【NEE2016】総入替えより一部替え、低予算で導入できるちょい足しICT

 6月2日から東京・有明のファッションタウンビル(TFT)で開催されている教育関係者向けの展示会「New Education Expo 2016(NEE2016)」では、市販されているICT機器を教室に持ち込む際のちょっとしたコツや、低予算で導入できるICT製品が展示されている。

教育ICT 先生
 「ICT教育」と聞くと、教室の至るところにハイテク機器が導入されており、授業開始から授業終了まで、子どもたちが常にタブレットやPCを利用しているイメージを持つことはないだろうか。教育現場ではまだまだICT導入校が少なく、「大仰に構えてしまう」といった声もあがっている。

 デジタル活用に不安の残る教員でも、低予算で、かつ、簡単に操作ができるICT機器はないのだろうか。6月2日から4日まで東京・有明のファッションタウンビル(TFT)で開催されている教育関係者向けの展示会「New Education Expo 2016(NEE2016)」では、市販されているICT機器を教室に持ち込む際のちょっとしたコツや、低予算で導入できるICT製品が展示されている。

◆市販のアクションカメラが教育現場で活躍

 カシオ計算機は、「ICT機器・アクセサリ」ゾーンでカメラ部とディスプレイ部が分離するセパレート式コンパクトデジカメ「EX-FR100」を展示している。もともとはアウトドアでのレジャーやスポーツシーンにおける利用を考えて発売されたモデルだが、カメラとディスプレイが分離する特性を生かせば、子どもたちの手が届かないような高所の撮影、観察も容易になる。会場では、セルカ棒(いわゆる自撮り棒)の先にカメラ部をつけ、展示パネル上部に取り付けられている花かごを撮影。手元のディスプレイには、床上からでは見えない花かごの中がくっきりと移るようすを実演していた。すでにデジタルカメラやセルカ棒を持っている教諭なら、屋外での学習時にすぐに真似できそうな利用方法だ。

 無理に高価なICT製品を購入せずとも、まずは手持ちのスマートフォンやデジタルカメラが授業で利用できるかを考え、実践してみるのもICT教育の立派な入り口に違いない。さらに実現したい授業図が描けたら、文教向けのICT機器購入を検討してもよいだろう。そういった教員に向け、カシオ計算機は授業でよく使うシーンを考慮した学校専売モデルのデジタルカメラ「EX-SC100」も用意している。「書画カメラモード」も搭載しているため、カメラを中心にした授業図が思いつく場合は利用の幅が広がりそうだ。

◆使い慣れた教具なら利用も楽々、昨今のモデルにチェンジ

 電子黒板やタブレットを活用した授業を行ううえで、一番の不安事は「まず自分自身が使いこなせるか」ということだろう。何度も繰り返される講習会や分厚い説明書を理解しなければ利用できない製品からは、おのずと興味も遠のいてしまう。では、普段使い慣れた教具に、少しだけデジタル要素が追加されたものならばどうか。

 エルモ社は、教員には馴染み深い書画カメラ(実物投影機)をデジタル時代に合わせて進化させたインタラクティブ書画カメラ「みエルモん」(78,000円、税別)の導入を提案している。従来の書画カメラの使い勝手や鮮明な画質はそのままに、PC・タブレット時代に合わせてHDMI端子を追加。ユニット型電子黒板の「つたエルモん」(89,000円、税別)やワイヤレス・ペンタブレット「かけるもん」(28,400円、税別)などと掛け合わせれば、いつもの授業スタイルにデジタル要素を取り入れることができる。将来的に電子黒板や教室のICT化が進んだとしても、長期にわたり使い続けられそうな製品だ。最新製品では、さらに上位機モデルとしてWi-Fiを搭載した次世代書画カメラ「TX-1」の展示も見られた。

 展示ブースでは、書画カメラとユニット型電子黒板を掛け合わせ、どの学校にもひとつはあるであろう地球儀を利用した地理の授業シーンを実演。将来的には電子黒板を購入したいが、まずは得意な書画カメラのデジタル化から進めてみよう、という小さなステップの繰り返しがICT活用への近道になるのかもしれない。

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《佐藤亜希》

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