いよいよGWがスタートする。2月から本格的に受験勉強に取り組んできた中で、不安やつまずきが見えてきた5年生も多いのではないだろうか。難関中学受験に定評のある個別指導塾SS-1副代表、前田昌宏先生に、小学5年生がGWにやっておくべきことを聞いた。◆5年生のGWにおさえておきたいのは算数--5年生にとって、GWはどのような時期ですか。前田先生:塾や個人の学習進度によりますが、GW後の受験対策スケジュールを鑑みると、ここでおさえておきたい教科は算数です。特に、単元では「数の性質」をおさえておく必要があるでしょう。どの教科も、GW以降は学習の量と質が上がり、家庭学習の時間も増えるので、後々のスケジュールを考慮すると「数の性質」の対策を講じるならGWが最後のチャンスです。 「数の性質」は、算数の問題、特に上位向けの問題を解くのに必要な知識です。「平面図形」でも単純な求積問題には不要ですが、上級問題では約数と倍数、素因数分解などが必要になる問題もあります。また、GW後に学ぶ「比と割合」では「整数条件」などと密接な関係にあります。◆難関校入試問題の約3割を占める「数」の問題前田先生:また、「数と計算」「数の性質」が実際の入試に出る割合は、難関校の場合は約3割です。今年(2015年)の関東難関男子校約20校について、小問の数で計算すると全問題数293問のうち「数の性質」を扱った問題は68問、計算問題も含めると92問が出題されていました。難関女子校でも、約15校の241問のうち30問、計算問題を含めると55問が「数と計算」「数の性質」から出題されました。 また、最難関校の出題には傾向があり、「数の性質」「速さ」の難問、「立体図形」の難問と、関東の難関校ではこれに加え「条件整理」、関西ですと「場合の数」が出題されます。つまり、新5年生の2月から4月の間に習った「数の性質」をおさえておかないと、難関校以上の入試では約2.5~3割の得点を失う可能性がある、ということです。 前述のとおり、5年生のGW後は苦手分野を克服する時間の余裕はありませんので、もし十分に理解ができていないのならばやはり、この時期に「数の性質」を克服している必要がありますね。◆GWは塾のクラス分けテストを意識した学習も必要--「数の性質」が習得できている場合や、ほかにおさえておきたい分野がありましたら教えてください。前田先生:塾に通われているお子さまなら、SAPIXは「速さ」と「平面図形」ですね。四谷大塚は「数の性質」は4年生で修了済みと見込まれますので、この時期なら「比と割合」「食塩水」「売買損益算(商売の問題)」でしょう。日能研は「比と割合」「多角形」をおさえておきたいですね。いずれも、塾のクラス分けテストに関わってくる問題のため、しっかり習得しておきたい分野です。 日々の学習では、テキストの問題だけを解こうとするのではなく、基礎知識どうしの繋がりを意識するよう心がけてください。たとえば、正六角形の問題なら、「正三角形を利用して問題を解いてみよう」「この辺はあの図形を利用すれば求められるな」、などの解き方を学んでほしい、ということです。 これまでは、基礎知識同士の繋がりを理解できていなくても解けるよう、あまり難度の高くない問題が多かったと思われますが、5年生の後半からは基礎知識を組み合わせた発展的な問題が増えます。 筑駒、開成、灘のような最難関校は、「知識が使える」「練習問題が単に解ける」だけでは解くことができない良問が多く、知識の背景を十分理解していることが求められるため、「なぜそうなるのか」「だからこの解き方なんだ」ということを是非意識してほしいですね。◆ご家庭では「探究心」を伸ばすサポートを--保護者はお子さまの学習をどのようにサポートしたらよいでしょうか。前田先生:お子さまの探究心を伸ばしてあげられるといいですね。「これはなぜなの」「お父さん、お母さん教えて」と質問された際に、正誤のみを判断するのではなく、問題の狙いを解説できることが望ましいです。 ご自身が教えることに不安があるときは、「この問題をこのように解いた理由を教えてよ」、とお子さまに説明を求めることでお子さまの理解度をチェックすることができます。年長者だからといって臆することなく、お子さまの良き「戦友」として日々の学習に関われるといいですね。--ありがとうございました。 中学受験専門個別指導教室SS-1は現在、東京、大阪、兵庫に6教室を展開している。東京は成城学園前教室、東京白金台教室、東京自由が丘教室の全3教室。指導内容の詳細や授業案内はWebサイトで閲覧することができる。 また、リセマムではSS-1教師協力のもと、「【難関中合格AtoZ】シリーズ」で2015年の年間を通し中学受験を控える1~6年生向けの情報配信を予定している。