【中学受験】日本史は暗記だけでは勝てない…中学受験のプロ・馬屋原吉博先生に聞く「学習まんが」活用法

 受験生に求められるのは「自分で考える力」。暗記科目と考えられていた中学受験の社会も例外ではない。角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』を活用し、思考力をつけながら効率的に日本史を学ぶ方法を中学受験のプロ・馬屋原吉博先生に聞いた。

教育・受験 小学生
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中学受験個別指導教室SS-1副代表、社会科教務主任の馬屋原吉博先生
  • 中学受験個別指導教室SS-1副代表、社会科教務主任の馬屋原吉博先生
  • 資料を提示しながら歴史の大きな流れを問うてくる問題にも、ビジュアルにも優れた学習まんがが強力な援軍になる
  • 人物だけではなく、その時代の人々の暮らしがきちんと描かれている
  • 画像キャプション:『日本の歴史』の最新第16巻『多様化する社会 平成時代~令和』には安倍元首相の銃撃事件までの約11年が描かれている
  • 『日本の歴史』第16巻は「多様性」というキーワードのもとに描かれている
  • 『日本の歴史』シリーズ
  • ここ10年を子供にもわかるように伝えてくれる本は今までになく他に類を見ない

 「暗記さえできていれば、中学受験の社会は安泰」、そのような常識は過去のものとなりつつある。「考える力が問われる入試が増えている」と語るのは、中学受験個別指導教室SS-1副代表で、社会科教務主任の馬屋原吉博先生。中学受験のプロとして、過去に複数回リセマムの記事にも登場している馬屋原先生に、最新の中学受験・社会の傾向と、中学受験に影響をおよぼす大学入試の傾向、そしてその対策として「学習まんが」を活用する方法について聞いた。

歴史の「大きな流れ」を問う問題が増加

--近年の受験の傾向を教えてください。

 大学入試、高校入試ともに、地理であれば表やグラフ、歴史であれば資料の読み取り問題が確実に増えています。表やグラフ、史料をもとに考えさせる問題も含みます。歴史においては、特に難関校に限らず、多くの学校が、歴史の大きな流れや各時代の社会全体の動きの背景を問う問題を好んで出題してきています。

 令和4年の都立高校の入学検査や大学入学共通テストの日本史Bなども、その多くが史料や表・グラフに関わる問題でした。「これをしたのは誰ですか」や「●●が行った政策で正しいものを選びなさい」といった一問一答レベルの問題は減っています。代わりに増えているのが、ある時代の出来事や社会全体の動きについて選択肢で聞いたり並べ替えさせたりする問題。選択肢問題は依然としてありますが、その8割以上がそうした出題なのです。

--その流れが、中学入試にも降りてきているのですね。

 そうです。将来の大学入試への接続も考えて勉強する必要があります。

 年代やキーワードを暗記するだけでは、このような問題には答えられません。もちろん、足利義満や義政の名前すら覚えていない状態で、室町時代について「理解した」ということにはなり得ません。しかし、入試で問われるのは、彼らの名前それ自体ではなく、彼らの時代の政治や経済、農村や都市に関する理解です。これは、歴史を「線」ではなく何層もの「面」でとらえましょうという大きなメッセージだと思います。

--どのように対策すれば良いのでしょうか。

 歴史を重層的に理解するためのポイントは、いかに歴史を「周回」するかです。

 まずは、「その時代に権力者が何をしたのか」という政治史を中心に見ていくこと。中学受験を経験した子たちは、小学生のうちに歴史の年表をしっかりと覚え込んでいます。この理解が軸となり、その後、文化や経済、農村や都市の変化、外交など、いろいろな角度で歴史に触れ、ようやく世の中全体がわかってきます。

 縦軸があることで「その時代の社会全体はどうでしたか」というような、時代の横の広がりや重層性を理解していけるのです。そのためには歴史を何周も学んで理解していくことが大切です。

学習まんがで理解を深める

--小学生の時期からいろいろな角度で歴史に触れるために、良い教材はありますか。

 角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』は非常に良い選択だと思います。歴史を何周もしなければならないと言いましたが、その周回数が勝負の分かれ目です。まんがというメディアで楽しみながら歴史に触れることで、明らかに歴史への理解が深まります。

