【大学受験2023】国公立大、理工・情報系で定員増傾向…旺文社分析

 旺文社教育情報センターは、入試動向分析「2023年の国公立大入試はこう変わる!(2022年10月)」を発表。共通テスト導入と「新課程入試」導入の中間年度にあたるため変化は少ないものの、理工・情報系の新設や定員増が目立ち、2段階選抜は基準引き締めの傾向がみられる。

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2023年の国公立大入試はこう変わる!(2022年10月)
  • 2023年の国公立大入試はこう変わる!(2022年10月)
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 旺文社教育情報センターは、入試動向分析「2023年の国公立大入試はこう変わる!(2022年10月)」を発表した。共通テスト導入と「新課程入試」導入の中間年度にあたるため変化は少ないものの、理工系・情報系の新設や定員増が目立ち、2段階選抜は基準引き締めの傾向がみられる。

 国公立大の2023年入試「選抜要項」で、各大学の募集人員、入試科目・配点等が正式に発表された。入試概要をまとめた「選抜要項」がすべて出そろったことから、旺文社教育情報センターでは志願動向に影響しそうな変更点を分析し、紹介している。

 2023年入試は、大学入学共通テストを導入した2021年の「入試改革」と、2025年の「新課程入試(現在の高校1年生が学ぶ新カリキュラムに基づく入試)」導入のちょうど中間にあたり、大規模な変更のない「無風期」。大きな変化は少ないものの、こうしたときは、共通テストの難易や前年の入試結果(志願者増減や倍率アップダウン)の反動が強く作用するという。かつての事例を踏まえ、導入3年目の共通テストはさらなる難化が予想され、国公立大出願の不安材料となり得ることが考えられる。

 新増設・改組に関しては、一橋大が情報科学系の「ソーシャル・データサイエンス学部」を新設。同校初の文理融合学部で、文理双方の難関校志望者から注目される一方、既存4学部の定員減をともなうため首都圏の社会科学系学部の志願動向に幅広く影響しそうな見通し。文部科学省による国立大の定員増の制限を緩和する「魅力ある地方大学の実現に資する国立大学の定員増」に選定された島根大・広島大・徳島大は、いずれも理系学部の増設や定員増を予定している。この他、金沢大「スマート創成科学類」、静岡大「グローバル共創科学」、和歌山大「社会インフォマティクス学環」が新設予定。公立大では、名古屋市立大が「データサイエンス学部」を新設する等、理工系・情報系の新設や定員増が目立つ。また、旭川大が「私立→公立」に移行し、「旭川市立大」に名称変更する予定となっている。

 日程変更では、岡山大が全学で後期募集を停止。西日本の難関~準難関校の貴重な併願先だっただけに影響は大きく、2023年国公立大入試で最大規模の変動要因となりそうだ。この他、岐阜大の医(医)、長崎大の多文化社会が後期募集停止。岩手県立大のソフトウェア情報は「後期→中期」へ移行。秋田大の医(保健)、香川大の農、横浜市立大の理による後期新規実施、2022年から公立化した周南公立大の前期・中期新規実施に注目が集まる。

 募集人員については、京都工芸繊維大・兵庫教育大・神戸市外国語大で、募集人員を一般選抜から学校推薦型・総合型選抜へ移行。一方、山梨大の工では総合型選抜から一般選抜へ移行する。電気通信大の情報理工学域・前期では、入学後に専門を決める一括募集から、l~lll類の類別募集に変更。近年のトレンドである「大括り募集の導入」とは逆のケースとして注目される。

 東京大の理科三類・前期は2段階選抜の予告倍率を引き締め、「最難関」のさらなる難化要因となることが予想される。一橋大のソーシャル・データサイエンス、横浜国立大の理工・前・後期、岩手県立大のソフトウェア情報・中期、横浜市立大の理・後期等も2段階選抜を新たに導入。医学部系では、和歌山県立医科大の医・前期が予告倍率に加え、得点基準も設定。岐阜大の医(医)、岡山大の医(医)、広島大の医(医)の各前期で予告倍率を引き締める。

 2023年入試では、特に国立大後期が2022年入試の志願者増・合格者減や、学校推薦型・総合型選抜の拡大による募集人員減といった理由から敬遠され、難関~準難関私立大の独自入試への出願が増える可能性がある。このため、2023年国公立大一般選抜はやや志願者減が見込まれる。北海道・東北、九州といった地域では、前年の入試結果を気にしすぎることから地区内で極端な志願者増減が生じがちなので、「前年の反動」に巻き込まれないように注意したいと分析している。入試動向分析の詳細はWebサイトで確認できる。


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《畑山望》

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