少子化対策…5兆円の公的支援や家事格差是正で最大730万人増と試算

 政府は2023年4月26日に行われた経済財政諮問会議にて、少子化対策の効果試算を公表。GDP比1%程度(約5兆円)の支出増加により出生率が0.05~0.1程度、人口が90~180万人程度増加。OECD平均並まで家事時間の男女格差を改善した場合も、出生率が0.1程度上昇すると試算した。

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少⼦化の傾向を反転させる取組みについての機械的試算
  • 少⼦化の傾向を反転させる取組みについての機械的試算
  • 中⻑期の経済財政フレームの強化

 政府は2023年4月26日に行われた第5回経済財政諮問会議にて、少子化対策の効果試算を公表した。GDP比1%程度(約5兆円)の支出増加により出生率が0.05~0.1程度、人口が90~180万人程度増加。OECD平均並まで家事時間の男女格差を改善した場合も、出生率が0.1程度上昇すると試算している。

 4月26日に行われた経済財政諮問会議では、「成長と分配の好循環を生み出す経済財政政策に向けて」「経済・財政一体改革(地方行財政、文教・科学技術・社会資本整備)、国土形成計画」の2つを議事として進行。そのうち、「成長と分配の好循環を生み出す経済財政政策に向けて」では、参加議員4名が、少子化をはじめとする対応すべき社会課題や厳しい財政状況等の課題を踏まえ、中長期の経済財政運営の論点から提言した。

 少子化対策については、少子化対策と出生率に関する内外の先行研究から、出生率引上げに寄与すると思われる要因(家族関係社会支出、高等教育支援、住宅支援、男性と女性の家事時間の格差等)を抽出。各要因に対する取組みによって得られる人口増加効果を試算した。

 児童手当等の現金給付や保育サービス等の現物給付といった家族関係社会支出の拡充、高等教育の公的支援の拡充、住宅支援の拡充等に対し、GDP比1%程度(約5兆円)支出を増加した場合は、出生率が0.05~0.1程度上昇。出生率が2021年の1.30で維持された場合、2060年段階の人口は90~180万人程度増加すると試算している。

 また、男性の家事参加について、OECD平均並まで家事時間の男女格差が改善された場合も出生率が0.1程度上昇し、人口は180万人程度増加。若年世代の所得向上として、2%賃上げを継続すると出生率が0.1程度上昇、若年層へ積極的に賃上げの分配強化を行った場合も出生率が0.1程度上昇すると試算され、あわせて370万人程度の人口増加が見込まれるという。

 出生率1.30で推移した場合の2060年段階の人口が約8,900万人となることから、これらの少子化対策をとった場合、2060年の人口は最大で730万人増加するとの機械的試算が示された。

《畑山望》

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