 他の科目も勉強しなければならない子供たちにとって、自分で考えることができるレベルまで歴史を学ぶのはとても大変です。それができるようになるには、学校と塾の勉強以外の学びの機会も必要になります。そこで学習まんがを読んで、歴史をさらに1周か2周しておく。すると、今までは暗記だけして理解まではできていなかったことが「こういうことだったのか」とわかってくるようになるのです。

 角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』の監修は東京大学教授だった山本博文先生で、これを読めば東大の入試問題が解けるようにと作られたそうです。東大の日本史問題は論述が中心で、歴史そのものを考えさせる設問になっています。まさしくその「考えさせる設問」が、中学入試・社会の史料を読み取って歴史の流れを問う今の傾向の大もとなのです。

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時代のイメージをつかむ

--増えつつある資料問題に対処するにはどうすれば良いでしょうか。

 入試の出題者は、受験生が直接見たことがないような史料を探して問題を作ってきます。

 とはいえ、入試問題には必ず「答え」があります。見たことのない史料をもとに作られた問題でも、ヒントは各所に転がっています。そして、各時代のイメージや背景を深く理解しておけば、それらのヒントを見つけ、いつの時代の誰の話なのかを類推しやすくなります。そのためにビジュアルにも優れた学習まんがはとても強力な援軍になると思います。

ビジュアルにも優れた学習まんがは「知識問題」の強力な援軍になる

 さらに小学生の場合、視覚優位、つまり絵や写真で説明されることでスッと脳に入ってくるという子供は一定数います。極端な例をあげると、耳からの情報がまったく頭に入ってこない子もいるほどです。子供にいくら言い聞かせても理解してくれないという経験をした親御さんは少なくないと思います。そのような子供にとっては、学習まんがで時代ごとのイメージを作ることは非常に有効なのです。

 今は動画での解説も増えていますが、聞き流しになってしまうことが多く、あまり脳に引っかかりません。この動画と文字情報の中間的な位置にあるのが学習まんがです。自分の意思で読み進められて、 かつビジュアルでイメージをつけてくれるという意味でも、学習まんがという媒体をあらためて見直してほしいですね。

 特に、角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』は、まんがとして1冊通して読みやすいことが特徴です。加えて、全巻を通して読む際にも統一感があるので、次の巻を読んだときに違和感がない。本当に「まんが」になっている学習まんがと、文章にイラストを付けただけの「学習まんが風」のものでは読みやすさがまったく違います。また、人物だけではなく、その時代の人々の暮らしがきちんと描かれているところも良いですね。特に江戸時代、元禄文化を描いた第10巻の描写は素晴らしいと思います。

第10巻の元禄文化。人物だけではなく、その時代の人々の暮らしがきちんと描かれている

--中学受験において頻出の時事問題に関してはいかがでしょうか。

 一般的に「中学受験で時事問題が出ます」と言うと、「時事」という単語から連想するためか、どうしても「今年の重大ニュース」という方向に意識が向いてしまうきらいがあります。それはそれで大事なのかもしれませんが、難関校であればあるほど「今年は何がありましたか」という問題は出しません。「この10年で世の中はどう動いていますか」という大きな流れを聞いてきます。これに答えられるかどうかで、受験の勝敗が決まると言っても過言ではありません。

 たとえば、縦軸に就業率、横軸に年齢をとった「女性の就業率」のグラフがあるとします。年齢が30歳前後で大きく就業率が落ち込む「M字型カーブ」で有名ですね。このグラフから何を読み取るか、どのような対策が取れるのかを説明できなければダメなのです。

 こういう出題は、昨年の出来事を覚えているからといって解けるものではありません。来年の問題でいちばん作りやすいテーマがあるとしたら為替と物価高の話だと思っていますが、これも単純な時事問題にはならない。論述系の問題を出す中学校を受験するのであれば、なぜ2022年に入ってから円安やインフレが急激に進んだのか、その背景はもちろん、過去に…ということも把握しておくほうが良いことでしょう。

