アローコーポレーション企画・編集・発行「大学選びの新常識 2019年度版」より、高校生・受験生の親に役立つ情報を紹介する。アロー教育総合研究所・所長の田嶋裕氏が「大学受験特別講座」と題して伝授する志望理由書の書き方とは。
志望理由書が求めるのはコミュニケーションスキル
AO・推薦入試の受験で提出を求められる「志望理由書」。2020年大学入試改革以降は、一般入試においてもこういった資料の作成を課すよう文部科学省では定めており、大学入試は「願書だけでは受験できない」状況になります。志望理由書は出願書類のひとつにすぎません。けれども、その内容が合否に影響するだけではなく、作成には一定のノウハウが必要であり、すべての受験生にとって、志望理由書の作成が大学入試突破の第一関門となるわけです。ここでは、より望ましい志望理由書の書き方を考えます。

志望理由書の作成は、誤解を捨てることからはじまります。「志望理由」を書き連ねても実は志望理由書にはなりません。「自ら通いやすい場所にあるから」「就職率や資格試験の合格率が高いから」そして「自分の偏差値に合った大学であるから」……、たしかにこれらも志望理由ですが、大学という「学び」の場を志望する理由としては枝葉末節すぎるのです。みなさんが提出した志望理由書を読むのは受験校の大学教員。何百枚という膨大な志望理由書に目を通す時、枝葉末節な「志望理由」を並べる受験生に果たして好感を抱くでしょうか?志望理由書を「読む人」、その存在を意識しましょう。志望理由書という一枚の用紙の上で人間と人間が向き合うということ。志望理由書もコミュニケーションの一種なのです。自分が入学したいと思う大学の先生に、どんな言葉で語りかけたら良いのか。そんな考えからスタートするだけで、志望理由書の内容は一段も二段もグレードアップするはずです。

そこに学びたいものがある ということが何より大切
具体的には、受験校研究に力を入れましょう。どんな先生が教えているのか、どんな授業が行われているのか、「学び」の場を志望する理由として、これに勝るものはありません。立地でも就職率でも偏差値でもなく、そこに自分の学びたいものがあるから志望する、というわけです。その点で各大学が配布している大学案内は受験で最も大切なバイブルとも言える存在です。そして、もっと詳しく調べたいなら大学のWebサイト、さらにはオープンキャンパスなどに足を運んで、なぜ、その大学を志望するのか(なぜ、他大学ではダメなのか)、志望理由に肉付けしていくわけです。
発行:講談社
編集:アローコーポレーション
はじめての大学進学を控えた高校生と保護者の方々へ――。志望校選びのタイミングだけでなく、大学進学を前にした様々な場面で必要となる「考え方」や「基礎的知識」を知ることのできる一冊です。日々進化を続ける大学の取り組みやその特徴も数多く紹介。自ら進む道を見つけるために、我が子をより確かな未来へと導く道を見つけるために、数多くの大学の紹介からきっと志望に合う一校を選ぶことができるはずです。
特集では、現在内閣府が推し進めている科学技術政策“Society5.0”について、アイドルと有識者との対談形式で解説していきます。またその中では、大学での事例や内閣府のインタビュー記事も掲載。私たちの生活が今後どのように変わっていくのかを考察します。そのほか有名人の大学進学エピソードや、様々な入試形式の解説など役立つ記事をたっぷり掲載。大学進学を前に不安を抱える皆さんが、何かヒントを得ることのできる一冊となっています。
<協力:アローコーポレーション>