文部科学省は11月14日、平成23年度の大学における教育内容等の改革状況について調査結果を公表した。これによると、2年間で大学教育の改革や国際化は着実に進展していることがわかった。 本調査は、各大学のより積極的な教育内容等の改善に関する取組みを促すとともに、国民への情報提供を行う目的で実施されるもの。調査対象は、国公私立759大学(通信制大学・短期大学・平成23年度に学生の募集を停止した大学を除く、放送大学を含む)。実施期間は、平成24年11月から平成25年1月。 前回調査を行った平成21年度と比較すると、教育改革は着実に進展しており、初年次教育(主に大学新入生を対象に作られた総合的教育プログラム)を実施する大学数は651大学(34増)となった。また、学部段階でGPA制度(授業科目ごとの成績をたとえば5段階で評価したとき、それぞれの段階に数値を付与しこの数値の平均を算出してその一定水準を卒業等の要件とする制度)を導入する大学数は453大学(93増)となった。さらに、学部段階でGPA制度を学生への個別の学修指導に活用する大学数は356大学(87増)となった。 国際化についてみてみると、学部段階で英語による授業(日本語併用の授業、英語教育を目的とする授業は含まない)を実施する大学数は222大学(28増)となった。また、国外大学等との交流協定に基づく単位互換を行う大学数は336大学(80増)となった。さらに、国外大学等との交流協定に基づくダブル・ディグリー(複数の学位を取得する際に留学を活用するなどしてこれらの学位を取得する履修形態)を行う大学数は143大学(50増)となった。 一方で、4月以外の入学者数における社会人数や履修証明プログラムを実施する大学数は平成21年度より3大学減少しており、教育研究の活性化等の観点から、社会人学生の受け入れの拡大に向けた取組みが求められる。また、学部段階で学生の学修時間等の調査は約4割、学修成果の把握は約3割の大学が実施しているにとどまっている。大学教育の質的転換に向けた改革サイクルを確立するためには、学修時間や学修成果を把握し、その分析結果を教育課程の改善に結びつけていくことが重要だという。