分はなかったですし、今のように自分らしくいられる進路には出会えなかったはずです。
--ミネルバのような最先端の大学と、立命館宇治の環境が似ているというのは興味深いですね。最近は幼稚園からインターナショナルスクールを検討するなど「世界で通用する力を身に付けさせたい」と願う保護者が増えています。学校選びに迷うご家庭に向けて、最後にメッセージをお願いします。
私は、世界で通用する力とは「積極的に活動する行動力」と「多様性と共生できる人間性」、そして国際社会に飛び込むための「アカデミックな英語力」の3つだと考えています。これらの力を伸ばすためには、中高時代にどれだけ自由にチャレンジできるかが勝負だと思うのです。
立命館宇治高校には、この3つの力を育んでくれる環境が揃っています。スポーツで日本一になる人もいれば、芸術や音楽で才能を発揮する人、探究などの課外活動で活躍する人、自分の趣味に没頭する人など、多才な仲間が肩を並べ、一緒に学んでいます。生徒の自由度が大きい環境は生徒任せになりやすいですが、立命館宇治高校は生徒ひとりひとりのやりたいこと、好きなことを認め、それが最大限実現できるように先生方が全方位から応援してくれます。
私自身の経験も踏まえて学校選びのポイントをお伝えするとしたら、このように学校が生徒の自由なチャレンジを認めてくれるかどうかをよく見極めてほしいです。自由な校風を掲げていても、実際は不必要なルールで縛られている学校も少なくありません。それを見極めるには、やはり実際に現地に足を運び、生徒たちの過ごし方を肌で感じるのがいちばんだと思います。ぜひ、偏差値だけに惑わされず、親子で「ここで自分も挑戦してみたい」と思える場所を見つけてください。
--ありがとうございました。
「こんにちは!」立命館宇治高校の校舎に足を踏み入れると、すれ違う複数の生徒さんたちから爽やかな挨拶を受けた。このオープンで温かな雰囲気が、生徒ひとりひとりの個性を受け入れ、尊重する。その安心感がやがて自分だけの「軸」を育み、世界へ挑戦するたくましい自立心へとつながるのだと感じた。わが子が自分らしさを発揮し、充実した中高生活を送ってほしいと望むなら、この環境を体感してみてほしい。
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