【大学入学共通テスト2023】7科目型の成績上位者が倍増…河合塾が概況分析

 河合塾は2023年2月8日、大学入試情報サイト「Kei-Net」に「2023年度大学入学共通テスト概況分析」を掲載した。2023年度大学入学共通テストでは、出題傾向に変化はなかったが、問題分量がさらに増加。数学の平均点が大幅に上昇し、7科目型の成績上位者が倍増した。

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センター試験・共通テスト 志願者数・受験者数推移 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • センター試験・共通テスト 志願者数・受験者数推移 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テスト 受験科目数別の受験者数 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テスト 主要科目平均点 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テストリサーチ 「数学」受験者の得点分布 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • センター試験・共通テスト 7科目型平均点の変化 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テストリサーチ 受験者の得点分布 (c) Kawaijuku Educational Institution.

 河合塾は2023年2月8日、大学入試情報サイト「Kei-Net」の入試・教育トピックスに「2023年度大学入学共通テスト概況分析」を掲載した。2023年度大学入学共通テスト(以下、共通テスト)では、出題傾向に変化はなかったが、問題分量がさらに増加。数学の平均点が大幅に上昇し、7科目型の成績上位者が倍増した。

 「2023年度大学入学共通テスト概況分析」は、2023年度共通テストの概況を振り返ったもの。本試験は、1月14日と15日に全国679会場で実施。理科は、生物の難化にともない、物理の平均点と20点以上の差がつき、2021年度入試以来2年ぶりの得点調整が行われた。

 共通テストの志願者数は、前年度(2022年度)比96.6%の51万2,581人。受験者数は前年度比97.1%の47万4,051人。志願者のうち実際に受験した者を示す受験率は、前年度の92.1%から92.5%に上昇。2023年度は試験当日に大きな自然災害等なく、天気に恵まれたことも影響しているという。

 2023年度の追試験の受験許可者数は3,893人。依然として新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、前身の大学入試センター試験(以下、センター試験)を通じて過去最高であった前年度の2倍以上となった。本試験2週間後の1月28日と29日に実施された追・再試験はあわせて3,471人が受験した。

 受験科目数別の受験者数は、おもに国立大志願者が受験する7科目以上は前年度比98.6%。河合塾は「受験者数の減少を考慮すると堅調」と分析している。一方、4~6科目の受験者数は前年度比95.1%、私立大専願の志願者が中心となる3科目以下の受験者は前年度比94.9%と、いずれも減少率が高かった。

 全体の出題傾向は、前年度までと大きな変更はみられず、複数資料の提示、日常や学習場面を中心に問題解決を題材とした出題、教科固有の「思考力・判断力・表現力」をより深く問うというコンセプトは継続している。かねてより指摘されていた問題分量はさらに増え、学習場面設定のための会話文の多用や、複数資料を提示することで多くの教化・科目で問題冊子のページ数が増加した。

 平均点は、「数学I・A」「数学II・B」でそれぞれ大きく上昇。一方、「英語リーディング」「国語」「世界史B」「倫理、政治・経済」等で下降。「物理基礎」「生物」「政治・経済」等の科目では、センター試験時を通じて過去最低点となった。

 河合塾が推定する共通テスト7科目型の平均点(900点満点)は、文系型が前年度より23点多い530点、理系型が前年度より38点多い548点。文理とも前年度から大きく上昇した。ただし、過去10年間では低いほうで、センター試験時に比べ平均点は低く推移しているという。

 河合塾が実施した自己採点集計「共通テストリサーチ」参加者の得点分布によると、多くの国公立大で必要となる7科目の受験者は文系型、理系型ともに右にシフトし、得点率8割以上の高得点層が前年度から倍増。多くの大学で予想ボーダーラインは上昇した。

 3教科型では、おもに私立文系志願者が受験する「英・国・数または地公」型は、2023年度の分布が小さくなっており、私大文系志願者の共通テスト利用が減っていることをうかがわせるという。「英・数・理」型は、数学の平均点アップにより高得点層が厚くなっている。得点分布の裾野も広がり、受験生の実力差が目立つとしている。


《奥山直美》

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