子育てと介護「ダブルケア」認知率2割…コロナ禍で負担増

 ソニー生命や大学の研究グループは、2024年1月25日「ダブルケア」に関する調査の結果を公表した。ダブルケアラーの約3割がコロナ禍で育児や介護などの負担が増えたと回答。約7割が「地域でダブルケア当事者がつながること」を求めていることが明らかになった。

生活・健康 保護者
「ダブルケア」という言葉を聞いたことがあるか
  • 「ダブルケア」という言葉を聞いたことがあるか
  • 数年先に「ダブルケア」に直面する見込みがある人の割合
  • 子育てと親・義理の親のケア(見守り・世話・援助・介護・介助)とが同時期に重なったとき、負担に感じている(いた)こと
  • 新型コロナウイルス感染拡大前と後を比較すると、子育ての負担は増えたか減ったか
  • 新型コロナウイルス感染拡大前と後を比較すると、子育て以外のケア(介護・介助・世話・援助・見守り)の負担は増えたか減ったか
  • ダブルケアで、不安(気がかり、心配)に思っていること(思っていたこと)
  • 現在の事業所は、親のケアと育児とが両立しやすい職場か
  • ダブルケアと仕事の両立について、何を優先したいか

 ソニー生命や大学の研究グループは、2024年1月25日「ダブルケア」に関する調査の結果を公表した。ダブルケアラーの約3割がコロナ禍で育児や介護などの負担が増えたと回答。約7割が「地域でダブルケア当事者がつながること」を求めていることが明らかになった。

 「ダブルケア」は、「子育て」と「親(または義親)の介護」が同時期に発生する状況のこと。今回の「ダブルケアに関する調査2024」は、約5年ぶりの調査であり、ダブルケア実態調査の第9弾となる。

 調査対象であるダブルケアラー(ダブルケアに現在直面しているもしくは過去に経験した人)を抽出するために、全国の大学生以下の子供(自身が世話をしている子供を含む)をもつ30歳~59歳の男女1万6,926名に、「ダブルケア」の認知状況を聞いた。

 ダブルケアという言葉を聞いたことがある人の割合は、20.2%(男性19.2%、女性21.1%)となった。過去の調査結果と比較すると、全体では、2017年12.7%、2018年17.5%、2023年20.2%と上昇傾向が明らかになった。数年先にダブルケアに直面する見込みがある人の割合は、全体では22.5%となった。

 「ダブルケアに関する調査2024」は、事前調査により抽出したダブルケアラー1,000サンプルに対してインターネットで実施した。調査期間は2023年10月2日から6日。コロナ禍にダブルケアに直面していた人(855名)に、新型コロナウイルス感染拡大前と後の負担を聞いたところ、子育ての負担が「増えた」は30.6%、子育て以外のケア(介護・介助・世話・援助・見守り)の負担が「増えた」は32.4%となり、育児と介護と両方の負担が増えたことが明らかになった。

 全回答者(1,000名)に、ダブルケアで、不安(気がかり、心配)に思っていること(思っていたこと)を聞いたところ、1位「家計・経済状況」49.0%、2位「子供への影響」47.9%、3位「自身の健康状況」40.2%となった。ダブルケアに直面している有職者(622名)のうち、親のケアと育児とが両立しやすい職場だと回答した人は69.9%となった。その理由を聞いたところ、「休みが取りやすい」「勤務の希望が通りやすい」「リモートワークを利用できる」「時短勤務ができる」「残業がない」「職場の理解がある」などの回答が寄せられた。

 ダブルケアと仕事の両立について、「理想」では「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」が最多で42.4%となった。いずれかを優先させるよりすべてをバランスよくしたいと考えているダブルケアラーが多いようだ。一方、「現実」では「子育て+親のケア+仕事をバランスよく」は28.0%と「理想」と比べ14.4ポイント低い。「理想」と「現実」のギャップがうかがえる結果となった。ダブルケア当事者がつながる場を地域でつくることについて、「必要だ」が68.8%、「必要ではない」が31.2%となった。

 研究グループは「依然としてダブルケアをめぐる課題は山積しており実態調査も不足している」とコメントしている。調査の詳細はWebサイトで閲覧できる。

《中川和佳》

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