国立大生の自殺率が過去6年で最多、茨城大調査

 茨城大学保健管理センターは2021年8月23日、国立大学の学生の自殺率が2020年度、過去6年で最多になったことを公表した。研究チームは今後、死亡した学生の特性を分析する等、自殺につながるリスク要因の把握に取り組む。

生活・健康 大学生
2021年度以降の国立大学(調査参加校)における学部生の自殺率の推移
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 茨城大学保健管理センターは2021年8月23日、国立大学の学生の自殺率が2020年度、過去6年で最多になったことを公表した。研究チームは今後、死亡した学生の特性を分析する等、自殺につながるリスク要因の把握に取り組む。

 国立大学保健管理施設協議会のメンタルヘルス委員会のメンバーが毎年実施している調査で明らかになった。今回調査に参加した国立大学82校から、当該年度に死亡した学生の性別・死因等の情報提供を求めた結果、43万3,032人(男性27万3,308人、女性15万9,724人)のうち、76人(男性58人、女性18人)が自殺あるいは自殺と思われる死因で死亡していることがわかった。これは、10万人あたりで17.6人(男性21.2人、女性11.3人)となる。

 2012年度から2020年度の自殺率の推移を示すグラフでは、全体および男性の自殺率については、2020年度が過去6年で最多となっており、女性に限っては過去8年で最多となっていることがわかる。

 これらの結果から、茨城大学保健管理センター長の布施泰子教授は、「2020年は日本全体の自殺率が12年ぶりに増加に転じたが、大学生についても同様の傾向が見られる。友人等との対面の交流機会の減少、リモート形式の授業、経済的な厳しい状況等によって、大学生たちは強い不安感を抱えている」と述べる。研究チームでは今後、死亡した学生の特性を分析する等、自殺につながるリスク要因の把握に取り組むという。

 大学では心身の健康や経済的な支援プログラムを用意していることから、布施教授は「生活や学修上の不安があったら、1人で悩まず、相談して」と呼び掛けている。大学のWebサイトでは、「茨大なんでも相談室」や各キャンパスの保健管理センター・保健室の問合せ先を掲載している。
《田中志実》

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