【NEE2016】総入替えより一部替え、低予算で導入できるちょい足しICT

 6月2日から東京・有明のファッションタウンビル(TFT)で開催されている教育関係者向けの展示会「New Education Expo 2016(NEE2016)」では、市販されているICT機器を教室に持ち込む際のちょっとしたコツや、低予算で導入できるICT製品が展示されている。

教育ICT 先生
◆オリジナル教材に自信があるなら、デジタルペンをちょい足し

 NEEの出展ブースの担当者が皆、口を揃えて発言するのは、「現場を知り尽くし、経験を積んだ先生方のほうがICT活用アイデアが豊富」であるということ。各々が作成する教材にはたくさんの知見が詰まっているため、アナログ的だからといって打ち捨てたくない。NEEの「教材デジタルコンテンツ・学習支援ソフト」ブースでは、従来のオリジナル教材を活用しつつ、今後のデジタル化の波を取り入れた製品の存在も目立つ。

 NeoLABは、今までどおり「紙に書く」という方法を維持しながらICT授業を実現するスマートペン(デジタルペン)「Neo smartpen N2」を展示中。スマートペンに対応するプリントソフトウェア「N Docu Direct」で普通紙にオリジナル教材を印刷するだけで、ワークシートがスマートペンに対応したデジタル教材に早変わりする。肝心のデジタルペンは、子どもが握りやすい三角形で、ボールペン同様にすらすらとした書き心地を実現。すでに教室にタブレットや電子黒板が整っている、または導入が決定されていて、自身の知見が凝縮された教材も生かしたいとする指導者の悩みを解決できそうだ。

◆老朽化した設備の入替えも立派な「ICT化」のひとつ

 「ICT導入には困難がつきまとう」と尻込みしながらも、教育関係者は皆、どういった教材なら導入でき、活用できるのか、デジタル時代を生きる子どもたちの将来を思い、真剣に逡巡しているようすだった。

 身近なデジタルカメラやビデオカメラ、モバイルディスプレイを活用した授業も「ICT授業」に含まれるし、老朽化した数世代前のプリンターを文教用に特化した最新の機器に入れ替えることも「ICT化」の範疇に含まれるだろう。現に、理想科学工業は学校・教育委員会向けの高性能プリンター「ORPHIS(オルフィス) FW」を開発し、ICT機器を利用したプリント業務印刷の効率化を提案している。

 「ORPHIS(オルフィス) FW」は教育現場向けに開発されたプリンターであるため、従来のプリンターでは難しかった短時間でのカラー印刷を実現し、作業時間の短縮や子どもと向き合う時間の増加、残業の抑制を促す。さらに、白黒プリントでは子どもたちが理解しにくいと言われるグラフや表、国旗などのカラー画像も、低コストでフルカラー印刷できるため、一目でわかりやすいプリントを作成できる。最新のICT機器を導入するメリットには、子どもたちへの教育効果を高めるだけではなく、教育関係者にとっての利益も含まれていることがわかる。

 数々の展示を前にすれば、きっとどの製品が自校に合うのか迷うこともあるだろう。そんなときは、まずは無理なく利用できるICTの導入から始めてみる。それが、ICT化の第一歩になるのかもしれない。
《佐藤亜希》

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