九州経産局、産学官連携の2011年度実績調査結果を公表

 九州経済産業局は12月10日、大学等における産学官連携の実施状況調査結果を公表した。これにより、過去5年間の九州管内の大学における共同研究、受託研究とも件数は増加傾向にあるが、金額ベースでは共同研究、受託研究ともに減少傾向にあることが明らかになった。

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九州管内産学官連携の実施状況調査2011「九州地域の大学」
  • 九州管内産学官連携の実施状況調査2011「九州地域の大学」
  • 九州管内産学官連携の実施状況調査2011「九州地域における産学連携の現状」
  • 九州管内産学官連携の実施状況調査2011「国立大学等と民間企業の共同研究の動向」
  • 九州管内産学官連携の実施状況調査2011「共同研究と受託研究(件数・金額の推移)」
  • 九州管内産学官連携の実施状況調査2011「全国との比較(共同研究)」
  • 九州管内産学官連携の実施状況調査2011「全国との比較(受託研究)」
 九州経済産業局は12月10日、大学等における産学官連携の実施状況調査結果を公表した。これにより、過去5年間の九州管内の大学における共同研究、受託研究とも件数は増加傾向にあるが、金額ベースでは共同研究、受託研究ともに減少傾向にあることが明らかになった。

 産学官連携とは、大学等の教育機関・研究機関と民間企業、政府・自治体等が連携して研究開発や事業を行うこと。同局産学官連携推進室では、九州管内の大学および工業高等専門学校を対象とし、昨年度の共同研究・受託研究・知的財産の活用状況等の調査を毎年行っている。

 調査は、九州の産学官連携が全国と比してどのような状況であるかを考察することを目的としており、今後の九州管内の産学官連携による新技術・新事業創出の基盤整備の参考にするという。

 同局は、2012年9~10月にかけて、九州管内79大学等(国立大学および高等専門学校、短期大学を除く)に対して、2011年度における共同研究、受託研究、知的財産権の活用等についてのアンケートを実施した。アンケートの回収率は100%。全国ベースの数値は、文部科学省が10月に公表した「2011年度大学等における産学連携等実施状況について」を利用した。

 調査結果によると、九州管内の国立大学等と民間企業との共同研究数は1,384件で、前年度に比べて52件(約3.9%)増加したものの、全国比では昨年と同様の約10.8%にとどまった。ここ6年間はなだらかな増加傾向が見られるものの、全国比からみると伸び悩んでいる。

 共同研究と受託研究の件数の推移をみると、共同研究の件数は前年と比較すると全国で約3.8%の増加。九州でも、1,856件で、約3.9%増加した。受託研究の全国件数は約6.1%増加し、九州では2,045件で、約1.5%増加した。

 一方で、費用面の推移では、共同研究費は全国で約0.5%の増加であったが、九州は前年度に比べて約3.9%(約1億4千万円)の減少。受託研究費は、全国で約2.7%減少し、九州では約13.5%(約16億円)の減少となった。共同研究、受託研究とも件数は増加傾向にあるが、金額ベースでは、共同研究、受託研究ともに減少傾向にある。

 研究分野別の傾向としては、共同研究、受託研究ともにライフサイエンスの割合が高かった。とくに受託研究では約41%がライフサイエンスとなっている。また、ここ5年間の推移では、エネルギーに若干の増加傾向が見られるものの大きな変化は見られなかった。

 研究の相手先別の割合でみると、共同研究では、大企業の件数が約53%、金額が約56%で、ともに半数以上を占めた。中小企業は件数が約26%を占めているが、金額の割合が約17%と少なかった。受託研究では、国および独立行政法人の割合が大きく、件数で約40%、金額で約70%を占める。また、相手先別(大企業・中小企業、九州管内・管外)の推移をみると、共同研究では全体件数が微増、全体に占める中小企業の割合が近年増加。受託研究では、増加傾向にあった全体件数は今年度減少。全体に占める中小企業の割合が大きく増加した。

 知的財産に関する活用状況については、実施許諾等権利数においてライフサイエンスが約43%、収入額全体においても約68%を占めるなど大きい割合を占めている。実施許諾等収入全体に占める権利の割合は、特許が約63%を占めるほか、マテリアルが16%程度を占める。発明届出件数は、全国で約4.8%減、九州では約3.4%減。特許出願件数は、全国で約5.2%増。九州では約7.5%増。九州の発明届出、特許出願件数の全国比は、2011年度で発明届出が約10%、受入額で約10.6%となった。
《楠原 恵子》

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