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家庭での「食育」に古谷成司先生がアドバイス…夏休み自由研究にも

 千葉県富里市教育委員会学校教育課主幹で、NPO法人企業教育研究会理事の古谷成司先生を迎えて、幼児から中学生の子どもをもつ3名のお母さん方による座談会を企画した。

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「手洗いチェッカー」で汚れをチェック
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  • 古谷成司先生
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  • 0時間目は「朝ごはんってなぜ大切なの?」
  • 真剣にコンテンツを見るお母さんたち
  • 「手洗いチェッカー」に興味津々
  • 「手洗いチェッカー」思った以上の汚れに驚く
◆家庭でもできる食育…お母さんの悩みに先生がアドバイス

横山さん:小1の息子は朝がとにかく弱いです。朝食でなるべくいろいろ食べさせたいのですが、好きな物を食べるのがやっとです。それでも、食べないよりはよいのかと思っていますが。

古谷先生:朝がダメだという子は、睡眠時間が足りていないことが多いですね。睡眠時間は子どもでも個人差があるので一概に何時間必要とはいえないものの、一番覚醒するはずの朝10時頃にあくびをしている子は睡眠が足りないといえます。朝がダメだという子には、もう少し睡眠時間が必要なのかもしれません。この「食育の時間」(0時間目)を見せると、夜はしっかりと寝て、朝ごはんを食べることの大切さを理解してくれます。

櫻井さん:うちは朝ごはんを食べる時間がなく、食べないよりはましと思ってチョコを持たせることがあります。血糖値のことを考えると、最悪チョコでもよいのでしょうか。

古谷先生:子どもには1日2,000~2,500kcalが必要で、給食は約700kcalです。朝に甘いものだけを食べると、カロリーはよくてもバランスが悪くなってしまいます。ただ、何もないよりはいいだろうと、実は私も思っていました。

 ニンテンドーDSのソフト「脳トレ」の作者、川島隆太さんが日本食育学会で発表された研究によると、朝食で炭水化物だけ摂った人と、バランスよく摂った人の脳の血流を測ると違いが明らかで、バランスよく摂ったほうが断然よかったそうです。脳には必須のブドウ糖の吸収の関係だと思われます。やはり糖だけではダメなんですね。

 もうひとつの問題は、朝ごはんを食べないと体内温度が上がってきません。食べて咀嚼することで唾液が出て、胃も動き、体温が上がります。体温が上がっていないと勉強や運動がしづらいのです。そういったことを「食育の時間」を使って科学的に根拠を示し、子どもたちが理解できれば、少しずつでも改善しようとするようになります。

平井さん:うちは2人とも起きてすぐにしっかり食べます。食べないと何もできないというタイプです。私は落ち着いてから食べたいので、朝食は子どもたちだけで食べていますが、家族みんなで食べるというのも大事ですよね。

古谷先生:はい、大事です。みんなで食べないと食が進まないですよね。そこで「食育の時間」の5時間目で個食の問題を取り上げているのですが、個々の家庭の事情が違うため、なかなか難しい問題です。

櫻井さん:上の娘は中学生になって太ることが気になるのか、豚肉の脂身を残すようになりました。それを見て、下の子も真似して残すようになってしまいました。女子の痩せたい願望と食べさせたいという親心、どう対応していけばよいか悩んでいます。

古谷先生:摂取するカロリーと消費するカロリーを調べると、女の子の場合、消費カロリーのほうが上回っている場合があります。生きていくために最低限必要なエネルギーである基礎代謝と運動などの活動エネルギー、プラス、子どもには成長するためのエネルギーが必要です。人間の体は、たとえばカルシウムが足りないと骨を溶かして血中のカルシウム濃度を維持するようになっています。つまり、自分の身を削ってバランスを保とうとするのです。子どものダイエットは、大人になってから骨粗しょう症になるなど影響が出てきます。20歳までで人間の体は完成しますから、それまではきちんと食を管理して体作りをしていくことが大事です。

横山さん:おやつについては、どうお考えですか。

古谷先生:おやつはあくまでも補食です。炭水化物はまだいいのですが、脂物はどうでしょうか。最近の校外学習の食事はバイキング形式が多く、揚げ物などがあっという間になくなってしまうようですね。また、市販のお菓子は塩分が高いものも多いですし、ジュースは糖分が驚くほど多く含まれています。おやつはよく考えて与えるようにしたいですね。

◆夏休みの自由研究にもお勧めな「食育」

平井さん:食育といっても、何から始めたらいいかがわかりません。

古谷先生:食育の題材は、周りにいくらでも転がっていて、決まったことをしなければいけないというものではありません。「食育の時間」のコンテンツを利用してもよいし、日常の中で食を通していろいろなことに関心を高めてくれればいいと思っています。

 先ほど、出汁が話題になりましたが、私も塩分の授業で出汁を使ったことがあります。熱中症で倒れる子が多くなってきていて、水分と塩分も摂りましょうと盛んに言われるのに、保健の教科書には塩分の摂り過ぎで高血圧になる、生活習慣病になるといったことが書いてあります。子どもには塩分を摂ったほうがいいのか、摂らないほうがいいのかがわかりません。

 そもそも“塩分ってなんだろう?”というところから、熱中症や生活習慣病の仕組みなどを図解しながら教え、最終的に栄養士さんに出汁汁を作ってもらって飲ませました。ただし、出汁だけでは味がしないのでちょっと塩を入れ、出汁を使うと少しの味付けで美味しくなるから、塩分を摂り過ぎることはないんだよと教えました。

 そんな具合に、お母さんたちも、日頃からできるだけ食に関する情報に触れるようにして、ちょっとした知識を教えてあげればよいと思います。

 夏休みには、さまざまなイベントが開催され、食に関するものもありますので、親子で参加してみてはいかがでしょう。

 それこそ、いろいろな食べ物を使って出汁をとってみるとか、理科の実験にもなりますが、果物や野菜に銅板と亜鉛板を刺して野菜電池を作ってみるとか、ご家庭で手軽にできることでもさまざまなことが考えられますね。その中で何か、お母さんが知っている情報を与えていけばよいのではないでしょうか。

お母さん方:ありがとうございました。

 日本マクドナルドがコンテンツ「食育の時間」を開発・配信したのは2005年。その後も2008年に朝食の大切さを学べる“0時間目”を、さらに10周年を迎えた今年、「スポーツ食育」を題材にしたコンテンツを新たに追加するなど、食を扱う企業の責務として、子どもたちの健全な育成を願って、継続して食育支援活動に取り組んでいる。

 今回出席のお母さんたちは、同社がこうした取組みをしていることは知らなかったとのことだが、この座談会で「食育の時間」の内容にも興味をもたれたようで、子どもたちの反響も高いという貸出し教具「手洗いチェッカー」(4時間目「私たちの食べ物は大丈夫?」で使用)を実際に試してみたときには、目に見える汚れに驚き、手洗いが必要なことはもちろん、洗い方にも気を付けなければならないことを実感されたようだ。

 この夏休み、大人でも楽しく学べる「食育の時間」を使って、お子さんとともに「食」について考えてみてはいかがだろうか。0時間目で作れる「早ね早おき朝ごはんきろくシート」で毎日記録していくだけでも、乱れがちな夏休み中の生活習慣を正すきっかけになるのではないだろうか。
《鈴木良子》

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