子供の歯並び、半数以上が歯列不正...口呼吸・姿勢が影響

 ライオンは、青森県黒石市と弘前大学と共同で、子供の歯並び(歯列)と生活習慣の関係性に関する調査研究を行い結果を公表した。黒石市内の全小学校を対象に行われた調査の結果、児童の半数以上が歯列不正を有し、口呼吸と猫背に関連性をもつ可能性があることがわかった。

生活・健康 小学生
各歯列不正者の割合
  • 各歯列不正者の割合
  • 叢生と姿勢の関連性
  • 叢生と睡眠時口呼吸の関連性

 ライオンは、青森県黒石市と弘前大学と共同で、子供の歯並び(歯列)と生活習慣の関係性に関する調査研究を行い結果を公表した。黒石市内の全小学校を対象に行われた調査の結果、児童の半数以上が歯列不正を有し、口呼吸と猫背に関連性をもつ可能性があることがわかった。

 ライオンは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesing)」をパーパスに掲げ、口から健康寿命への貢献を目指した取組みを行っている。今回、歯並びへの影響が大きい永久歯への生え変わり時期である小児期に着目し、姿勢や生活習慣との関係性を明らかにすることを目的に調査研究を実施。調査研究は、2015年に健康都市宣言を掲げて学校における健康教育に積極的な取組みをしている青森県黒石市と、健康長寿社会に対する研究を行っている弘前大学との共同で行った。

 同研究は、黒石市内の全小学校3年生~6年生の児童を対象に、2019年から2021年の3年間実施。年度ごとに歯並びの状態を写真撮影し、立ち姿勢の測定データや生活習慣・癖に関するアンケート結果、学校歯科健診データとの関連性を分析した。

 歯並びの状態については文献情報を元に歯列不正の状態を判定し、姿勢については「立ち姿勢判別システム」で猫背や反り腰の判別を行った。生活習慣アンケートは、児童の口まわりの状態や習慣、食事に関する癖や習慣等に関する質問を保護者が回答。複数年参加した児童の保護者には、口のケアに関する意識・行動変容についての質問も行った。調査の解析は、乳歯から永久歯への生え変わりが進む時期を考慮し、歯並びの状態が比較的安定してくる小学5~6年生を対象とした。

 同調査を解析した結果、対象とした児童の半数以上が歯列不正を有し、その中でも歯と顎の大きさが合わずに歯が部分的に重なる状態(叢生)の割合がもっとも多いことが明らかとなった。立ち姿勢の測定データからは、猫背と判別された児童に叢生の割合が高い傾向にあることが確認された。さらに、生活習慣のアンケート結果からは睡眠時に「口がよく開いている」「時々開いている」と回答した児童において、叢生の割合が有意に高い結果となった。

 同調査で得られた結果は、調査に参加した学校における口腔保健指導や各家庭へのフィードバック等に活用し、学童期からの健康づくりに役立てている。取組みに参加した児童の保護者からは、口のケアに対する行動や意識の変容に繋がったという内容の回答もあった。

 歯並び(歯列)やかみ合わせ(咬合)が悪いと、咀嚼に影響が出るだけではなく、歯が重なる部分の清掃が難しくなり、むし歯等に罹患するリスクが高くなる可能性がある。成長過程における歯並びや咬合の悪化については、この時期の生活習慣や癖との関連が指摘されているが、科学的エビデンスは不十分な状況だ。同取組みは、今後2年間の継続が決定しており、今回の調査で見出した歯並びと生活習慣や癖の因果関係を明らかにする予定だという。


《日高紋佳》

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