2023年夏「地球沸騰化時代の到来」を7割以上が実感

 「医師たちの気候変動啓発プロジェクト」が実施した意識調査から、9割超の人が異常気象は短期的なものではないと考えていることや、子供をもつ男女の6割が2023年の暑さで「子供の健康を損なう」と感じていることが明らかになった。

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今年の夏の気象はどう感じたか
  • 今年の夏の気象はどう感じたか
  • 「地球沸騰化時代が到来した」といわれ、あなたはどのように思うか
  • 2023年の夏の暑さが、気候変動によるものだと思うか
  • (2023年の夏が、異常だと感じた人)2024年以降も、このような異常な気象は続いていくと思うか
  • (中学生以下の子供のいる人)今年の暑さによって、あなたの子供の健康を損なう危険性を感じたか
  • 表1の気候変動によるさまざまな健康への影響を見て、どう思うか
  • 気候変動(地球温暖化)は、次のことに対して、どの程度影響を与えると思うか
  • 以下の事柄に関心があるか(5スケールで聴取し、「非常に関心がある」/「やや関心がある」のTop2を集計)

 「医師たちの気候変動啓発プロジェクト」が実施した意識調査から、9割超の人が異常気象は短期的なものではないと考えていることや、子供をもつ男女の6割が2023年の暑さで「子供の健康を損なう」と感じていることが明らかになった。

 「医師たちの気候変動啓発プロジェクト」は、日本国内の有志の現役医師や医療関係者などによる、セミナーやプレスブリーフィングを通じて、気候変動による健康被害に関して啓発活動を行うプロジェクト。同調査は、1898年以降「もっとも暑い夏」を終えた現時点での日本の人々の意識を確認し、気候変動に起因する健康被害の啓発につなげるために実施したもの。調査期間は2023年9月29日~10月4日。調査業・広告代理業を除く全国の20~40代の男女を対象にインターネットで実施した。サンプル数は1,200人。

 2023年の夏は、日本各地で最高気温30℃以上の真夏日が過去最長を記録、さらに35℃以上の猛暑日も過去最多を更新したこともあり、夏の暑さを異常と捉えている人は81.3%にものぼった。2023年7月の国連グテーレス事務総長の「地球沸騰化時代が到来した」という発言について、71.1%がその通りだと思うと回答している。また、2023年の夏の暑さの要因について、「気候変動」による影響であると考えている人は73.7%にのぼり、さらに「2023年の夏の暑さが異常だった」と回答している人のうち、この異常な気象が「次世代までずっと続いていくと思う」と回答した人が67.3%、また「今後10-20年続いていく」「5-10年は続いていく」とあわせると、合計9割以上の人が2~3年の短期的なものではないと考えていることがわかった。

 中学生以下の子供をもつ男女のうち、57.6%が「今年の夏の暑さによって子供の健康を損なう危険性を感じた」と回答。「子供の健康を損なう危険性を感じなかった」19.9%と回答した人の約3倍が「危機感を感じた」と回答していることになる。米国疾病管理予防センター(CDC)は、気候変動が人々の健康へ与える影響として事象ごとに具体的な健康被害をまとめている。猛暑による熱中症や脱水症状のほかにも異常気象がメンタルヘルスに影響することや媒介生物の生態変化による感染症などを知ることによって、81.3%が「恐ろしいと思う」と回答した。一方、気候変動が「自身の健康に対する影響」を与えると回答した人は33.6%で、気候変動が健康に影響していることについての認知・理解が低いことがわかった。また、「気候変動(地球温暖化)に関心があると回答した人は約半数(50.8%)だった。

 みどりのドクターズ代表理事 佐々木 隆史氏は、「本調査の結果より、本プロジェクトでは、気候変動による健康被害のさらなる啓発が必要であることを確認しました。『医師たちの気候変動啓発プロジェクト』では、今回の調査結果を踏まえ、気候変動が、私たちそして未来を担う子供たちの健康に影響を及ぼすことを認識し、啓発してまいります。」とコメントしている。

《中川和佳》

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