--「過去10年の流れ」といっても、当の子供たちが生まれて間もないころからの話ですよね。どのように勉強すれば良いでしょうか。

 10月13日に発売される角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』の最新第16巻『多様化する社会 平成時代~令和』がお勧めです。この本で描かれているのは東日本大震災が起こった2011年から、記憶に新しい安倍元首相の銃撃事件までの約11年。親御さん世代にとっては、自分たちが直接たどってきた時代ですね。

『日本の歴史』の最新第16巻『多様化する社会 平成時代~令和』には安倍元首相の銃撃事件までの約11年が描かれている

 毎年、秋になると有名進学塾が中学受験のための時事問題のテキストを発売します。基本的にはこれが中学受験のテキストになります。しかし、実際に難関校が出す問題のレベルは「ここ数年、もしくは10年くらいの世の中の流れ」です。「去年何が起きましたか」「今年何が起きましたか」ということが書かれた書籍はたくさんありますが、ここ10年を子供にもわかるように伝えてくれる本というのは今までにはありませんでした。それをコンパクトに振り返るという意味で、角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』第16巻は現時点では類似商品がまったくない本です。私としても、ぜひ教室に置いておきたい1冊です。

ここ10年を子供にもわかるように伝えてくれる本は今までになく他に類を見ない

  特に、ハイレベルの中学受験ではここ10年の世の中の流れを深く追求した時事問題が出題されています。たとえば、今年の麻布中学校の社会では「日本に働きに来た外国人とその家族の人権を守るためには、どのような政策や活動が必要だと考えられますか」という問いについて100文字以内で答えるという問題がありました。麻布中学は、知識を問うよりも「世の中をちゃんと切り取って説明できるか」という意図で論述問題を出題しています。

 このような出題には、知識だけ詰め込んでいても答えることはできません。『日本の歴史』第16巻は「多様性」というキーワードのもとに描かれており、この問いに対する大きなヒントも描かれています。

 角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』第16巻は、こういった対策として機能する本です。中学受験生から大学受験生まで、読むメリットしかない本だと思います。

『日本の歴史』第16巻は「多様性」というキーワードのもとに描かれている

--高校受験、大学受験にも役立つのですね。

 はい。特に、総合型選抜など小論文が必要な入試で、今の世の中についてある程度通じておきたい場合には、とりあえずこの本を読んでおけと勧めたいですね。

思い立ったが買い時

--角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』は、子供が何歳ごろから読み始めるのが良いでしょうか。

 最適な年代はなく、何歳からでも構いません。「読みなさい」と押し付けると、読まなくなるのが子供というものです。せっかく買ったのに読んでくれないと親としてはがっかりしますが、がっかりするだけ無駄というものです。まずは家にあるということが大事。その子がふと読みたいなと思ったときに手に取ってくれれば良いのです。頭が良い子の家には辞書や図鑑があると言われていますが、学習まんがもその1つと考えて良いでしょう。

 また、いざ受験勉強を始めてみたものの、頑張って覚えた知識が体系化できずにバラバラになっているという状況はよく見受けられます。理解がともなう暗記が大事だとは知りながら、次から次へとやってくるテストを乗り越えるためにとりあえず覚えるという勉強をしているという児童や生徒は少なくありません。そのような子供たちがこの学習まんがシリーズを読むと、「ここで覚えたことはこういう流れの中にあったことなんだな」と理解できるようになる。そういう勉強にもっとも有効かもしれません。

 もし明確に受験に役立つことがなかったとしても、中学生や高校生になったときにふと手に取って読むことで、その子の人生に1つプラスになる。そのくらいの視点に立った買い物だと思います。お子さんがいる家ならば無駄になることはありません。思い立ったときが買い時ですね。

各時代のイメージをつかみやすく時事問題にも役立つ

 大学受験を見据え、中学受験においては「覚えるだけの社会」から「覚えたうえで、考える社会」へと変わりつつある。また、時事問題を解くためには数年分の知識も必要だ。最新の2022年までの出来事を網羅し、正確な記述とビジュアルで各時代のイメージをつかみやすい角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』は、受験勉強を勝ち抜く心強い味方となってくれることだろう。

時事問題を解くための数年分の知識を養うにもイメージをつかみやすい
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《編集部》

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