子ども時代の読書が意欲や能力に関係…国立青少年教育振興機構

 子どものころに読書活動が多い大人ほど、未来志向や社会性などの意識や能力が高いことが、国立青少年教育振興機構が実施した調査結果から明らかになった。中高生にも同様の傾向が見られ、子ども時代の読書が豊かな人生と密接に関係していることがわかった。

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子ども時代の読書活動と「未来志向」「社会性」の関係(成人調査)
  • 子ども時代の読書活動と「未来志向」「社会性」の関係(成人調査)
  • 子ども時代の読書活動と「自己肯定」「意欲・関心」の関係(成人調査)
  • 子ども時代の読書活動と「文化的作法・教養」「市民性」の関係(成人調査)
  • 現在の意欲・能力の質問項目(成人調査)
  • 就学前から小学校低学年までの読書活動と「未来志向」の関係(青少年調査)
  • 現在の意欲・能力の質問項目(青少年調査)
 子どものころに読書活動が多い大人ほど、未来志向や社会性などの意識や能力が高いことが、国立青少年教育振興機構が実施した調査結果から明らかになった。中高生にも同様の傾向が見られ、子ども時代の読書が豊かな人生と密接に関係していることがわかった。

 20~60代の5,258人を対象にした成人調査と、中学2年生10,227人と高校2年生10,941人を対象にした青少年調査があり、成人調査は2012年2月にインターネットで実施。青少年調査は2012年3月、学校を通した郵送で行った。

 成人調査では、子どものころに読書活動が多い大人ほど、「未来志向」「社会性」「意欲・関心」「文化的作法・教養」「市民性」のすべてにおいて、現在の意欲や能力が高いという結果が出た。特に就学前から小学校低学年の「家族から昔話を聞いた」「本や絵本の読み聞かせをしてもらった」「絵本を読んだ」といった読書活動と、成人の「文化的作法・教養」との関係が強い傾向にあった。

 また、子どものころの読書活動と体験活動の両方が多い成人は、他に比べて、現在の意識・能力が高かった。子ども時代に読書活動が多い大人は、ボランティア活動に参加したことがある人の割合が高く、読み聞かせなど読書を通した子どもとの関わりも多かった。子どものころの読書量や現在の読書量、読書が好きかどうかと、学歴・年収との間に強い関係は見られなかった。

 これらの傾向は青少年調査でも見られ、就学前から中学時代までに読書活動が多い中学生・高校生ほど、「未来志向」「社会性」「自己肯定」「意欲・関心」「文化的作法・教養」「市民性」「論理的思考」のすべてにおいて、現在の意識・能力が高かった。特に、就学前から小学校低学年までの読書活動は、現在の「社会性」や「文化的作法・教養」との関係が強かった。

 就学前から中学時代に読書活動が多い中高生は、同時期の体験活動も多い傾向にあり、この時期の読書活動と体験活動の両方が多い中高生は、ほかに比べて現在の意欲や能力が高かった。

 一方、「読書が好きですか」という問いに「とても好き」「わりと好き」と答えた中学生は67.0%、高校生59.7%と半数以上を占めたが、「この1か月で本を読みましたか」という問いに「読んだ」と答えたのは、中学生82.0%、高校生56.2%。高校生は中学生に比べて、本を読む割合が少なかった。また、学校図書館や地域図書館で「1か月あたり何冊くらい借りますか」という問いに対しては、「0冊」という回答が大半を占め、学校図書館が中学生72.4%、高校生82.0%、地域図書館が中学生78.3%、高校生85.2%という結果だった。
《奥山直美》

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