国立大学が基礎科学推進で声明発表、運営費交付金削減に反対

 国立大学法人理学部長会議は10月31日、「未来への投資」と題した声明を発表した。全国の国立大学理学部長ら34人が連名で、基礎科学の推進の重要性、その基盤となる運営費交付金や教員が削減されている大学現場の危機を訴えた。

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国立大学法人理学部長会議声明「未来への投資」(京都大学理学研究科・理学部)
  • 国立大学法人理学部長会議声明「未来への投資」(京都大学理学研究科・理学部)
  • 国立大学法人理学部長会議声明「未来への投資」(東北大学)
 国立大学法人理学部長会議は10月31日、「未来への投資」と題した声明を発表した。全国の国立大学理学部長ら34人が連名で、基礎科学の推進の重要性、その基盤となる運営費交付金や教員が削減されている大学現場の危機を訴えた。

 「未来への投資」は、大隅良典氏(東京工業大学栄誉教授)のノーベル医学・生理学賞受賞を機にした声明発表。東京大学理学系研究科長、京都大学理学研究科長など、国立大学34校の理学系代表者が連名で行った。

 声明では、大隅氏のノーベル医学・生理学賞、2015年の梶田隆章氏(東京大学宇宙線研究所長)のノーベル物理学賞について「まさに理学の目指す基礎研究の成果」とたたえ、「基礎科学は今すぐ社会の役に立たないかもしれませんが、いずれ役に立つと、私たちは確信しています」「『役に立つ』を前提の研究からは、梶田先生や大隅先生のような誰も踏み込んだことのない新たな発見は決して生まれません」としている。

 さらに基礎科学推進の基盤として重要な役割を果たしているという運営費交付金が継続的に削減され、その結果として教員が削減されている大学現場の現状を指摘。10年間以上にわたり毎年1%ずつ運営費交付金の削減が行われ、基礎研究の体力を奪っているという。

 声明では、「このままでは、10年後、20年後に日本からノーベル賞が出なくなること懸念します」と述べ、運営費交付金の削減をやめるよう訴えている。
《奥山直美》

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