「インターン」と「コーオプ」の違いとは…東京工科大学が今夏より本格実施

 東京工科大学は6月4日、首都圏の理工系大学として初めて産学連携による「コーオプ教育(Cooperative Education)」を本格的に実施すると発表。キャリア教育の一貫としてすでに行われているインターンシップとコーオプは何が異なるのだろうか。

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 東京工科大学は6月4日、首都圏の理工系大学として初めて産学連携による「コーオプ教育(Cooperative Education)」を本格的に実施すると発表。キャリア教育の一貫としてすでに行われているインターンシップとコーオプは何が異なるのだろうか。

 大学生の実践型人材育成プログラムとして広く認識されている「インターン」とキャリア教育の新形態とされる「コーオプ教育」が大きく異なる点は2つ。1つ目は、大学主導であるということで、勤務内容の調整や事前教育を大学側が担うことだ。2つ目は、学生が賃金対価を前提として勤務することだろう。

 東京工科大学がこれまで行ってきたコーオプ教育の試験実施では、八王子市を中心とした5企業・1法人において、コンピュータサイエンス学部およびメディア学部の学生のべ15名が1週間から1か月程度勤務。時給850円~1050円程度の賃金を得た上で、学生はものづくり加工、製品出荷検査、Androidアプリ開発、クラウド環境構築などの業務を行ったという。

 企業側は参加者に賃金を支払うことが前提であるため、参加者を学生扱いすることなく実践的な作業を与える傾向があり、参加者にとってより効果的なプログラムとなるのがコーオプの特徴だ。企業側にとっても、新産業の分野などにおいて企業内で人材育成が難しい領域の人材を比較的低コストで補うことが可能になる。

 アルバイトに励む大学生が多い中、コーオプ教育を通じて賃金を得ながら実践的な職場体験ができるのは学生にとって一石二鳥だ。コーオプ教育を通じた企業への紹介や橋渡しを大学側が担ってくれるのであればなおさらだろう。

 コーオプ教育は、北米の大学で広く実施されているプログラムであり、米国やカナダでは大学側がコーオプの提携先としてリストアップする企業が高校生の志望大学を左右することも少なくない。北米でコーオプに参加するのは大学3年生が主流であり、大学側は企業を紹介する一方で、コーオプを通じて得た知見や経験が与える卒業論文の質に期待する。

 学生は、就職活動時に影響する職業経験を得るだけでなく、コーオプ時に築いた業界ネットワークを通じて就職活動の輪を広げることも可能だ。卒業後にコーオプ時に働いた企業に就職する学生も少なくないという。

 東京工科大学は、学内に支援センターを立ち上げ、本格的にコーオプ教育支援を行うという。今後の産学連携の広がりや、コーオプ参加者数、参加者の声などに注目していきたい。
《湯浅大資》

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