「保育所に入れなくなる」6割、育休希望期間と現実に差

 東京都は平成30年1月26日、「東京都保育ニーズ実態調査」の速報版を公表した。育児休業取得者の68.1%が1年以上の取得を希望していたが、実際の取得割合は51.3%と16.8ポイントの差がみられた。希望よりも短くなる理由は「保育所に入れなくなると思ったため」が最多。

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利用を希望していた教育・保育サービスと利用サービスの比較
  • 利用を希望していた教育・保育サービスと利用サービスの比較
  • 希望していた育児休業期間と実際に取得した期間
  • 育児休業が2歳まで取得できる場合の取得意向期間
  • 育児休業を2年取得しない理由
  • 価格別の認可保育所の利用意向
  • 保育所を利用しなくてもよい環境
 東京都は平成30年1月26日、「東京都保育ニーズ実態調査」の速報版を公表した。育児休業取得者の68.1%が1年以上の取得を希望していたが、実際の取得割合は51.3%と16.8ポイントの差がみられた。希望よりも短くなる理由は「保育所に入れなくなると思ったため」が最多。

 「東京都保育ニーズ実態調査」の都民調査は、0~5歳の就学前児童がいる世帯が対象。23区と待機児童数50人以上の17市の計40区市にて、第1弾調査が平成29年8月25日~9月8日、第2弾調査が平成29年9月11日~9月25日に実施された。回収された有効サンプル数は1万3,114人。

 回答者の75.5%は何らかの教育・保育サービスを利用しており、利用しているサービスでは「幼稚園」23.3%、「認可保育所(私立)」21.4%、「認可保育所(公立)」17.0%の順に利用割合が高い。一方、利用を希望していた教育・保育サービスでは、「認可保育所(公立)」が51.9%、「認可保育所(私立)」39.3%、「幼稚園」30.0%の順だった。「認可保育所(公立)」では、希望と実際の利用割合に34.9ポイントの差が生じている。

 育児休業を取得した人に休業前に希望していた取得期間を質問すると、「1年~1年7か月未満」43.0%がもっとも多く、ついで「6か月~1年未満」22.5%、「2年以上」15.2%、「1年7か月以上~2年未満」9.9%。一方で、実施に取得した期間については、「1年~1年7か月未満」39.5%、「6か月~1年未満」33.7%、「3か月未満」8.0%、「3か月~6か月未満」7.1%の順だった。

 68.1%が1年以上を希望していたが、実際の取得割合は51.3%と、16.8ポイントの差がみられた。取得期間が希望より短い理由については、「希望期間取得すると、取得後に保育所に入れなくなると思ったため」64.9%がもっとも多く、そのほか「収入が減るため」25.9%、「周囲の迷惑になると思った」21.9%などがあった。

 平成29年10月から育児・介護休業法が改正され、1歳6か月以降も保育園などに入れない場合、会社に申し出ることにより、育児休業を最長2歳まで再延長できることになった。育児休業取得意向期間を2年未満と答えた回答者に、2歳まで取得できる場合の取得意向期間を尋ねると、50.4%は1年7か月未満を希望し、「1年7か月以上~2年未満」または「2年以上」という回答は35.1%だった。

 育児休業を2年取得しない理由では、「収入が減る期間が延びるから」55.3%、「長期間休業すると、仕事のスキルが低下しそうだから」44.0%、「長期間休業すると、周囲の迷惑になりそうだから」40.5%などが上位。取得しない理由が解消された場合の希望期間については、51.9%が「1年7か月以上~2年未満」または「2年以上」と答えている。

 認可保育所の保育料について、価格別の利用意向(支払っても良いと思う最大限の価格)をみると、「4万円」29.6%、「2万円」14.3%、「6万円」13.2%など。中央値は3万9,200円。年齢が上がるにつれて価格は減少し、0歳児は5万300円、2歳児は4万2,600円、5歳児は2万9,400円だった。

 なお、幼稚園や保育所などの利用者に、どのような環境があれば保育所を利用しなくてもよいと考えるか聞くと、「幼稚園での預かり保育時間が延長されれば」50.1%、「働く必要がなくなれば」46.1%、「収入が増加したら」40.8%の順に多かった。東京都では、教育・保育サービスの多様化などが、保育の利用ニーズに影響する可能性があると分析している。

 この調査は都民調査のほかに、子育てサポートに力を入れている都内民間企業200社にも調査を実施している。今回は都民調査速報版として公表されたもので、今年度末に、企業調査を含めた全体版の報告書が作成される予定。
《黄金崎綾乃》

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