【中学受験2013】入試に勝つ夏休み自由研究<社会篇>

 中学受験専門の個別指導教室 SS-1で、社会を担当する馬屋原吉博氏に、中学受験生向けの<社会>の自由研究について話を聞いた。馬屋原氏は社会のほか、国語や英語も担当している。

教育・受験 受験
馬屋原吉博氏(社会、国語、英語担当)
  • 馬屋原吉博氏(社会、国語、英語担当)
  • 受験参考書から旅行先を選んだり、白地図持参で地理を把握
 中学受験を控える小学校高学年の児童にとって、夏休みの自由研究は負担に感じるかもしれない。特に6年生では受験の天王山ともいわれる夏休みは、自由研究の課題に時間をかけたくない本音も耳にする。

 そこで、中学受験専門の個別指導教室 SS-1で、社会を担当する馬屋原吉博氏に、中学受験生向けの<社会>の自由研究について話を聞いた(<理科篇>ブラックボックスや水溶液の実験を紹介)。馬屋原氏は社会のほか、国語や英語も担当している。

◆時事問題を予想して調査レポート

 馬屋原氏は、「社会の自由研究はフィールドワークが基本となるだろう」とし、「多くの塾では、4年生から5年生の前半で日本の地理をカバーします。5年生後半で日本史をやり、6年生になると政治経済・公民が入ってきます。学年ごとにその学習範囲に応じた自由研究を考えるといいでしょう。」と言う。

 まず、4年生までなら比較的時間もとれるはずとのことで、社会の教科書や受験テキストを参考にした国内旅行を利用する方法を提案してくれた。入試に出やすい地域や都道府県の産業や気候を写真とともにレポートするわけだが、沖縄(1年中温暖な地域)、十勝平野(雪の多い地域)、高知平野(雨の多い地域)、濃尾平野(雨の少ない地域)などは、入試に出やすい地域なのだそうだ。

 瀬戸内海であればコンビナートや工業地帯の見学、レポートもいいだろう。新幹線などで帰省するなら、地図帳などを見ながら、海、山、川、街などの名称および位置関係を把握させるといった学習方法もある。それをまとめて自由研究としてもよいだろう。

 5年生では、東北地方、関東地方といった地方別の学習になるため、旅行と自由研究を関連付ける場合は、その地方のどんな内容が試験に出ているかを参考にする。日本史の学習も始まるが、京都はその対象が集中しているのでお勧めだそうだ。鎌倉は世界遺産登録に向けて活動中であり、入試に出る可能性があるとのことで、夏休みの自由研究で予習しておくのもよいだろう。

 6年生となると、さすがに旅行というわけにはいかなくなる。そこで、馬屋原氏が首都圏在住の児童に勧めるのは東京の地理だそうだ。公民の学習に合わせるなら霞が関の各省庁の建物や役割を調べるのもよい。鉄道会社のスタンプラリーを利用して、沿線の産業や史跡などをまとめるパターンもある。関連して、新幹線や高速道路での移動に、白地図などを持参して都道府県、山地、河川の位置関係を把握しながら、沿線をレポートするというアイデアも披露してくれた。

 また、受験対策を兼ねての自由研究の対象として、来年度の入試問題の予想からスカイツリー、東京駅(復元工事が終わる)などは狙い目だとする。時事問題系では、(実施されれば)解散総選挙、オリンピックの自由研究もやっておいて損はないだろうと言う。こちらは、フィールドワークというより文献調査がメインになるだろう。

 なお、その年の10大ニュースなどが試験問題に採用される傾向は、関東など首都圏の学校に多く、関西の学校はその傾向は弱いそうだ。

◆自由研究で記述式問題対策

 自由研究で社会のテーマを取り上げることは、理科と同様に受験でのメリットがある。これについて、馬屋原氏は次のように語る。

 「麻布中学、海城中学などでは、社会は記述式の試験問題が多く出題されます。暗記による知識より文章を読んで考察するような問題です。特に海城中学では、ひとつの県や都市に関する長文と資料から、記述式の問題が展開されていきます。こういった問題を知識だけで対応することは困難ですが、自由研究で資料を読んだり考察する練習を積むことは効果があると思います。」

 工夫しだいで、夏休みの自由研究は効果的な受験対策にもなりうるということだろう。今年の夏は、ぜひお子さんと一緒に自由研究にも取り組んでみてはいかがだろうか。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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