小学校プログラミング教育、先行実施52%…自治体規模で格差も

 小学校プログラミング教育必修化に向け、2018年度に授業を先行的に実施した市町村教育委員会は52.0%と、前年度の16.1%から大幅に増加したことが、文部科学省の調査結果から明らかになった。ただ、自治体の規模による格差も目立っている。

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小学校プログラミング教育の取組状況
  • 小学校プログラミング教育の取組状況
  • 小学校プログラミング教育の取組状況(大規模な自治体と小規模な自治体の比較)
  • 小学校プログラミング教育の取組状況(担当者の有無、担当者の教員経験の比較)
 小学校プログラミング教育必修化に向け、2018年度に授業を先行的に実施した市町村教育委員会は52.0%と、前年度の16.1%から大幅に増加したことが、文部科学省の調査結果から明らかになった。ただ、自治体の規模による格差も目立っている。

 「2018年度(平成30年度)教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等について」と題したアンケート調査は2019年2月4日~3月25日、都道府県教育委員会を除く、全国1,745の市町村教育委員会を対象に委託事業者がWebで実施。1,011教育委員会から回答を得た。

 小学校プログラミング教育が必修となる2020年度に向けた2018年度の取組状況は、「授業を実施している」が52.0%と半数を超え、前年度の16.1%から大幅に増加した。一方、「特に取組みをしていない」は4.5%で、前年度の56.8%から大幅に減少。文部科学省では「全体として取組みが進んでいる」と分析している。

 指定都市・中核市・市・特別区を「大規模な自治体」、町・村・組合を「小規模な自治体」として、小学校プログラミング教育必修化に向けた取組状況の差異を分析したところ、授業を実施している割合は大規模な自治体71.5%に対し、小規模な自治体は31.9%。特に取組みをしていない割合は大規模な自治体1.6%に対し、小規模な自治体は7.5%。小規模な自治体の取組みの遅れが目立つ結果となった。

 プログラミング教育推進のため担当者を配置している自治体は94.4%。このうち、兼任の担当者49.8%、必要に応じて割当て34.2%で、専任の担当者を配置している自治体は8.3%にとどまった。文部科学省の分析によると、担当者を配置していない自治体の方が取組みに遅れがみられるほか、担当者が教員経験者である自治体の方が取組みが進んでいる傾向にある。また、小規模な自治体は大規模な自治体と比較して、「担当者がいない」「担当者が教員経験者でない」という割合が多いという。

 このほか、小学校プログラミング教育の実施に関する課題では、「人材不足」90.3%、「情報不足」82.6%、「予算不足」80.3%などが多かった。「プログラミング教育の取り組み方がわからない」との回答も51.7%にのぼった。

 文部科学省では、調査結果を受けた今後の施策の方向性として、取組みが遅れている小規模自治体などに向けたプログラミング教育セミナー実施などをあげている。
《奥山直美》

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