育休延長のための“落選狙い”問題…働く主婦の6割「ルールが問題」

 しゅふJOB総研は「育休2年と落選狙い」をテーマに働く主婦層にアンケート調査を実施。結果を発表した。半数を超える55.6%は育休を2年まで延長したいと答え、育休延長のためのいわゆる“落選狙い”については60.2%がルールの問題だと考えていることが明らかになった。

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育休を取るとしたら2年まで延長したいと考えるか
  • 育休を取るとしたら2年まで延長したいと考えるか
  • いわゆる“落選狙い”が起きていることについてどう思うか
  • 政府の“落選狙い”対策は適切だと思うか
  • 政府の“落選狙い”対策は適切だと思うか(現在の就業形態別比較)
  • しゅふJOB総研 所長 川上敬太郎氏
 しゅふJOB総研は、「育休2年と落選狙い」をテーマに働く主婦層にアンケート調査を実施し、結果を発表した。半数を超える55.6%は育休を2年まで延長したいと答え、育休を延長するために保育園を落ちるいわゆる“落選狙い”が起きていることについては60.2%がルールの問題だと考えていることが明らかになった。

 主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関しゅふJOB総研は、ビースタイル登録者およびしゅふJOBパート登録者を対象に「育休2年と落選狙い」をテーマにアンケート調査を実施し、650人の有効回答を得た。調査期間は2019年1月30日~2月6日。

 2017年10月から育休が2年まで延長できるようになったことを受け、育休を取るとしたら2年まで延長したいかとの問いには、32.8%が「保活の結果に関係なく思う」、22.8%が「保活がうまくいかなければ思う」と回答。半数を超える55.6%は2年まで延長したいと考えていることがわかった。

 育休延長を目的に、あえて倍率の高い保育所に申し込み落選通知をもらい育休延長手続きをする行為、いわゆる“落選狙い”が起きていることについては、60.2%が「落選できなければ育休延長できないルールが問題」と回答。ついで「本当に保育所に入りたい人に迷惑をかけている」47.2%、「自治体が保育所を十分提供できていないことが問題」31.7%と続いた。一方、「育休延長するためには致し方ない」14.9%と、実際に育休延長を希望する主婦の意見も垣間見える結果となった。

 落選狙い対策として、政府は申込み段階で事前に「保育ニーズの高さを把握する方法(=保育所等に入れなかった場合に育休の延長が可能な人をあらかじめ確認し、審査を通りにくくするなど)」の導入を検討している。この件については、「適切な対策だと思う」30.8%、「適切な対策だとは思わない」27.8%と、ともに3割前後で意見が割れる結果に。フリーコメントには、「どうしても保育園に預けなればいけない事情の人を優先すべき」と支持する声がある一方、「育休延長は可能だが、今回保育園に入れたい、という場合も不利になってしまう」と適切な判断材料となりうるか疑問視する声もあげられた。

 政府の対策の適切性について現在の就業形態別で比較してみると、正社員はパート・アルバイトまたは派遣社員と比較して「適切な対応だとは思わない」と回答した比率が17.8ポイント高かった。しゅふJOB総研の川上敬太郎所長は、「長期安定的な就業形態である正社員として働いている人の方が、育休をより自分事として感じやすくシビアな目で見ているということかもしれません。育休延長ルールが生み出した“落選狙い”というひずみを前提とした対策は、一時的なものでしかありません。応急処置をしつつ、根本的な解決に向けた対策の検討が必要なのだと考えます」とコメントを寄せた。
《畑山望》

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