プール熱、東京都が流行警報…患者の82%が5歳以下

 東京都は2023年10月12日、咽頭結膜熱(プール熱)が流行し、都内で警報基準に達したことを発表した。プール熱の患者報告が都全体で警報基準に達するのは、感染症法が施行された1999年以来初めて。5歳以下の小児が患者の多くを占めており、注意を呼びかけている。

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東京都における咽頭結膜熱の定点あたり患者報告数(過去5シーズン)
  • 東京都における咽頭結膜熱の定点あたり患者報告数(過去5シーズン)
  • 東京都における咽頭結膜熱の発生状況(保健所管轄地域別、2023年第40週)
  • 咽頭結膜熱の患者報告数の年齢階層別内訳(2023年第1週から第40週分)

 東京都は2023年10月12日、咽頭結膜熱(プール熱)が流行し、都内で警報基準に達したことを発表した。プール熱の患者報告が都全体で警報基準に達するのは、感染症法が施行された1999年以来初めて。5歳以下の小児が患者の多くを占めており、注意を呼びかけている。

 咽頭結膜熱は、アデノウイルスを原因とする感染症。感染力が強く、プールや温泉施設などでも感染することから「プール熱」とも呼ばれている。おもな症状は、発熱、咽頭炎(のどのはれ)、結膜炎(目の充血)など。

 東京都の警報基準は、「定点医療機関からの患者報告数が都全体で警報レベル開始基準値(定点あたり3.0人)を超えた場合」「警報レベルにある保健所の管内人口の合計が東京都全体の人口の30%を超えた場合」のいずれか。

 東京都では、2023年第40週(10月2日~8日)に都内の31保健所のうち9保健所で患者報告数が警報レベルとなり、警報レベルにある保健所の管内人口が東京都全体の33.2%と、警報基準値の30%を超えた。プール熱の患者報告が、都全体で警報基準に達するのは、感染症法が施行された1999年以来初めてとなる。

 現在、警報レベルにある保健所は、台東(9.50人)、江戸川(6.17人)、江東区(3.89人)、多摩小平(3.64人)、世田谷(3.50人)、大田区(2.77人)、文京(2.75人)、みなと(2.50人)、目黒区(2.00人)の9か所。プール熱では、保健所単位で定点あたり週3.0人を超えてから1.0人を下回るまでの間を警報レベルとしている。

 2023年第40週に都内264か所の小児科定点医療機関から報告された定点あたり患者報告数(都内全体)は2.11人だった。

 東京都によると、患者の約82%は5歳以下の小児。保育所などで複数感染事例も報告されており、注意が必要。プール熱に特別な治療法やワクチンはなく、原因となるアデノウイルスはアルコール消毒も効きにくいため、感染防止には流水や石けんによるこまめな手洗いや咳エチケットが大切になる。感染予防のポイントには、咳などの症状がある場合は登園・登校を見合わせる、集団生活でタオルの共用は避けることなどもあげられている。

《奥山直美》

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