女性のIT業界進出、学生の62%「就活時の性的偏見が妨げに」

 IT業界に興味を持つ大学生の62%が「就職活動時のジェンダーバイアスが女性のIT業界進出を難しくしている」と回答していることが、ブッキング・ドットコムが2019年5月16日に発表した調査結果より明らかとなった。

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「就職活動時のジェンダーバイアスが女性のIT業界進出を難しくしている」と回答した割合
  • 「就職活動時のジェンダーバイアスが女性のIT業界進出を難しくしている」と回答した割合
  • <左>「IT企業の求人は女性からの応募を想定して書かれていないと思う」と回答した割合/<右>「IT企業の求人は技術職のことを多く言及し、それ以外の職務には脚光を当てていないと感じる」と回答した割合
  • 「昇進のために、次の役職で必要なスキルを既に持っていなければいけないと感じる」と回答した割合
 IT業界に興味を持つ大学生の62%が「就職活動時のジェンダーバイアスが女性のIT業界進出を難しくしている」と回答していることが、ブッキング・ドットコムが2019年5月16日に発表した調査結果より明らかとなった。

 IT業界で働く女性に関する調査は、ブッキング・ドットコムが世界10か国(イギリス、アメリカ、フランス、ブラジル、オランダ、ドイツ、中国、オーストラリア、インド、スペイン)のIT業界に加わる高校生および大学学部生、業界経験の浅いIT業界従事者、業界経験豊富なIT業界従事者、およびIT業界への復帰者を対象に実施したもの。調査期間は2018年8月2日から9月6日、対象者数は計6,898名。

 今回の調査では、世界中のIT業界に従事する女性の47%、IT業界に興味を持つ大学生の62%が「就職活動時のジェンダーバイアスが女性のIT業界進出を難しくしている」と回答。就職活動時からのハードルの高さは、女性がIT業界を志望すること自体の妨げになっている可能性があることが明らかとなった。

 また、「IT企業の求人は女性からの応募を想定して書かれていないと思う」と回答した割合は全体の51%。女性のIT業界従事者および大学生の54%は、「IT企業の求人はコーディングやプロダクトデザイン、データ解析やエンジニアリングなど技術職のことを多く言及し、それ以外の職務には脚光を当てていないと感じる」と回答しており、技術職以外の一般職の募集であっても、IT企業に応募することをためらう女性が多いことがわかった。

 IT業界に入った後のキャリアを形成する機会について聞くと、男性は将来のポテンシャルをベースに昇進する傾向にあるのに対し、62%の女性が「自分が昇進するためには、次の役職で必要なスキルを既に持っていなければいけないと感じる」と回答。インドや中国ではこの回答がもっとも多く、その割合は7割以上にのぼった。

 ブッキング・ドットコムCEOのギリアン・タンズ氏は、「今回の調査結果は、IT業界が長い間、求人広告の書き方から採用プロセスに至るまで、男性応募者を引きつけ、女性を遠ざけるようなやり方をしているという見解を裏付けるものとなりました。会社に興味を持ち、応募する人が最初に接する窓口となる採用プロセスを、男女の採用比のバランスが取れ、包括的なものにすることで、業界を希望する女性を取り込むことができるようになると思います」とコメントしている。
《桑田あや》

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