教育機関向けOffice 365、大学生の3人に1人が利用

 日本マイクロソフトは5月22日、教育機関向けのクラウドサービス「Office 365 Education」の普及状況についての記者説明会を本社(東京・品川)で開催した。

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日本マイクロソフト 業務執行役員 Office ビジネス本部長 キャロライン・ゴールズ氏
  • 日本マイクロソフト 業務執行役員 Office ビジネス本部長 キャロライン・ゴールズ氏
  • 企業におけるOffice 365の導入
  • Office 365 Educationのプラン内容
  • 日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長 中川哲氏
  • Office 365 Educationを導入している教育機関(一部抜粋)
  • マイクロソフトのテレビ会議「Lync Online」を使って登場した東京理科大学 工学博士 半谷誠一郎理事
  • 大阪大学 サイバーメディアセンター 情報メディア教育研究部門 博士(工学) 清川清准教授
  • 中等教育の事例「OECD東北スクール」
 日本マイクロソフトは5月22日、教育機関向けのクラウドサービス「Office 365 Education」の普及状況についての記者説明会を本社(東京・品川)で開催した。「Office 365 Education」の国内利用者数が170万人を突破し、特に高等教育機関では3人に1人が利用。同社調べでシェアNo.1となった。

 記者説明会の冒頭では、日本マイクロソフトのキャロライン・ゴールズ氏(業務執行役員 Officeビジネス本部長)より、「Office 365」および「Office 365 Education」の事業概要の説明があった。

 「Office 365」は、米国で発表した第3四半期決算において、売上高が四半期で100%増になるなど急成長。国内においては、日経225銘柄企業の6割に導入されていると同時に、全導入企業の9割が中小企業で占められていると言い。これについてゴールズ氏は、企業の大小や業界にかかわらず、同社が様々なニーズに対応してきたことを理由として挙げている。

 その中で教育機関向けは、2012年6月より、基本的な機能やサービスは大企業と同じ「Office 365 Education」を提供。利用プランとしては、教職員・学生に無償提供するプラン「A2」に加え、1人5台のデバイスでクラウド版Officeスイートが使える「Office 365 ProPlus」や、文書やメールの保護機能を備える「A3」「A4」を用意。教職員が仕事を自宅に持ち帰ることが多い中、学生の個人情報や学内情報をUSBで持ち歩かなくてよくなるというメリットがある。

 このほか、昨年12月には、教職員全員がボリュームライセンスを利用している場合、学生の「Office 365 ProPlus」を無償提供する「Student Advantage」も開始。こうした無償提供に加え、同社では、教員向けの「21 世紀の教室」(Windows in the Classroom)や、約40社が参加する「Windows クラスルーム協議会」を通じて、学校教育でのICT利活用の加速と定着を図っている。

 次に、日本マイクロソフトの中川哲氏(業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長)から、「Office 365 Education」の国内利用者数が170万人を突破し、特に高等教育機関では3人に1人の大学生が利用していることが発表された。同社調べでは、国内の教育機関におけるクラウドおよびeメールではシェアNo.1という。同氏によると、ここ1~2年の急速な成長の背景には、教育機関が個人情報に関するガイドラインを整備してきたこともあるという。

 「Office 365 Education」を導入したユーザーの声として、東京理科大学と大阪大学を紹介。東京理科大学の工学博士 半谷誠一郎理事は、テレビ会議システム「Lync Online」を使ってスクリーンに登場した。同学では現在、卒業生18万人、在校生2万5千人、教職員2千人の、全20万人のネットワークを構築中で、少人数の学生で行う実験の予習や、教職員間の打合せなどに「Lync Online」を活用している。また、海外で活躍する卒業生を「Exchange Online」で結ぶことにより、大学の教育・研究のグローバル展開に一層取り組みたい意向を示した。

 次にビデオで登場した大阪大学の博士(工学) 清川清准教授(サイバーメディアセンター 情報メディア教育研究部門)も、大学のブランディングの観点から、卒業生の希望者全員(最大10万人規模)に同学のメールアカウントを配布すると語った。同学がクラウド化に踏み切った理由としては、教育機関向けの無償プランがある点、BCPの観点からサービスの継続性を確保したい点をあげた。またサービスの選定にあたっては、多言語対応している点、国内法が適用される点、および「OneDrive for Business」によって大容量のオンラインストレージが使える点で日本マイクロソフトを評価。セキュリティに関しても、精査して十分なセキュリティがあることを確認済みという。同学は、8月末からはBYOD(私物デバイス)環境に対応した仮想デスクトップ(VDI)を導入し、モバイルを含めどこからでもどのような端末からでも利用できるICT環境へリプレイスしていく予定だ。

 また、中等教育の事例として、東北3県9市町村の中高生100人の人材育成教育「OECD東北スクール」が、中川氏から紹介された。生徒は、各地に離れながら、「Office 365」を使って研究や学習を続けており、8月にパリで開催されるイベントで東北の良さを世界にPRすることを最終目標としている。

 「Office 365 Education」で予定されている機能追加としては、SNS「Yammer Enterprise」の教育機関向けにも提供(時期は未定)することや、25GBから1TBへの容量拡張が発表された「OneDrive for Business」が教育機関向けにも適用される(順次展開)ことが発表された。
《柏木由美子》

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