LGBTQ+、理解者・支援者の考え方に共感も行動には至らず

 P&Gジャパンは、LGBTQ+の理解者・支援者「アライ」の輪を広げる「アライ育成研修」を開発し、社外への無償提供を開始した。LGBTQ+を理解・支援したいと思う「アライ」の考え方に半数以上が共感しているが、知識不足により行動には至らない実態が明らかになった。

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 P&Gジャパンは、LGBTQ+の理解者・支援者「アライ」の輪を広げる「アライ育成研修」を開発し、社外への無償提供を開始した。LGBTQ+を理解・支援したいと思う「アライ」の考え方に半数以上が共感しているが、知識不足により行動には至らない実態が明らかになった。

 「アライ」とは、仲間や同盟を意味する英単語「Ally」が語源で、一般的にLGBTQ+への理解者・支援者を指す。P&Gジャパンは、LGBTQ+のアライの輪を広げる「アライ育成研修」を開発し、社外への無償提供を開始した。

 研修プログラムの開発にあたり、日本におけるアライの実態を探るため15歳~69歳を対象とした全国調査を実施した。調査人数は人口構成比にあわせて5,000人。調査時期は2021年4月21日~26日。

 調査対象者のうちLGBTQ+を自覚している層が9.7%。年代別にみると、10代19.2%、20代14.6%と、若い世代が多かった。生まれたときの性別と現在の自分の認識している性別が同一で、恋愛や性的な関心の対象が異性のストレート層は90.3%。

 全体の「アライ」の認知率は、「詳しく知っている」1.8%、「聞いたことがある程度」5.9%で、あわせて7.7%と低かった。調査対象者に「アライがLGBTQ+を支援し差別や偏見をなくそうと働きかける人」であることを説明し、そのうえでアライの考え方についてどう思うかを聞いたところ、53.8%が「共感する」と回答した。年代別にみると、「共感する」と回答したのは10代79.9%、20代62.7%と若い世代の賛同率が高い。

 アライとしての行動には、「性的指向や性自認に関する嫌がらせを止める」「周囲にLGBTQ+に関する理解を広める」「性の多様性に関する自身のLGBTQ+知識を深める」等の行動がある。このような行動がとれている人はわずか20.7%で、アライの考え方に共感すると回答した人でも30.9%にとどまった。

 アライとしての行動をしないと回答した2,651人にその理由を聞いたところ、「身近にLGBTQ+の人がいない」35.2%、「自分に何ができるかわからない」32.5%が特に多かった。アライに共感している層では、「身近にLGBTQ+の人がいない」43.8%、「自分に何ができるかわからない」40.3%と、全体よりも多いことがわかった。

 アライのことを具体的に学べる場や研修プログラムがあったら参加したいかという質問に、全体の4人に1人が「参加してみたい」と回答した。アライに共感している層では42.4%と関心が高い。

 ストレート層のうちLGBTQ+層の悩みを知っていると答えた人に悩みの内容を聞いたところ、「男女分けされている場所の使用」「結婚・パートナーシップ」「カミングアウト」があげられた。一方で、LGBTQ+層自身の悩みは「差別や偏見」「LGBTQ+当事者は周りにいないと思われている」「結婚・パートナーシップ」の順に多く、両者の意識にギャップがあった。

 LGBTQ+層の約半数が生きづらさを感じていた。年代別にみると、10代では65.7%が生きづらさを感じているが、おおよそ年代が上がるとともにその割合が少なくなっている。カミングアウトの経験があるのは22.2%。年代別にみると、10代43.3%、20代~40代は一定数がカミングアウトしているが、50代7.1%、60代2.7%と1割に満たなかった。

 LGBTQ+層が自分らしく生きるのに苦労を感じる人間関係やコミュニティーを調べたところ、10代は「学校」61.2%、「家族」40.3%、「ストレートの友人」25.4%の順に多い。20代~60代は「職場」がもっとも多く、働き盛りの30代では57.1%が「職場」での苦労を感じていた。

 P&Gジャパンの「アライ育成研修」は、オンラインで行う約2時間のプログラム。5月末よりウエルシア薬局、神戸市役所等、社外への提供を順次行っている。
《外岡紘代》

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