オンライン面接「働くイメージ向上」に課題…立教大研究室

 立教大学経営学部の中原淳研究室が2020年5月31日に公開した「オンライン面接の実態に関する調査」の報告書によると、「その会社で働くイメージの向上ができた」と答えた学生は対面面接に比べ35.1ポイント減少するなど、オンライン就活の課題と可能性が明らかになった。

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調査報告書“オンライン面接はどんな特徴をもち、何が可能で、何が課題なのか?「面接形態による比較」と「学生-採用担当者の比較」を通して”
  • 調査報告書“オンライン面接はどんな特徴をもち、何が可能で、何が課題なのか?「面接形態による比較」と「学生-採用担当者の比較」を通して”
  • ITスキルの有無による面接時のパフォーマンスの違い
  • 採用担当者の面接の手ごたえ
  • 学生の相談可能人数
  • 面接のオンライン化の割合と学生の面接の手ごたえ
 立教大学経営学部の中原淳研究室が2020年5月31日に公開した「オンライン面接の実態に関する調査」の報告書によると、「その会社で働くイメージの向上ができた」と答えた学生は対面面接に比べ35.1ポイント減少するなど、オンライン就活の課題と可能性が明らかになった。

 調査は、新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて企業の採用活動において急速に広まっているオンライン面接が、どのように実践され、どのような可能性と課題をもっているのかを定量的に把握するために、実施した。

 対面面接とオンライン面接の比較と、学生と採用担当者双方からの回答結果の比較を行っており、学生調査はおもに232名を対象に4月29日~5月15日、採用担当者調査はおもに176名を対象に4月28日~5月3日に実施した。

 報告書によると、5月3日時点では1次面接の95.6%、2次面接の71.3%がオンラインに移行しており、内定を決定する最終面接では58.1%がオンラインで行われ、採用プロセスのオンライン化が急速に進行していることがわかった。

 採用担当者に、面接の手ごたえを対面・オンラインごとに聞いたところ、「学生の入社したい気持ちを高めることができた」とする採用担当者は対面79.7%、オンライン60.3%だった。「学生に、自社で働くイメージをもたせることができた」とする回答は対面78.8%、オンライン55.1%。「学生に、入社したい会社を選別してもらうことができた」とする回答は対面72.9%、オンライン47.1%となり、採用担当者は対面面接に比べ、オンライン面接による手ごたえを感じていない傾向にあった。

 学生にも対面・オンライン面接のそれぞれの手ごたえを聞いたところ、「入社したい気持ちが高まった」とする学生は対面77.5%、オンライン67.8%、「その会社で働くイメージが向上した」は対面78.5%、オンライン43.4%、「入社したい会社が選別できた」は対面77.6%、オンライン55.3%となり、学生側も対面面接に比べ、オンライン面接では手ごたえを感じていないようすが見られた。

 報告書では、オンライン採用のみでは、そこで働くイメージが不足するなどの課題があり、入社後の組織社会化に影響を及ぼす可能性があると指摘する。採用担当者はオンラインと対面の特性を生かした採用計画、学生は面接の特性や目的を理解したうえでの立ち振る舞いが必要であり、今後は対面とオンラインの“ブレンデッド(混在させた)”型の採用形態に変化する必要があると提言している。

 採用活動のオンライン移行によるメリットとデメリットをまとめた同調査報告書は、立教大学または中原淳研究室のWebサイトより無償で閲覧できる。
《勝田綾》

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