【中学受験に勝つ】夏休み自由研究…理科(4)朝顔の観察

 中学受験専門の個別指導教室 SS-1 副代表で、理科指導の経験が豊富な辻義夫先生が勧める、過去の入試問題と関連した自由研究のテーマのひとつとして、「朝顔の観察」を紹介する。

教育・受験 小学生
朝顔の観察は受験にも役立つ
  • 朝顔の観察は受験にも役立つ
  • 花びらのようす
  • つぼみになる前段階
  • 朝顔のつぼみは右巻き
  • 開花直前のつぼみの状態。開花がおわってしぼんだものとの区別は、先端の形状と花びらの巻き具合でわかる
  • 開花が終わってしぼんだ花
  • 開花が終わり種ができ始めたところ
  • つるの巻き方を観察
 中学受験専門の個別指導教室 SS-1 副代表で、理科指導の経験が豊富な辻義夫先生に、過去の入試問題を自由研究のテーマに選び、実験とレポート作成を通じて受験対策とする方法を聞いた。辻先生が用意してくれた4つのテーマより、ここでは「朝顔の観察」を紹介する。

◆SS-1辻先生による中学受験対策&夏休みの自由研究シリーズ一覧
・夏休み自由研究…理科(1)缶とペットボトルで「飲み物容器の科学」
・夏休み自由研究…理科(2)光の進み方:反射と屈折
・夏休み自由研究…理科(3)使い捨てカイロを調べる
・夏休み自由研究…理科(4)朝顔の観察
・夏休み自由研究…(5)ペルセウス座流星群で天体と「放射状」をマスター


◆開成や慶應で出題された朝顔の観察

 朝顔の観察は小学1年生の理科で習う単元だが、以下に示すように多くの中学校の入試で出題されている。

・慶應義塾普通部2012年(葉・実・種子の形)
・慶應義塾湘南藤沢中等部2012年(緑のカーテン)
・開成中学校2012年・2008年(葉・種子の形)
・開成中学校2012年・逗子開成2010年(短日植物)

 受験対策という意味では、自由研究の題材としてうってつけなのだが、種まきから開花までの観察は日数がかかるため、受験を控えた高学年の自由研究としては扱いにくい。しかし、辻先生は、朝顔の葉、花、種、つるの巻き方などを観察し、それぞれの特徴やなぜそうなっているのか、などをレポートするなら、園芸センターなどで育った朝顔の鉢植えでもよいと、受験対策のための朝顔の観察を勧める。

◆主な観察ポイント

 観察ポイントとしては、まず、朝顔の双葉の形は定番問題だそうだ。また成長した葉の白い部分は葉緑素がない部分であり、この部分では光合成が行われていない。そのため、でんぷんが作られていない部分でもある。こういった知識を問う問題も出されるため、これも調べるポイントになる。

 花の形では、つぼみか、開花後にしぼんだ状態のものかの違いを区別するという問題もあるそうだ。これらも観察によってレポートする。開花のあとには種ができるが、その部分の形や、種がいくつ入っているか。種の形状、特徴、それらの理由なども調査対象となるだろう。

 つるの巻き方は(上から見て)左巻きだが、これも実際の朝顔をよく観察することで、視覚的にも左巻きの状態を頭にインプットできる。なお、一般的には朝顔のつるは左巻きといわれているが、植物学では植物の視点でどっち方向に巻いていくかで表現するため、右巻きになるそうだ。つるについては、つるそのものが巻き付く朝顔と、巻きひげをからませるへちまとの違いを比較してもよい。

◆その他の実験方法

 開成中学校の2012年度入試に出た「短日植物」だが、朝顔はその一例である。短日植物は、日照時間が短くなるとつぼみをつけはじめ、開花が進む。つまり、おおいなどで、朝顔の鉢植えに日が当たる時間を短くしてやると開花が早まるわけだ。時短実験というわけにはいかなくなるが、可能であれば日照時間を短くした鉢植えと、そうでない鉢植えの比較実験をしてみるのも面白い。

 また、経過観察は必要だが、朝顔は巻き付くものがないとどうなるかを検証する方法もあると辻先生は言う。朝顔は巻き付くものがないと枯れてしまうそうだが、それを実験してみるわけだ。

◆最後に

 最後に辻先生は、「高学年になると手間のかかる理科の自由研究は、低学年に比べて減る傾向があります。しかし、実験は理解を助けることになり、仮説を検証するための正しい実験方法を考えたり、調べものや考察をすることは応用力をつける意味もあります。」と言う。

 文献を調べる力、観察力、推理力、洞察力は、実験による試行錯誤によって養われていくものである。子どもが実験や観察に少しでも興味をもっているなら、自由研究は受験に関係ないとマイナスに捉えるのではなく、実力を伸ばすためと積極的に考え、簡単なものでもレポートをまとめさせてはどうだろうか。そのとき、辻先生が言うように、過去問題と照らしてテーマを決めれば、受験対策にもなるのではないだろうか。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

+ 続きを読む

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top