教育業界におけるコンテンツ配信プラットフォーム、eラーニングフォーラム

 11月12~14日の3日間開催された「eラーニングアワード2014フォーラム」の会場内展示コーナーでは、各事業者がブースを設け、企業や学校などにおけるeラーニングの導入事例を紹介した。

教育ICT その他
ワオ・コーポレーションの「入学前e-Learning」
  • ワオ・コーポレーションの「入学前e-Learning」
  • 大学側は生徒の学習履歴を確認することができる
  • インフォテリアの「Handbook」
  • 教員と学生・生徒間の情報共有を可能にする
  • NTTラーニングシステムズのMPS
  • ドリルコンテンツの提供も行っている
◆インフォテリアの「Handbook」

 スマートデバイス向け情報配信アプリ「Handbook」を出展したインフォテリアは、九州大学、東京工業大学など大学での導入事例を紹介。「Handbook」は、教員が教材や小テストなどを学生と共有できる学習支援システムで、スマートフォン、タブレット、PCなどのデバイスを所有する学生が時間や場所を問わず授業に関する情報にアクセスできることが特徴だ。

 教員は、担当する授業別に必要な資料や課題を追加し、受講生にアクセス権を与えることができる。課題の共有はもちろん、次の講義までに目を通すべき資料や授業内で行う小テストの共有も可能。アプリはマルチデバイス対応で、大学側が端末を提供する場合も、生徒が所有するデバイスをBYOD的に活用する場合にも対応する。

 教員がすでに用意している資料をアプリ上で共有することはもちろん、「Handbook」内で教員が新たに資料を作成するためのツールも用意。資料作成や印刷、配布などといった教員側の負担軽減にもつながることから、タブレットやスマホの普及とともに、活用の場は広がっているという。

 教員と学生・生徒間の情報共有を可能にするソリューションは数多いが、「Handbook」の特徴は教員にとっての使いやすさと、マルチデバイス対応が可能な学生の自由度だろう。機能が豊富な反面、操作が複雑なこれまでのソリューションとは異なり、ファイル共有や閲覧者の制限が容易に行える機能性が九州大学などでの導入に結びついたようだ。学生にとっては、移動中などでも必要な情報にアクセスできる自由度が評価されているという。

◆NTTラーニングシステムズの「マナビノプラットフォームサービス」

 NTTラーニングシステムズのブースでは、塾や学校などに提供しているeラーニング向けプラットーフォーム「マナビノプラットフォームサービス(MPS)」の紹介を行っていた。

 MPSの特徴は、授業動画などのコンテンツ提供を行うためのプラットフォームでありながら、大手出版社との提携による学習用ドリルを独自に抱えているところだろう。多くの塾や予備校が授業動画の配信を始めている中、MPSは既存の塾・予備校生などに向けた幅広い配信を可能にするプラットフォームを提供している。

 また、Z会や河合出版、駿台文庫など14社のドリルコンテンツの提供も行っており、タブレットなどを導入している中学・高校が生徒に提供する副教材として利用している。塾や予備校が利用する授業動画の配信プラットフォームだけでなく、ドリルコンテンツ提供社としての評価も高いようだ。

 同社担当者の大槻緑氏は、教育業界では授業動画のニーズが増加していることを強調する。NTTラーニングシステムズでは、関連会社などと連携することで、授業風景を映像化する際に必要なエンコードや編集のサポートも行っていると話す。授業を映像化するノウハウを持たない塾でも、編集とエンコードをNTTラーニングシステムズに任せることで、映像授業に適した状態での配信が担保される。

 フォーラムの展示ブースに出展した企業の多くは、学校や塾・予備校と生徒間の情報共有プラットフォームの提供社だった。サービス間の差別化においては、特に教育業界で重要視されるセキュリティ面、機能面、情報提供側のユーザビリティなどが強調されていたが、プラットフォーム提供だけでないプラスアルファの部分が今回ピックアップした3社にはあったと感じた。

 ワオ・コーポレーションの「入学前e-Learning」は、入学前の生徒の学習習慣がデータ化。インフォテリアの「Handbook」は、教員側に負担をかけないシンプルなユーザビリティ。そしてMPSでは、出版社のドリルコンテンツ提供と映像授業のエンコード・編集サービス。プラットフォームの機能面だけでないプラスアルファの部分が導入側に評価されているようだ。
《椿山和雄》

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