埼玉県、コロナ禍の小中学校の学習状況調査公表

 埼玉県義務教育指導課は2021年5月11日、コロナ禍における公立小・中学校等の学習状況に関する独自調査の結果と今後の取組みについて公表。ICT活用の課題についての調査では、80%以上の学校が「教員の活用能力の差が大きい」と回答している。

教育・受験 小学生
ICT活用の課題
  • ICT活用の課題
  • ICT研修の希望
  • 2020年度の教育課程の状況
  • 2020年度の教育課程の学習面への影響
  • 主体的・対話的で深い学びの実施状況
  • 県教育委員会の取組みの方向性
  • 学校における取組みの方向性
 埼玉県義務教育指導課は2021年5月11日、コロナ禍における公立小・中学校等の学習状況に関する独自調査の結果と今後の取組みについて公表。ICT活用の課題についての調査では、80%以上の学校が「教員の活用能力の差が大きい」と回答している。

 埼玉県は、コロナ禍における県内(さいたま市立を除く)全公立小・中・義務教育学校の学習状況や教育指導の状況、ICTの活用状況等について、独自で2020年度中に3回調査を実施。調査結果に基づいて、コロナ禍における学校教育の課題や、県・学校等が取り組むべき内容を整理した。

 調査対象の内訳は、小学校702校、中学校355校、義務教育学校1校。調査期間は、1回目が2020年3月2日から5月31日、2回目が学校再開(分散登校期間除く)から夏季休業日まで、3回目が夏季休業期間以後から2021年1月31日まで。

 ICT活用の課題(3回目調査)について、「教員の活用能力の差が大きい」と回答した学校は小・中学校ともに80%以上であり、「ICTの研修が不足している」と回答した学校も70%程度あった。今後実施してほしい研修については、小・中学校とも「各教科等におけるICT活用に関する研修」と回答した学校が90%以上、「端末やソフトウェアの使い方に関する研修」と回答した学校が85%以上だった。

 2020年度の教育課程の状況(3回目調査)について、小・中学校とも約99%が指導内容を年度を超えて2021年度・2022年度に先送りにする予定が「ない」と回答。2回目調査では、70%前後の学校が授業展開を速める工夫をしていた。これにより、大半の学校が年度内に指導を終えている。

 2020年度の教育課程の学習面への影響(3回目調査)については、小学校の81.9%、中学校の76.4%が「実験・実習等が制限されることで、実感をともなった学習内容の定着が十分でないこと」と回答。また、小学校の74.5%、中学校の80.1%が「年度当初に考えていたより『主体的・対話的で深い学び』に取り組む機会が持てないこと」と回答している。

 主体的・対話的で深い学びの実施状況については、2回目調査では小学校の28.0%、中学校の24.7%が「対話的な活動は極力行わないようにしている」と回答したが、3回目調査では、すべての学校が何らかの感染防止対策を取ったうえで、「対話的な学び」を実施していた。

 調査結果を受けて、埼玉県義務教育指導課は「教員間においてICT活用能力の差があるため、スキルを上げる研修やより具体的な指導に係る研修を実施する必要がある」「大半の学校が授業ペースを速める等により年度内に指導を終える見込みとなっていたが、速めたことにより児童生徒の学習の定着が十分になっていないことが懸念される」等と分析している。

 今後の取組みについては、県教育委員会の方向性として「ICT活用促進に向けた支援」「実践事例資料や情報モラルに係る教材の作成・周知」「学校訪問を通じた教育課程の確認」等があがった。また、学校における取組みの方向性として「1人1台環境を前提としたICT活用」「すべての教員のICT活用能力の向上」「さまざまな教科等でのICT活用推進」「校内研修における具体的な活用方法の共有」をあげている。
《桑田あや》

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