こんにちは、SS-1の小川です。前回は「本好きな子が育つ本棚作りの工夫」をお話ししました。「出会い」がポイントでしたね。お子さん自身のタイミングに合わせて、少し先回りしつつ、自ら本を手に取ることができる環境づくりをしていきましょうというお話しでした。 その続きとして今回は、手に取った本をお子さんが自分で読むようになる導き方をお話ししたいと思います。◆読み聞かせだけでは、「本は自分で読むもの」という意識は育たない どの子も、最初は本を読んでもらうことから始まりますね。そして読み聞かせしてもらっているときのお子さんの目線を見てみると、本を見ているのではなくて、読んでくれているお母さんやお父さんの顔を見ているのが普通です。 「お話ししてくれている」と思っているのですね。この時点では子どもは、「本を開くとお母さん、お父さんがお話ししてくれる」と思っています。 本はお母さん、お父さんが読むもので、自分が読むものだとは思っていないのですね。面談で国語のご相談を受けているときなど、「自分からは本を読もうとしないんです。小さいときから一生懸命に読み聞かせをしてきて、今でも読んであげると喜ぶので、本が嫌いというわけでもなさそうなんですが…」と相談されることがときどきあります。 こういうお子さんは、読み聞かせをしてもらってきたので、本との距離は縮まっています。でも、「本は自分で読むものだ」という意識は育っていなかったのですね。 もちろん、お子さんに本を読んで聞かせてあげることの一番の目的は、親子のコミュニケーションを温もりあるものにしていくことです。1冊の本を親子で一緒に見ながら、お母さん、お父さんの声を聞く。何度も目が合うでしょう。ページをめくったときのお子さんの驚く表情や、「?」と首をかしげるようすを可愛いと思うでしょう。 「どうして泣いているの?」と素朴な質問がやってきて、大人の当たり前が子どもにとっては未知であることに気づかされるでしょう。その時間はぜひ大切にしてください。 本を通じて子どもと時間を共有しているということ、体験を分かち合っているということ、これが読み聞かせの土台です。その土台をちゃんともったうえで、お子さんが自分から本を読み出せるように、導き方の工夫も入れておくことにしましょう。